111PM088|第111回 看護師国家試験 過去問

予防接種に生ワクチンが使用される疾患はどれか。2つ選べ。

2つ選択
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正解: 4・5

正答

4.結核 tuberculosis
5.麻疹 measles

この問題のポイント

予防接種に使うワクチンを、生ワクチン・不活化ワクチン・トキソイドの3種類に分けられるかを問う問題です。疾患名から予防に使うワクチンを思い浮かべるのが鍵で、結核はBCG、麻疹はMR(麻しん風しん混合)ワクチンであり、どちらも生ワクチンです。ジフテリアと破傷風は毒素が症状の主因なのでトキソイド、日本脳炎は不活化ワクチンとして区別します。

解説

ワクチンの3分類

  • 生ワクチン:病原性を弱めた(弱毒化した)生きた病原体を接種します。体内で増えて自然感染に近い経過をたどるため、液性免疫だけでなく細胞性免疫も誘導されます。その結果、少ない接種回数で強く長く続く免疫が得られます。一方で、接種後に軽い発熱や発疹など、その病気に似た症状が出ることがあります。また病原体が体内で増殖するため、免疫不全の人、免疫抑制療法中の人、妊婦には原則として接種できません。
  • 不活化ワクチン:病原体を処理して感染力をなくしたもの、または病原体の成分を使います。体内で増えないため安全性は高い反面、免疫が長く続かず、複数回の接種と追加接種が必要です。
  • トキソイド:細菌がつくる外毒素をホルマリンなどで処理し、毒性をなくして免疫をつくる性質だけを残したものです。症状の主因が毒素である病気に使い、毒素を中和する抗体(抗毒素)を体につくらせます。広い意味では不活化ワクチンに含めることもありますが、試験では区別して覚えます。

本問の判断

結核の予防接種はBCGです。BCGはウシ型結核菌を弱毒化した生ワクチンです。麻疹の予防接種は弱毒化した麻疹ウイルスを使う生ワクチンで、定期接種では通常MRワクチンとして接種します。したがって正答は選択肢4と5です。ほかの選択肢は、ジフテリアと破傷風がトキソイド、日本脳炎が不活化ワクチンで、いずれも生ワクチンではありません。

出題当時の整理

  • 定期接種の生ワクチン:BCG、MR(麻疹・風疹)、水痘、ロタウイルス(ロタのみ経口)
  • 定期接種の不活化ワクチン:日本脳炎、不活化ポリオ、百日咳、B型肝炎、Hib、小児用肺炎球菌、HPV、インフルエンザ(高齢者)
  • トキソイド:ジフテリア、破傷風

任意接種の生ワクチンには、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)と黄熱があります。おたふくかぜは生ワクチンですが、定期接種ではない点に注意してください。

実践での活かし方

ワクチンの種類は、接種できるかどうかの判断と接種間隔に直結します。

  • 生ワクチンは妊婦には禁忌です。MRワクチンなどを接種した女性には、接種後約2か月は妊娠を避けるよう指導します。
  • 注射の生ワクチン(MRや水痘など)は、ガンマグロブリン製剤の投与や輸血の後だと効果が弱まるおそれがあります。そのため一定期間をあけて接種します。
  • 接種間隔の制限は、2020年10月の改正で原則としてなくなりました。ただし、注射の生ワクチンどうしは27日以上あけるルールが残っています。これは出題当時も現在も同じです。

選択肢の確認

1.ジフテリア diphtheria:ジフテリアで起こる心筋炎や神経麻痺などの重い症状は、菌がつくる外毒素によるものです。そのため予防には毒素を無毒化したトキソイドを使い、生ワクチンではありません。出題当時の定期接種では、百日咳・破傷風・不活化ポリオと組み合わせた四種混合(DPT-IPV)として乳幼児期に接種し、11歳でジフテリア・破傷風の二種混合(DT)を追加しました。現在は、2024年4月から四種混合にHibを加えた五種混合ワクチンも定期接種に使われています。

2.日本脳炎 Japanese encephalitis:日本脳炎ワクチンは、培養細胞で増やしたウイルスの感染力をなくした不活化ワクチンです。ウイルス感染症だからといって「生ワクチン」と早合点しないようにします。蚊(コガタアカイエカ)が媒介する疾患で、第1期は標準的に3歳で2回、その約1年後に1回追加し、第2期は9歳で接種します。

3.破傷風 tetanus:破傷風の開口障害や後弓反張などの強直性けいれんは、破傷風菌の神経毒によって起こります。そのため予防には毒素を無毒化したトキソイドを使い、菌そのものを含む生ワクチンではありません。外傷時には、トキソイド(能動免疫)に加えて、状況に応じて抗破傷風ヒト免疫グロブリン(受動免疫)を使うことも併せて覚えておきます。

4.結核 tuberculosis:正答。BCGはウシ型結核菌を弱毒化した生ワクチンです。定期接種として1歳に至るまでに(標準的には生後5〜8か月)、上腕に管針法(経皮接種)で1回接種します。すでに結核菌に感染している子どもでは、接種後10日以内に針痕の強い発赤・腫脹・化膿が現れることがあります(コッホ現象)。この場合は速やかに医療機関を受診するよう保護者に伝えます。

5.麻疹 measles:正答。弱毒化した麻疹ウイルスを使う生ワクチンです。定期接種ではMRワクチンとして、第1期は1歳、第2期は小学校就学前の1年間に接種します。1歳未満では母体から移行した抗体がワクチンウイルスの増殖を妨げ、免疫がつきにくいことも、1歳から接種する理由の一つです。麻疹は空気感染する非常に感染力の強い疾患で、2回接種で確実な免疫を得ることが重視されています。

覚えるポイント

  • 生ワクチンは「BCG・MR(麻疹・風疹)・水痘・おたふくかぜ・ロタ・黄熱」です。ロタは経口、BCGは管針による経皮接種です。
  • ジフテリアと破傷風は毒素が病態の中心なのでトキソイドです。同じ混合ワクチンに入る百日咳は不活化ワクチンです。
  • 日本脳炎・ポリオ・注射のインフルエンザ・B型肝炎・Hib・肺炎球菌・HPVは不活化ワクチンです。ポリオは2012年に経口生ワクチンから不活化ワクチンへ切り替わりました。
  • 生ワクチンは妊婦・免疫不全者に禁忌です。MRワクチンの接種後は約2か月避妊します。
  • 注射の生ワクチンどうしは27日以上あけます。それ以外の組み合わせは、原則として間隔の制限はありません。
  • BCG接種後10日以内の強い局所反応はコッホ現象です。結核感染を疑って受診につなげます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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