112AM032|第112回 看護師国家試験 過去問
老人福祉法と介護保険法のいずれにも位置付けられている施設はどれか。
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正解: 4
正答
4.老人デイサービスセンター
この問題のポイント
高齢者向けの施設がどの法律を根拠にしているかを問う問題です。老人福祉法は7種類の「老人福祉施設」を定めています。そのうち介護の場となる施設は、介護保険法でもサービスの提供場所として位置づけられています。老人デイサービスセンターは老人福祉法上の老人福祉施設であり、介護保険法の通所介護の定義にも施設名が明記されている点が決め手です。
解説
2つの法律の関係
老人福祉法(1963年制定)は、高齢者の心身の健康の保持と生活の安定のために必要な措置を講じ、高齢者の福祉を図ることを目的とする法律です。老人福祉施設として、次の7種類を定めています。
- 老人デイサービスセンター
- 老人短期入所施設
- 養護老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 老人福祉センター
- 老人介護支援センター
介護保険法(1997年制定、2000年施行)ができるまで、高齢者の介護サービスの多くは老人福祉法の「措置」として行われていました。措置とは、市町村がサービスの必要性を判断して提供を決める仕組みです。介護保険制度の開始後は、利用者が事業者と契約してサービスを利用する仕組みが基本になりました。これに伴い、老人福祉法上の施設のうち介護の場となるものは、介護保険法でも給付対象サービスの提供場所として位置づけられました。
ただし、老人福祉法の措置の規定は現在も残っています。虐待などやむを得ない事由で、介護保険の契約による利用が難しい場合には、市町村が措置によってサービスの提供や施設への入所を決めることができます。退院支援や在宅療養の調整では、要介護認定の有無と要介護度に加え、契約で対応できるか、措置が必要な状況かを見極める場面があります。施設の根拠法を理解していると、ケアマネジャーや市町村と連携するときにどの制度を使うかを判断しやすくなります。
老人デイサービスセンターの位置づけ
老人福祉法上の老人デイサービスセンターは、身体上・精神上の障害のため日常生活に支障がある高齢者を通わせる施設です。入浴・排泄・食事などの介護、機能訓練、介護方法の指導などを行います。
介護保険法は通所介護を、居宅要介護者を老人デイサービスセンターなどに通わせ、入浴・排泄・食事などの介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を行うことと定義しています。つまり、施設名が介護保険法の条文に登場します。老人福祉法の側でも、老人デイサービスセンターの利用者として、措置による利用者と並んで介護保険の通所介護などの利用者が規定されています。2つの法律が互いを参照している関係です。
利用定員18人以下の小規模な事業所は、地域密着型通所介護として市町村長が指定します。要支援者向けだった介護予防通所介護は、2014年の介護保険法改正により、介護予防訪問介護とともに介護予防・日常生活支援総合事業へ移行しました。現在は総合事業の通所型サービスとして提供されています。一方、介護予防通所リハビリテーションと介護予防認知症対応型通所介護は、総合事業に移行せず予防給付として存続しています。
同じように両方の法律に位置づけられている施設には、次のようなものがあります。
- 特別養護老人ホームは、指定を受けると介護保険法上の介護老人福祉施設になります。入所定員29人以下の場合は地域密着型介護老人福祉施設です。
- 老人短期入所施設は、短期入所生活介護(ショートステイ)の提供場所として介護保険法に登場します。
- 有料老人ホームは介護保険法の条文で、養護老人ホームと軽費老人ホームは厚生労働省令で、特定施設として定められています。指定を受ければ特定施設入居者生活介護を提供できます。このサービスは介護保険施設のサービスではなく、居宅サービスに分類されます。
一方、老人福祉施設であっても、老人福祉センターのように介護保険法に位置づけのない施設もあります。本問の選択肢のうち、両方の法律に位置づけられているのは老人デイサービスセンターだけです。
介護保険法に根拠をもつ施設
出題当時の介護保険施設は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設(経過措置として存続)の4種類でした。介護療養型医療施設は2024年3月末で廃止され、現在は3種類です。
特別養護老人ホームは老人福祉法に基づいて設置され、介護保険法上は介護老人福祉施設としての「指定」を受けます。これに対し、介護老人保健施設と介護医療院は、介護保険法そのものに基づいて都道府県知事の「開設許可」を受けます。どちらも老人福祉法の老人福祉施設ではなく、医療法で医療提供施設とされています。「福祉を基盤とする施設か、医療と介護を一体的に提供する施設か」で根拠法を整理すると、混乱しにくくなります。
選択肢の確認
1.介護医療院:2017年の介護保険法改正により2018年4月に創設された介護保険施設で、老人福祉法に定められた施設ではないため当てはまりません。主として長期にわたる療養が必要な要介護者が対象です。療養上の管理、看護、医学的管理下での介護、機能訓練などの医療と、日常生活上の世話を一体的に提供します。介護療養型医療施設の主な転換先として設けられました。医療法上の医療提供施設でもあるため、「医療法と介護保険法の両方」に位置づけられる施設を問われた場合は該当します(選択肢2も同様)。
2.介護老人保健施設:介護保険法に規定される介護保険施設で、老人福祉法の老人福祉施設ではないため当てはまりません。要介護者に看護、医学的管理下での介護、機能訓練などを行い、心身機能の維持回復と在宅復帰を支援する施設です。もとは1986年の老人保健法改正で創設された老人保健施設で、2000年の介護保険法施行に伴って介護保険法に移行しました。「老人保健法」と「老人福祉法」は取り違えやすいので注意が必要です。
3.老人福祉センター:老人福祉法の老人福祉施設ですが、介護保険法には位置づけられていないため当てはまりません。無料または低額な料金で高齢者の各種相談に応じ、健康の増進、教養の向上、レクリエーションのための便宜を総合的に提供する施設です。要介護者に介護を提供する場ではないため、介護保険の給付対象サービスとは結びつきません。この点が選択肢4との違いです。
4.老人デイサービスセンター:正答。老人福祉法に定める老人福祉施設です。同時に、介護保険法の通所介護の定義に提供場所として施設名が明記されており、両方の法律に位置づけられています。介護保険制度の開始後は、多くの人が契約による通所介護として利用しています。虐待などやむを得ない事由がある場合は、老人福祉法の措置による利用も可能です。
覚えるポイント
- 老人福祉法の老人福祉施設は7種類です(老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター)。
- 介護保険サービスの提供場所として両法に位置づけられる代表例は、老人デイサービスセンター(通所介護)、老人短期入所施設(短期入所生活介護)、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)です。有料老人ホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホームも、介護保険法の特定施設として、指定を受ければ特定施設入居者生活介護を提供できます。老人福祉センターのように、介護保険法に位置づけのない老人福祉施設もあります。
- 介護老人保健施設と介護医療院は介護保険法に規定され、都道府県知事の開設許可を受けます。医療法上の医療提供施設でもあります。
- 介護保険施設は現在3種類です(出題当時は介護療養型医療施設を含む4種類。2024年3月末で廃止)。介護老人福祉施設への新規入所は原則要介護3以上、老健と介護医療院は要介護1以上が対象です。
- 養護老人ホームは介護保険施設ではありません。65歳以上で、環境上および経済的理由により居宅での養護が困難な人が、市町村の措置によって入所します。
- 老人介護支援センターは老人福祉法、地域包括支援センターは介護保険法に規定されます。有料老人ホームは老人福祉法に規定されますが、老人福祉施設には含まれません。
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