112AM067|第112回 看護師国家試験 過去問
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に基づき、精神障害者に適用されるのはどれか。
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正解: 4
正答
4.自立支援医療(精神通院医療)
この問題のポイント
精神障害者が利用できる制度を、その根拠となる法律と正しく結びつけられるかを問う問題です。4つの選択肢はどれも精神障害者に関係する制度ですが、「障害者総合支援法に基づく」という条件を満たすのは、自立支援給付の一つである自立支援医療だけです。年金は国民年金法、雇用義務は障害者雇用促進法、手帳は精神保健福祉法という対応を押さえていれば、確実に選べます。
解説
問題文の手がかり
鍵は「障害者総合支援法に基づき」という限定です。精神障害者に関係がある制度かどうかではなく、どの法律に基づく制度かが問われています。4つとも精神障害者が利用できるため、根拠法を知らなければ判断できません。
障害者総合支援法の全体像
障害者総合支援法は、障害者自立支援法を改正・改称して2013年に施行されました。主な特徴は次のとおりです。
- 対象:身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)、難病等の患者です。障害の種別にかかわらず、共通の仕組みでサービスを提供します。
- 実施主体:原則として市町村です。
- 自立支援給付:個別に支給されるサービスです。介護給付(居宅介護、短期入所、生活介護など)、訓練等給付(自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、共同生活援助など)、自立支援医療、補装具、相談支援が含まれます。
- 地域生活支援事業:市町村や都道府県が地域の実情に応じて行う事業です。移動支援、日常生活用具給付、地域活動支援センターなどがあります。
自立支援医療と精神通院医療
自立支援医療は、次の3種類からなる公費負担医療です。
- 更生医療:18歳以上の身体障害者が対象
- 育成医療:18歳未満の身体障害児が対象
- 精神通院医療:精神疾患があり、継続的な通院医療が必要な人が対象
いずれも医療費の自己負担を原則1割に軽減し、所得に応じて月額の上限額を設けています。
精神通院医療の対象疾患は、統合失調症、うつ病などの気分障害、不安障害、依存症、てんかん、認知症などです。対象となるのは外来診療、外来での投薬、精神科デイケア、精神科訪問看護などの通院医療で、入院医療は対象外です。申請窓口は市町村、実施主体は都道府県・指定都市で、受給者証の有効期間は1年です。手帳を持っていなくても利用できます。
この制度は、かつて精神保健福祉法第32条の「通院医療費公費負担制度」として運用されていました。2006年に障害者自立支援法のもとで自立支援医療へ移されています。「精神の制度だから精神保健福祉法」と考えると誤りやすいのは、この経緯があるためです。
実践とのつながり
統合失調症やうつ病では、服薬や通院の中断が再発の大きな要因になります。医療費の負担は治療中断の一因になるため、精神通院医療による負担軽減は再発予防と地域生活の継続を支える仕組みです。看護師は、外来や訪問看護の場で経済的な不安を把握し、制度の存在を伝えます。そのうえで精神保健福祉士や市町村の窓口につなぐ役割を担います。
選択肢の確認
1.障害基礎年金:国民年金法に基づく所得保障の給付であり、障害者総合支援法の制度ではありません。障害等級1級・2級に該当する人に支給され、精神障害も支給対象になります。20歳前に初診日がある場合も、所得制限を伴って支給されます。厚生年金の被保険者期間中に初診日がある場合、1級・2級では国民年金からの給付(1階)に、厚生年金保険法に基づく障害厚生年金(2階)が上乗せされます。3級は国民年金の障害等級に含まれないため、障害厚生年金だけが支給され、最低保障額が設けられています。3級より軽い一定の障害が残った場合には、一時金の障害手当金があります。年金の等級は手帳の等級とは別の基準で認定される点も、混同しやすいところです。
2.一定割合の雇用義務:事業主に法定雇用率以上の障害者雇用を義務づける障害者雇用率制度のことで、根拠法は障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)です。精神障害者は2018年4月から雇用義務の対象に加わりました。出題当時の民間企業の法定雇用率は2.3%でした。その後は段階的に引き上げられ、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%となっています。障害者総合支援法の就労移行支援や就労継続支援は「福祉サービス」であり、事業主への「雇用義務」とは別の制度であることを区別しておきましょう。
3.精神障害者保健福祉手帳:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)第45条に基づいて交付されるもので、障害者総合支援法の制度ではありません。等級は1〜3級、有効期間は2年で、初診日から6か月以上経過していることが申請の条件です。申請は市町村の窓口で行い、交付は都道府県知事(指定都市では市長)が行います。税の控除や公共料金の割引などが受けられます。なお、身体障害者手帳は身体障害者福祉法に基づきます。療育手帳は法律ではなく国の通知に基づき、都道府県等が実施しています。
4.自立支援医療(精神通院医療):正答。障害者総合支援法の自立支援給付に位置づけられる公費負担医療です。通院による精神医療の自己負担を原則1割に軽減し、所得に応じた月額上限を設けています。外来診療、外来での投薬、デイケア、訪問看護が対象で、入院は対象外です。受給者証の有効期間は1年で、手帳の所持を条件としません。
覚えるポイント
- 障害者総合支援法の対象は、身体・知的・精神(発達障害を含む)・難病等です。サービスは自立支援給付(介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具、相談支援)と地域生活支援事業に分かれます。
- 自立支援医療は、更生医療(18歳以上)、育成医療(18歳未満)、精神通院医療の3種類で、自己負担は原則1割です。
- 精神通院医療は外来・デイケア・訪問看護が対象で、入院は対象外です。有効期間は1年で、手帳がなくても利用できます。
- 根拠法の対応:障害基礎年金は国民年金法、法定雇用率は障害者雇用促進法、精神障害者の手帳は精神保健福祉法、身体障害者手帳は身体障害者福祉法、療育手帳は通知が根拠です。
- 有効期間は、精神障害者の手帳が2年、自立支援医療(精神通院)の受給者証が1年です。数字の取り違えに注意しましょう。
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