112AM010|第112回 看護師国家試験 過去問
体性感覚はどれか。
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正解: 2
正答
2.触覚
この問題のポイント
感覚の3分類(特殊感覚・体性感覚・内臓感覚)を理解しているかを問う基礎問題です。判断の鍵は、体性感覚が「皮膚や筋・腱・関節など全身に分布する受容器で受け取る感覚」だという定義です。頭部の専用感覚器で受け取る特殊感覚と区別できれば正答できます。選択肢のうち触覚だけが皮膚の受容器で生じる感覚で、残る3つは特殊感覚です。
解説
感覚の3分類
感覚は、受容器のある場所と伝える情報の性質によって次の3つに分けられます。
- 特殊感覚:頭部の専用の感覚器で受け取る感覚です。視覚(眼)、聴覚(内耳の蝸牛)、平衡覚(内耳の前庭・半規管)、味覚(舌の味蕾)、嗅覚(鼻腔の嗅上皮)の5つで、いずれも脳神経が伝えます。
- 体性感覚:皮膚・粘膜や筋・腱・関節など、全身に広く分布する受容器で受け取る感覚です。皮膚感覚(表在感覚)と深部感覚に分けられます。
- 内臓感覚:内臓の状態を伝える感覚です。空腹感・口渇・尿意・便意・悪心などの臓器感覚と、内臓痛に分けられます。
問題文の「体性感覚」は2番目の群にあたります。
体性感覚の内訳と受容器
- 皮膚感覚:触覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚です。触覚は主にマイスネル小体やメルケル盤が受け取ります。振動や強い圧はパチニ小体、温度覚と痛覚は自由神経終末が受け取ります。
- 深部感覚:関節の位置や動きを感じる位置覚・運動覚、振動覚、深部痛覚などです。筋紡錘、腱紡錘(ゴルジ腱器官)、関節の受容器が情報を受け取ります。
伝導路
体性感覚の情報は、体幹・四肢では脊髄、顔面では三叉神経を通ります。その後、視床で中継され、頭頂葉の中心後回(一次体性感覚野)に届きます。脊髄の中の経路は感覚の種類によって異なります。
- 識別性の触覚と深部感覚:同じ側の後索を上行し、延髄で交叉します(後索-内側毛帯路)。
- 温度覚と痛覚:脊髄に入ってすぐに交叉し、反対側の外側脊髄視床路を上行します。
この違いにより、脊髄の片側が損傷されると、損傷側には運動麻痺と深部感覚障害、反対側には温痛覚障害が現れます(ブラウン・セカール症候群)。
臨床・看護での意味
感覚検査では、感覚の種類ごとに次の方法で評価します。
- 触覚:筆や綿で皮膚に触れる
- 痛覚:先端の鋭い用具で刺激する
- 温度覚:温水と冷水を入れた試験管を当てる
- 振動覚:振動させた音叉を骨の突出部に当てる
- 位置覚:目を閉じてもらい、指趾を上下に動かして向きを答えてもらう
深部感覚が障害されると、目を閉じたときに立位の動揺が強くなります(ロンベルグ徴候陽性)。糖尿病による末梢神経障害では、足先・手先から左右対称に感覚が低下する手袋・靴下型の分布が典型的です。
皮膚感覚が低下した患者は、圧迫や熱による痛みに気付きにくくなります。そのため褥瘡や、湯たんぽ・カイロによる低温熱傷のリスクが高まります。ブレーデンスケールに「知覚の認知」という項目があるのはこのためです。フットケア、体位変換、温罨法の温度管理といった援助の根拠になる知識です。
取り違えやすい点
身体のバランス保持には、内耳の平衡覚に加えて、目からの情報や足底・関節からの深部感覚も使われます。それでも、感覚の分類上は平衡覚そのものは特殊感覚です。
また、内臓の痛みを同じ脊髄レベルに入る皮膚領域の痛みとして感じることを関連痛といいます。心筋梗塞で左肩から左腕が痛むのが代表例で、内臓感覚と体性感覚の関係としてよく問われます。
選択肢の確認
1.視覚:眼球の網膜にある視細胞(杆体・錐体)が光を受け取り、視神経(第2脳神経)を経て後頭葉に伝えられる特殊感覚です。頭部の専用器官で生じる感覚なので、体性感覚には含まれません。
2.触覚:正答。皮膚の機械受容器(マイスネル小体、メルケル盤など)が軽い接触を受け取って生じる皮膚感覚で、体性感覚の代表です。識別性のものは後索を、粗大なものは前脊髄視床路を上行し、頭頂葉の中心後回で認識されます。
3.聴覚:内耳の蝸牛にあるコルチ器の有毛細胞が音の振動を受け取り、内耳神経(第8脳神経)の蝸牛神経を経て側頭葉に伝えられる特殊感覚です。「振動を受け取る」という点で、音叉で調べる深部感覚の振動覚と混同しないよう注意します。
4.平衡覚:内耳の前庭(卵形嚢・球形嚢の耳石器)が頭部の傾きと直線加速度を、半規管が回転(角加速度)を感知し、内耳神経の前庭神経が伝える特殊感覚です。姿勢の保持には深部感覚も関わりますが、この感覚自体は頭部の専用器官で受け取るため、体性感覚には当たりません。
覚えるポイント
- 特殊感覚は「視・聴・平衡・味・嗅」の5つです。頭部の専用器官で受け取り、脳神経(視神経、内耳神経、顔面・舌咽・迷走神経、嗅神経)が伝えます。
- 体性感覚=皮膚感覚(触・圧・温・冷・痛)+深部感覚(位置覚・運動覚・振動覚・深部痛覚)です。
- 内臓感覚=臓器感覚(空腹・口渇・尿意・便意・悪心)+内臓痛です。内臓痛が皮膚の痛みとして感じられるのが関連痛です。
- 伝導路は2系統です。識別性触覚・深部感覚は後索を上行して延髄で交叉し、温痛覚は脊髄で交叉して外側脊髄視床路を上行します。どちらも視床を経て中心後回に至ります。
- 一次感覚野の位置は、体性感覚が頭頂葉の中心後回、視覚が後頭葉、聴覚が側頭葉です。
- 深部感覚が障害されるとロンベルグ徴候が陽性になります。皮膚感覚が低下すると褥瘡・低温熱傷のリスクが高まります。
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