112AM085|第112回 看護師国家試験 過去問
定期予防接種について正しいのはどれか。
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正解: 5
正答
5.ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンは筋肉内注射する。
この問題のポイント
定期予防接種の主なワクチンについて、接種前検査の有無、ワクチンの種類(生か不活化か)、定期接種の現状、接種回数、投与経路を問う問題です。選択肢ごとに観点が異なります。そのため、ワクチン別に「種類・経路・回数と時期」を整理して覚えているかが鍵になります。HPVワクチンが、出題当時の定期接種では数少ない筋肉内注射のワクチンであると気づけるかがポイントです。
解説
定期予防接種の基本
定期予防接種は、予防接種法に基づいて市町村長が実施する接種です。対象疾病は2つに分けられます。集団予防や重篤化の防止に重点を置くのがA類疾病、個人の発病・重症化の予防に重点を置くのがB類疾病です。
小児の定期接種の対象疾病はすべてA類疾病で、HPV感染症もA類に含まれます。A類疾病では、市町村長が接種を勧奨します。対象者には接種を受けるよう努める努力義務があり、子どもの場合は保護者が受けさせるよう努めます。
B類疾病には努力義務はありません。出題当時は、高齢者などを対象とするインフルエンザと肺炎球菌感染症が該当しました。現在は新型コロナウイルス感染症や帯状疱疹なども加わっています。
定期接種のワクチンは次のように分類できます。
- 生ワクチン:BCG、麻疹風疹混合(MR)、水痘、ロタウイルス
- 不活化ワクチン:四種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)、Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、日本脳炎、HPVなど
投与経路は、BCGが経皮接種(管針法)、ロタウイルスが経口、HPVが筋肉内注射です。出題当時、小児の定期接種で使われる注射ワクチンの多くは皮下注射でした。
HPVワクチン(正答の根拠)
HPVワクチンは、子宮頸癌の主な原因である高リスク型HPVの感染を防ぐ不活化ワクチンです。定期接種の対象は、小学校6年から高校1年相当の女子です。2013年4月に定期接種となりましたが、同年6月から積極的な接種勧奨が差し控えられました。2022年4月に勧奨が再開され、接種機会を逃した世代へのキャッチアップ接種も始まりました。
接種は上腕の三角筋部への筋肉内注射で行います。出題当時の定期接種は2価・4価ワクチンで、原則3回接種でした。2023年4月からは9価ワクチンも定期接種に加わりました。9価ワクチンは、15歳になるまでに初回接種する場合は2回接種も選べます。
筋肉内注射では、針を皮膚に対して45〜90度で刺入します。皮下注射の10〜30度とは異なります。三角筋部では肩峰から約3横指下の部位を選び、腋窩神経の損傷を避けます。HPVワクチンの接種後には、痛みや緊張による血管迷走神経反射で失神することがあります。そのため、接種後30分程度は背もたれのある椅子に座らせるなどして観察し、転倒を防ぎます。
そのほかのワクチンの要点
- BCG:2005年4月施行の結核予防法改正で、ツベルクリン反応検査を省略する直接接種に変わりました。現在は予防接種法に基づき、1歳未満(標準的には生後5〜8か月)に上腕外側へ管針法で接種します。すでに結核に感染している児に接種すると、10日以内に強い局所反応(コッホ現象)が出ることがあります。その場合は速やかに受診し、結核感染の有無を確認します。
- ロタウイルス:2020年10月に定期接種となった経口の生ワクチンで、製剤により2回または3回接種します。腸重積症のリスクを考慮し、初回接種は生後14週6日までに行うことが推奨されています。接種後しばらくはワクチンウイルスが便中に排泄されるため、おむつ交換後の手洗いを指導します。
- ポリオ:経口生ワクチンには、まれにワクチンウイルスによる麻痺を起こすという問題がありました。そのため2012年9月に不活化ワクチンへ切り替えられ、同年11月からは四種混合ワクチンとしても接種されています。
