112AM090|第112回 看護師国家試験 過去問

看護のアウトカムを評価するために収集する情報はどれか。2つ選べ。

2つ選択
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正解: 1・2

正答

1.褥瘡発生率
2.患者の満足度

この問題のポイント

医療・看護の質を、ドナベディアンの「構造(ストラクチャー)・過程(プロセス)・結果(アウトカム)」の3側面で整理できるかを問う問題です。アウトカムは「ケアを受けた結果として患者に生じた変化」を指します。そのため、各選択肢が患者の状態や評価を表しているのか、職員や組織の体制・活動量を表しているのかを見分けることが鍵になります。「回数」「開催」「実施」は活動量を表し、「発生率」「満足度」は患者側に生じた結果を表す言葉だと読み取ります。

解説

質評価の3つの側面

医療の質を評価する枠組みとして最もよく知られているのが、ドナベディアン(Donabedian)が提唱した構造・過程・結果の3側面モデルです。看護管理や医療の質改善でも、基本的な考え方として用いられています。

  • 構造(ストラクチャー):ケアを提供するための条件や体制です。施設・設備、看護職員の人数と配置、資格や経験年数、教育・研修の体制、マニュアルや委員会の整備などが含まれます。
  • 過程(プロセス):実際に患者に対して行われたケアの内容と量です。アセスメントや看護計画の立案、体位変換・清潔ケア・与薬などの実施、指導や説明の実施状況、記録などが含まれます。
  • 結果(アウトカム):ケアの結果として患者に生じた変化です。症状や健康状態の改善、合併症・有害事象(褥瘡、転倒・転落、医療関連感染など)の発生、ADLやQOLの変化、在院日数、再入院、死亡、患者の満足度などが含まれます。

ドナベディアンは、良い構造は良い過程を生みやすく、良い過程は良い結果につながりやすいという関係を想定しました。構造と過程は「結果を生み出すための条件と手段」にあたります。結果は「最終的に患者にとってどうだったか」を示すものです。

同じテーマで3側面を並べてみる

3つの側面は、1つのテーマで並べると区別しやすくなります。褥瘡対策を例にすると、次のようになります。

  • 構造:体圧分散マットレスの配備数、褥瘡対策チームや皮膚・排泄ケア認定看護師の配置
  • 過程:入院時の褥瘡リスクアセスメントの実施率、体位変換や除圧ケアの実施状況
  • 結果:褥瘡の発生率、治癒までの期間

「実施率」「実施回数」は、ケアをしたかどうかを示します。「発生率」は、ケアの結果として患者に何が起きたかを示します。語尾だけで機械的に判断するのではなく、その数値が「誰に起きた何を表しているか」を考える習慣をつけましょう。そうすれば、初めて見る指標にも対応できます。

患者満足度は、検査値のような客観的指標ではありません。しかし、ケアを受けた患者自身がそのケアをどう受け止めたかを表す結果であり、ドナベディアン自身もアウトカムに含めています。患者中心の医療という観点から、客観的な健康状態の指標と並んで重視されます。

一方、新人看護師の離職率は、看護職員の確保と定着という提供体制の安定性を反映する職員側の指標です。職場環境改善の取り組みの成果として用いられることはあります。しかし、看護を受けた患者に生じた変化ではないため、設問の「看護のアウトカム」には当たりません。

実践での使い方

アウトカム指標は、患者の重症度や年齢などの影響を受けます。そのため、結果の数値だけで看護の良し悪しを判断すると誤ることがあります。実際の質改善では、構造・過程・結果を組み合わせて測定します。結果が悪化したときは、過程や構造のどこに原因があるかをたどります。病棟で質改善に取り組むときは、まず「何を結果として改善したいのか」を決めます。そのうえで、それに影響する過程と構造を指標として設定するのが基本です。

選択肢の確認

1.褥瘡発生率:正答。褥瘡は、体位変換や除圧、スキンケア、栄養管理といった看護ケアの質が反映されやすい有害事象です。その発生率は、ケアの結果として患者に生じた状態を示す代表的なアウトカム指標です。転倒・転落や医療関連感染の発生率も、同じくアウトカムに分類されます。

2.患者の満足度:正答。受けた看護や医療を患者自身がどう評価したかを示す指標で、ドナベディアンの枠組みでもアウトカムに位置づけられています。主観的な指標ではありますが、患者側に生じた結果である点が、構造や過程の指標との違いです。

3.研修会の開催回数:この数値は、看護職員への教育体制がどれだけ整っているか、あるいは組織として教育活動をどれだけ行ったかを示します。構造または過程の側面に関わる指標です。研修が職員の能力向上を通じて患者の結果に影響することはあります。しかし、開催した回数そのものは患者に生じた変化ではないため、アウトカムには当たりません。

4.新人看護師の離職率:人員の確保と定着という看護提供体制の安定性を示す職員側の指標で、構造に関連する要素です。人事施策や職場環境改善の成果を見る指標として使われることはあります。しかし、看護を受けた患者の状態や評価を表すものではないため、看護のアウトカムとしては選びません。

5.退院指導の実施回数:患者に対して実際に行ったケアの量を数えた指標で、過程(プロセス)に該当します。指導の結果として患者のセルフケア能力が向上したか、退院後の再入院が減ったかを測れば、それはアウトカムになります。指導を多く行ったことと、内容が理解されて行動変容につながったことは別であり、ここを取り違えないようにします。

覚えるポイント

  • 医療・看護の質は、ドナベディアンの構造・過程・結果の3側面で評価します。
  • 構造は提供体制(設備、人員配置、資格、教育体制、マニュアル)です。過程は実際に行ったケア(実施率、実施回数、記録)です。結果は患者に生じた変化(合併症の発生率、ADL・QOL、在院日数、再入院、死亡、満足度)です。
  • 「〜の実施回数」「〜の開催回数」は活動量であり、アウトカムではありません。同じテーマでも、「実施率」は過程、「発生率」は結果と区別します。
  • 患者満足度は主観的な指標ですが、アウトカムに含まれます。
  • 職員の離職率や人員配置は、患者の結果ではなく提供体制(構造)に関わる指標として整理します。
  • アウトカムは患者背景の影響を受けるため、3側面を組み合わせて評価します。結果が悪化したときは、その原因を過程・構造にさかのぼって探し、改善につなげます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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