112AM011|第112回 看護師国家試験 過去問
健康な成人の白血球の中に占める割合が高いのはどれか。
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正解: 3
正答
3.好中球
この問題のポイント
白血球の分画、つまり白血球の種類ごとの割合の基準値を問う基礎問題です。手がかりは「健康な成人」という条件です。病気や年齢による変動は考えず、成人の標準的な分画を思い出せば解けます。成人では好中球が最も多く、次にリンパ球が多いという順序を確実に覚えておくことが鍵です。
解説
白血球の分類と分画の目安
白血球は2つに大別されます。
- 顆粒球:細胞質に顆粒をもつもので、好中球・好酸球・好塩基球が含まれます。
- 単核球:顆粒が目立たないもので、リンパ球・単球が含まれます。
いずれも骨髄の造血幹細胞から生まれます。健康な成人の白血球数はおおむね3,500〜9,000/μL程度です(基準範囲は施設や資料によって多少異なります)。その内訳の目安は次のとおりです。
- 好中球:約40〜70%(桿状核球と分葉核球の合計)
- リンパ球:約20〜40%
- 単球:数%(おおむね10%未満)
- 好酸球:数%(おおむね5%前後まで)
- 好塩基球:1%前後以下
数値の幅は資料によって少しずつ違います。ただし「好中球>リンパ球>単球>好酸球>好塩基球」という順序はどの資料でも共通です。好中球だけで白血球の半分以上を占めることが多い、と押さえておけば十分です。
好中球の働きと臨床での意味
好中球は細菌や真菌を貪食・殺菌する自然免疫の主役です。感染が起こると、真っ先に病巣へ集まります。膿は、役目を終えた好中球と細菌、組織の残骸が集まったものです。
- 増加する主な場面:細菌感染症、組織の炎症や壊死(心筋梗塞など)、強いストレス、副腎皮質ステロイドの投与などです。細菌感染では若い桿状核球の割合が増えます。これを核の左方移動とよびます。
- 減少する主な場面:抗がん薬や放射線療法による骨髄抑制、再生不良性貧血、抗甲状腺薬などによる無顆粒球症、重症敗血症などです。
好中球が多いのは、体内に侵入してくる細菌に即座に対応するためです。そのため、好中球が減ると感染への抵抗力は急速に落ちます。
臨床では、白血球数に好中球の割合を掛けた**好中球数(絶対数)**で評価します。たとえば白血球数2,000/μL、好中球20%なら、好中球数は400/μLです。好中球数が500/μLを下回ると重い感染症を起こしやすくなります。この状態で発熱すれば、発熱性好中球減少症として速やかな対応が必要です。化学療法中の患者に次のような指導をするのは、これが根拠です。
- 手指衛生を徹底し、人混みを避けるなどの感染予防行動をとる
- 発熱したらすぐ医療者に連絡する
年齢による違い
問題文が「健康な成人」と限定しているのは、分画が年齢で変わるためです。新生児期のごく早い時期を除くと、乳幼児期はリンパ球の割合が好中球を上回ります。幼児期後半ころに再び好中球が優位になります。したがって、小児の血液検査でリンパ球が優位でも、それだけで異常とは判断しません。
選択肢の確認
1.単球:白血球の中で最も大きな細胞ですが、健康な成人での割合は数%(おおむね10%未満)にとどまり、最も多いものには当たりません。血管外の組織へ移るとマクロファージ(肝臓のクッパー細胞、肺胞マクロファージなど)となり、貪食と抗原提示を担います。結核などの慢性感染症や、感染症の回復期に増えることがあります。「貪食作用をもつ細胞」を問われた場合は、選択肢3とともに正解になりうるので、問われ方の違いに注意します。
2.好酸球:健康な成人では数%(おおむね5%前後まで)しかなく、白血球の中で割合の高い細胞ではありません。気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や、寄生虫感染で増加します。副腎皮質ステロイドの投与では減少します。「アレルギーや寄生虫感染で増える白血球」を問われたときに選ぶ細胞で、割合の多さとは結びつきません。同じくアレルギーに関わる好塩基球はさらに少なく、ヒスタミンを放出する細胞です。
3.好中球:正答。健康な成人の白血球の約40〜70%を占め、最も割合の高い細胞です。細菌や真菌を貪食・殺菌する自然免疫の主役です。細菌感染症では数が増え、核の左方移動がみられます。一方、骨髄抑制などで500/μLを下回ると、重症感染の危険が高くなります。
4.リンパ球:健康な成人では約20〜40%を占め、選択肢3に次いで2番目に多い細胞ですが、最多ではありません。T細胞・B細胞・NK細胞からなります。T細胞とB細胞は獲得免疫(細胞性免疫と液性免疫)を担い、B細胞は形質細胞に分化して抗体を産生します。NK細胞はウイルス感染細胞や腫瘍細胞を攻撃します。ウイルス感染症で増えることが多く、HIV感染症ではCD4陽性T細胞が減少します。乳幼児期にはこの細胞の割合が選択肢3を上回ります。問題文が「成人」と限定しているのはそのためです。
覚えるポイント
- 成人の白血球分画は「好中球(約40〜70%)>リンパ球(約20〜40%)>単球>好酸球>好塩基球」の順です。
- 顆粒球は好中球・好酸球・好塩基球、単核球はリンパ球・単球です。
- 好中球は細菌を貪食する細胞で、細菌感染で増え、左方移動がみられます。リンパ球は獲得免疫を担い、抗体はB細胞由来の形質細胞がつくります。単球はマクロファージとなり、貪食と抗原提示を担います。好酸球はアレルギー・寄生虫感染で増え、好塩基球はヒスタミンを放出します。
- 好中球数は「白血球数×好中球の割合」で求めます。500/μL未満では重症感染の危険が高く、発熱時は緊急の対応が必要です。
- 副腎皮質ステロイドの投与で、好中球は増え、リンパ球と好酸球は減ります。
- 乳幼児期はリンパ球優位、成人は好中球優位です。
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