112AM055|第112回 看護師国家試験 過去問

65歳以上の高齢者が要介護認定の有無に関わらず利用できるのはどれか。

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正解: 1

正答

1.介護予防教室

この問題のポイント

介護保険制度の支援のうち、要介護認定(要支援認定を含む)を受けて初めて使えるサービスと、認定がなくても使える事業を区別できるかを問う問題です。介護保険の給付(居宅サービス・地域密着型サービス・施設サービス)は、すべて認定を受けていることが利用の前提です。一方、市町村が行う地域支援事業のうち一般介護予防事業は、65歳以上のすべての人(第1号被保険者)を対象としています。各選択肢が「給付」と「事業」のどちらに当たるかを見分ければ、正答にたどり着けます。

解説

介護保険の「給付」と「事業」

介護保険法に基づく支援には、大きく分けて次の2つがあります。

  • 保険給付:要介護者への介護給付と、要支援者への予防給付があります。利用するには、市町村に申請し、要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。訪問調査と主治医意見書をもとに介護認定審査会が審査・判定し、その結果に基づいて市町村が認定します。
  • 地域支援事業:実施主体は市町村です。要介護状態になることを予防し、要介護状態になっても地域で自立した生活を続けられるよう支援することを目的とします。介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)、包括的支援事業、任意事業で構成されます。

総合事業の2つの柱

総合事業は、対象者の異なる2つの事業からなります。

  • 介護予防・生活支援サービス事業:訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援サービス、介護予防ケアマネジメントを行います。対象は原則として、要支援1・2の人と、基本チェックリスト(25項目)で生活機能の低下が認められた「事業対象者」です。要支援認定を受けていなくても、チェックリストで事業対象者と判定されれば利用できます。
  • 一般介護予防事業:対象は、第1号被保険者のすべてと、その支援のための活動に関わる人です。認定もチェックリストによる判定も要りません。

一般介護予防事業は、次の5つの事業で構成されます。

  • 介護予防把握事業:閉じこもりなど、支援が必要な人を把握して介護予防活動につなげます。
  • 介護予防普及啓発事業:介護予防教室や講演会の開催、パンフレットの配布などを行います。
  • 地域介護予防活動支援事業:住民主体の通いの場の育成や、ボランティアの養成などを行います。
  • 一般介護予防事業評価事業:介護保険事業計画の目標の達成状況などを検証し、事業を評価します。
  • 地域リハビリテーション活動支援事業:リハビリテーション専門職が通いの場や地域ケア会議などに関わり、介護予防の取り組みを強化します。

正答に至る判断

問題文の手がかりは「65歳以上の高齢者」と「要介護認定の有無に関わらず」の2つです。これは、第1号被保険者全員を対象とする一般介護予防事業を指しています。したがって、正答は介護予防教室です。

認定を受けていない人だけでなく、すでに要介護・要支援と認定された人も参加できる点が「有無に関わらず」の意味です。介護予防には、要介護状態の発生を防ぐことに加え、重度化を防ぐことも含まれるためです。

残る3つの選択肢は、いずれも要介護1〜5と認定された人を対象とする保険給付(介護給付)のサービスです。介護老人保健施設への入所、夜間対応型訪問介護、通所介護は、認定のない人はもちろん、要支援の人も利用できません。

実践との関連

地域包括支援センターや市町村保健センターの看護職は、認定を受けていない高齢者に関わる場面がよくあります。たとえば、フレイル傾向がある人や、閉じこもりがちな人です。こうした人には介護予防教室や通いの場を紹介し、社会参加を保って生活機能の低下を早めに防ぎます。認定の申請に抵抗がある人にも勧めやすい入口です。生活機能の低下が目立つ場合は、基本チェックリストによる判定や要介護認定の申請につなげます。