- 麻疹・風疹:MRワクチンを第1期(1歳以上2歳未満)と第2期(小学校就学前の1年間)に、計2回皮下注射します。2回接種にするのは、1回では免疫がつかない場合(一次性ワクチン不全)や、時間とともに免疫が弱まる場合(二次性ワクチン不全)に備えるためです。
臨床や保健指導の場では、保護者から接種スケジュールや副反応について質問されることがよくあります。ワクチンごとに種類・経路・回数を説明できる知識は、実践でもそのまま役立ちます。
選択肢の確認
1.BCG 接種前にツベルクリン反応を実施する。:2005年4月施行の結核予防法改正で、BCG接種前のツベルクリン反応検査は廃止されました。現在は検査を行わずに直接接種するため、誤りです。2005年3月までは、ツベルクリン反応が陰性の児だけに接種していたので、当時であれば正しい記述でした。現在のツベルクリン反応は、接触者健診などで結核感染の有無を調べるときに用いられることがある検査です。BCGの接種前に行うものではありません。
2.ロタウイルスワクチンは不活化ワクチンである。:ロタウイルスワクチンは弱毒化したウイルスを含む生ワクチンなので、不活化ワクチンとする記述は誤りです。口から飲ませる経口ワクチンで、定期接種のなかで経口投与するワクチンはこれだけです。「生ワクチンである」とすれば正しい記述になります。あわせて、接種後しばらくワクチンウイルスが便中に排泄されることや、腸重積症への注意(初回接種は生後14週6日までが推奨)も押さえます。
3.ポリオウイルスワクチンの定期接種は廃止された。:2012年に中止されたのは経口生ポリオワクチンの使用です。ポリオの定期接種は不活化ワクチンに切り替えて続いているため、誤りです。出題当時は四種混合ワクチンなどで、第1期に初回3回と追加1回の計4回を接種していました。現在は、2024年4月からHibを加えた五種混合ワクチンも定期接種に用いられています。「経口生ポリオワクチンの使用が中止された」という内容であれば正しい記述です。世界には野生株ポリオの流行が残る地域があるため、接種は継続されています。
4.麻疹ウイルスワクチンは就学までに4回接種する。:麻疹の定期接種は原則としてMRワクチンを用います。第1期(1歳以上2歳未満)と第2期(小学校就学前の1年間)の計2回なので、4回は誤りです。「就学までに2回」であれば正しい記述になります。「4回」は、四種混合ワクチンの第1期の接種回数(初回3回・追加1回)と取り違えやすいので注意します。
5.ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンは筋肉内注射する。:正答。HPVワクチンは上腕三角筋部に筋肉内注射する不活化ワクチンです。対象は小学校6年から高校1年相当の女子で、出題当時は原則3回接種でした。接種後は血管迷走神経反射による失神に備え、30分程度座らせて観察します。
覚えるポイント
- 定期接種の生ワクチンはBCG・MR・水痘・ロタウイルスです。HPVワクチンや四種混合などは不活化ワクチンです。
- 経路はBCGが経皮(管針法)、ロタウイルスが経口、HPVが筋肉内注射(上腕三角筋部)です。筋注は45〜90度、皮下注は10〜30度で刺入します。
- BCGは2005年からツベルクリン反応なしの直接接種で、1歳未満(標準は生後5〜8か月)に行います。接種後10日以内の強い局所反応はコッホ現象を疑います。
- ポリオは2012年に経口生ワクチンから不活化ワクチンへ切り替わりました。定期接種は現在も続いています。
- MRワクチンは第1期(1歳)と第2期(就学前1年間)の計2回です。四種混合の第1期4回と区別します。
- 異なる種類のワクチンの接種間隔は、2020年10月から、注射生ワクチン同士を27日以上あける場合を除き、一律の日数制限がなくなりました。同じワクチンを複数回接種する場合は、ワクチンごとに定められた間隔を守ります(例:四種混合の第1期初回は20日以上の間隔)。
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