112PM064|第112回 看護師国家試験 過去問

一般の事業所や企業に就労を希望する精神障害者に対して行う支援で、24か月間を原則として就職に必要な訓練や求職活動を行うのはどれか。

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正解: 1

正答

1.就労移行支援

この問題のポイント

障害者総合支援法の障害福祉サービスのうち、就労と地域生活を支えるサービスについて、目的・対象・利用期間の違いを問う問題です。手がかりは「一般の事業所や企業に就労を希望する」「24か月間を原則」「就職に必要な訓練や求職活動」の3つです。一般就労に向けて期間を区切って準備する就労移行支援の特徴に、この3つがすべて当てはまります。

解説

問題文の手がかりを読み解く

  • 「一般の事業所や企業に就労を希望する」:目標は一般就労です。障害者雇用枠を含め、企業などに雇用されることを指します。
  • 「24か月間を原則」:標準利用期間が決められたサービスであることがわかります。就労継続支援(A型・B型)には利用期間の定めがないので、この条件で区別できます。
  • 「就職に必要な訓練や求職活動」:働く場を提供するサービスではありません。就職に向けた準備と、就職活動そのものを支えるサービスです。

障害者総合支援法の就労系サービス

障害者総合支援法の障害福祉サービスは、介護給付と訓練等給付に分かれます。就労に関するサービスは訓練等給付に含まれます。対象は身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)・難病等のある人で、精神障害者も同じ枠組みで利用できます。

  • 就労移行支援:一般就労を希望し、就労が可能と見込まれる人が対象です。標準利用期間は2年(24か月)で、次のような支援を行います。
    • 事業所内での作業訓練
    • 職場実習
    • 履歴書の作成や面接練習などの求職活動の支援
    • 適性に合った職場の開拓
    • 就職後の一定期間の職場定着支援
      必要性が認められた場合に限り、期間が延長されることがあります。
  • 就労継続支援A型:一般企業での雇用が現時点では難しい人が、事業所と雇用契約を結んで働きます。最低賃金が適用され、利用期間の定めはありません。
  • 就労継続支援B型:雇用契約を結ばず、作業の対価として工賃を受け取りながら生産活動を行います。利用期間の定めはありません。
  • 就労定着支援:一般就労に移った人が職場に定着できるよう支えるサービスです。生活リズム、体調管理、金銭管理など生活面の課題について相談に応じ、企業や関係機関との連絡調整を行います。利用期間は最長3年です。

流れで整理すると、「就労移行支援で準備する → 一般就労 → 就労定着支援で定着を支える」が一般就労への道筋です。就労継続支援は「支援を受けながら働く場」であり、ここで経験を積んでから一般就労へ移る人もいます。

精神障害者の就労支援と看護の役割

精神障害のある人は、次のような点が就労を続けるうえでの課題になりやすく、症状に波があることも少なくありません。

  • 疲れやすさ
  • ストレスへの対処
  • 服薬の継続と体調管理
  • 対人関係での緊張

そのため、いきなり就職するより、次の段階を踏むほうが就労の継続につながりやすくなります。

  • 生活リズムを整える
  • 作業に耐える力や対人スキルを少しずつ高める
  • 職場実習で自分に合う仕事を確かめる

看護師は、退院支援、外来、精神科デイケア、訪問看護などの場面で次のような役割を担います。

  • 本人の就労への希望を聞き取る
  • 病状の安定度や生活リズムを評価する
  • 主治医や相談支援専門員(サービス等利用計画を作成する)と連携し、適切なサービスにつなげる

労働分野の支援機関も区別して覚えておきましょう。ハローワーク(公共職業安定所)、地域障害者職業センター(職業評価やジョブコーチによる支援)、障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法などに基づく機関です。なお、精神障害者は2018年4月から障害者雇用義務の対象に加わっています。

出題当時の就労系サービスは上記のとおりです。その後、2022年の障害者総合支援法の改正で、本人の希望や能力に合う働き方を一緒に考える「就労選択支援」が新設され、2025年10月から始まっています。

選択肢の確認

1.就労移行支援:正答。一般就労を希望する障害者に、標準利用期間2年(24か月)の中で、生活リズムや作業に耐える力を整える訓練、職場実習、求職活動の支援、職場開拓を行います。就職後も一定期間、定着を支えます。問題文の「一般の事業所や企業」「24か月間を原則」「訓練や求職活動」のすべてに合致します。

2.自立生活援助:障害者支援施設、グループホーム、精神科病院などから一人暮らしに移った人を対象とするサービスです。定期的な居宅訪問と随時の相談対応により、生活上の課題を確認し、助言や関係機関との調整を行います。目的は地域での一人暮らしを続けることで、就職のための訓練ではありません。標準利用期間も1年で、24か月という条件と合いません。精神科病院からの地域移行と関連して出題されやすいので、相談支援の地域移行支援・地域定着支援とあわせて整理しておきましょう。

3.ピアサポート:同じ病気や障害の経験をもつ当事者どうしが、体験を共有し、対等な立場で支え合う活動です。精神保健医療福祉の分野では、退院支援や地域移行の場で当事者がピアサポーターとして関わる取り組みが広がっています。しかし、期間を定めて就職のための訓練や求職活動を行う障害福祉サービスそのものではありません。「当事者どうし」「対等な関係」「体験の共有」がキーワードで、断酒会やAAなどのセルフヘルプグループとあわせて問われます。

4.就労継続支援A型:一般企業での雇用が現時点では難しい人が、事業所と雇用契約を結んで働く場を得るサービスです。最低賃金以上の賃金が支払われます。利用期間の定めはないため、24か月を原則とする問題文の条件に合いません。雇用契約を結ばず工賃を受け取るB型との違い(雇用契約と最低賃金の有無)がよく問われます。選択肢1と混同しやすいですが、A型の中心は「働く場の提供」、選択肢1の中心は「就職に向けた準備と求職活動」です。

覚えるポイント

  • 就労移行支援:一般就労を目指す訓練と求職活動の支援。標準利用期間は2年(24か月)。
  • 就労継続支援:A型は雇用契約あり・最低賃金適用、B型は雇用契約なし・工賃。どちらも利用期間の定めはありません。
  • 就労定着支援:一般就労した後の生活面の課題を支えるサービス。利用期間は最長3年。
  • 自立生活援助:施設・病院・グループホームから一人暮らしに移った人への定期訪問と随時対応。標準利用期間は1年。
  • 就労系サービスは障害者総合支援法の訓練等給付です。ハローワーク、地域障害者職業センター(ジョブコーチ)、障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法などに基づく労働分野の機関として区別します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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