選択肢の確認

1.介護予防教室:正答。市町村が一般介護予防事業(主に介護予防普及啓発事業)として行う取り組みです。第1号被保険者であれば、要介護認定の有無に関わらず、認定の申請も基本チェックリストによる判定も経ずに参加できます。内容は、運動機能の向上のための体操、口腔機能の向上、栄養改善、認知機能の低下予防などです。

2.介護老人保健施設:要介護1〜5と認定された人が入所する施設サービスなので、認定を受けていない人は利用できません。病状が安定した要介護者に、看護・医学的管理のもとで介護と機能訓練を行い、在宅復帰を目指す施設です。要支援の人は入所できません。この施設が行う短期入所療養介護(ショートステイ)は、要介護の人は介護給付、要支援の人は予防給付(介護予防短期入所療養介護)として利用でき、どちらも認定が前提です。混同しやすい介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、新規入所が原則として要介護3以上に限られます。介護医療院は要介護1以上が対象です。

3.夜間対応型訪問介護:要介護1〜5と認定された人だけが利用できる地域密着型サービスで、認定を受けていない人は利用できません。夜間に、定期巡回と、利用者からの通報に応じた随時訪問を組み合わせて介護を提供します。このサービスには要支援者向けの介護予防版がなく、要支援の人も利用できません。地域密着型サービスは市町村が事業者を指定し、原則としてその市町村の住民(被保険者)だけが利用できます。日中・夜間を通じて訪問介護と訪問看護を一体的に、または密接に連携して提供する定期巡回・随時対応型訪問介護看護も、同じく要介護者だけが対象です。

4.通所介護〈デイサービス〉:要介護1〜5と認定された人が通う居宅サービスで、認定がなければ利用できません。入浴・排泄・食事などの介護、機能訓練、レクリエーションを提供し、心身機能の維持、社会的孤立感の解消、家族の介護負担の軽減(レスパイト)を目的とします。要支援者向けだった介護予防通所介護は、2014年の介護保険法改正により介護予防訪問介護とともに総合事業へ移り、2017年度末までに移行を終えました。そのため出題時点で、要支援の人が通所介護に相当する支援を受けるには、総合事業の通所型サービスを使います。その利用にも、要支援認定または基本チェックリストによる判定が必要です。ただし、総合事業へ移ったのはこの2つだけです。介護予防通所リハビリテーションや介護予防認知症対応型通所介護は、出題時点でも要支援の人への給付として残っています。通所リハビリテーション〈デイケア〉は、主治医が必要と認めた人に理学療法・作業療法などのリハビリテーションを行うサービスで、要介護の人は介護給付、要支援の人は予防給付として利用します。日常生活上の介護や交流が中心のデイサービスとの違いを押さえましょう。

覚えるポイント

  • 介護保険の保険給付(介護給付・予防給付)は、すべて要介護認定・要支援認定が前提です。40〜64歳の第2号被保険者は、特定疾病が原因で認定を受けた場合に限り給付を受けられます。
  • 認定がなくても使える支援は、市町村の地域支援事業の中にあります。一般介護予防事業は65歳以上の第1号被保険者すべてが対象で、認定も判定も不要です。代表例は介護予防教室と住民主体の通いの場です。
  • 介護予防・生活支援サービス事業(訪問型・通所型サービスなど)は、原則として要支援者と、基本チェックリスト(25項目)で該当した事業対象者が対象です。
  • 2014年の介護保険法改正で予防給付から総合事業へ移ったのは、介護予防訪問介護と介護予防通所介護の2つだけです。介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリテーション、介護予防認知症対応型通所介護などは、改正後も要支援者への給付として残りました。
  • 要介護者だけが対象のサービスには、施設サービス(介護老人保健施設・介護医療院・介護老人福祉施設)、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、通所介護などがあります。特別養護老人ホームの新規入所は、原則として要介護3以上です。
  • デイサービス(通所介護)は介護・機能訓練・交流が中心です。デイケア(通所リハビリテーション)は、主治医が必要と認めた人へのリハビリテーションが中心です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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