112PM025|第112回 看護師国家試験 過去問

腹部前面を図に示す。 McBurney〈マックバーニー〉圧痛点はどれか。

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正解: 3

正答

3.③

この問題のポイント

急性虫垂炎で圧痛がもっとも強く出やすいMcBurney〈マックバーニー〉圧痛点の位置を、体表の目印を使って見つける問題です。McBurney点は、臍と右上前腸骨棘を結ぶ線の外側1/3(右上前腸骨棘から1/3)にある点で、この定義を図に当てはめます。図は患者と向かい合った向きで描かれているので、患者の右側が向かって左になる点にも注意します。

解説

図の手がかりは、中央の「臍」と、左右の端に矢印で示された上前腸骨棘です。向かって左に「右上前腸骨棘」、向かって右に「左上前腸骨棘」と書かれています。つまりこの図は腹部を正面から見た図で、患者の右側は向かって左にあたります。臍から左右の上前腸骨棘へはそれぞれ直線が引かれています。どちらの線にも小さな斜線の目印が1つと黒丸が1つあり、向かって左の線上の黒丸が③、右の線上の黒丸が④です。目印と黒丸によって、どちらの線も臍側からほぼ同じ長さの3区間に分かれています。

McBurney圧痛点は、臍と右上前腸骨棘を結ぶ線を3等分したときの外側1/3の点です。右上前腸骨棘から1/3、臍から2/3の位置になります。上前腸骨棘は腸骨稜の前端にある骨の出っ張りで、体表から触れて確かめられます。虫垂は右腸骨窩にある盲腸から出ており、McBurney点はその付け根(虫垂根部)を体表に投影した位置にほぼ重なります。そのため急性虫垂炎では、この点に強い圧痛がみられやすくなります。ただし虫垂の先端の向き(盲腸の後ろ側、骨盤内など)は人によって大きく違うため、圧痛の位置がずれることもあります。

図に当てはめると、患者の右側(向かって左)の線上で、右上前腸骨棘に近いほうの分点である③がMcBurney点です。④も上前腸骨棘から1/3の点ですが、患者の左側なので当てはまりません。

急性虫垂炎の大きな特徴は、時間とともに痛む場所が移ることです。糞石などで虫垂の内腔がふさがり、内圧の上昇と細菌感染が加わって炎症が起こると考えられています。初期の痛みは虫垂が拡張することによる内臓痛で、痛む場所がはっきりせず、心窩部や臍周囲(図の①②のあたり)に感じられます。炎症が虫垂の外に広がって壁側腹膜が刺激されると、場所のはっきりした体性痛に変わり、痛みは右下腹部へ移って限局し、McBurney点に圧痛が出ます。食欲不振、悪心・嘔吐、発熱を伴い、血液検査では白血球数やCRPの上昇がみられます。さらに進むと、腹膜刺激症状が出てきます。腹壁をゆっくり押して急に離すと痛みが強まる反跳痛(Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候)や、腹壁の筋肉が反射的に緊張して硬くなる筋性防御です。穿孔すると腹膜炎になります。

虫垂炎の診察で一緒に問われやすい所見には、次のものがあります。

  • Lanz〈ランツ〉点:左右の上前腸骨棘を結ぶ線の右1/3の点で、McBurney点と並ぶ虫垂炎の圧痛点です。
  • Rovsing〈ロブジング〉徴候:左下腹部を押すと右下腹部に痛みが出ます。
  • Rosenstein〈ローゼンシュタイン〉徴候:左側臥位にすると、McBurney点の圧痛が仰臥位のときより強くなります。

一方、Murphy〈マーフィー〉徴候は急性胆嚢炎の所見です。右季肋部を押さえながら深く息を吸わせると、痛みで吸気が途中で止まります。徴候の名前と、疾患・部位の組み合わせを取り違えないようにしましょう。

看護では、次の点を時間を追って観察します。痛む場所とその移り変わり、圧痛・反跳痛・筋性防御の有無、体温、悪心・嘔吐です。腹膜刺激症状が出てきた、痛みが腹部全体に広がったといった変化があれば、すぐに報告します。炎症の悪化や穿孔を招くおそれがあるので、腹部の温罨法や浣腸・下剤は避けます。小児や高齢者は症状が典型的に出にくく、穿孔してから見つかることもあります。また妊娠が進むと、大きくなった子宮に押されて虫垂が上へ移動するため、圧痛の位置が典型的な場所からずれることがあります。

選択肢の確認

1.①:肋骨弓が左右から合わさる部分(剣状突起付近)のすぐ下にある点で、心窩部(みぞおち)を示しています。急性虫垂炎のごく初期に内臓痛を感じやすい部位ですが、炎症が進んで圧痛が限局する点ではありません。心窩部の痛みは胃・十二指腸潰瘍、急性膵炎、急性心筋梗塞などでも訴えられます。「初期に痛む場所」と「圧痛点」を区別して覚えましょう。

2.②:矢印で「臍」と示された点で、McBurney点を決める2つの基準点の1つです。虫垂炎の初期には臍周囲にぼんやりした痛みを訴えることがありますが、虫垂は臍から右下に離れた右腸骨窩にあるため、臍そのものは圧痛点になりません。なお、臍周囲の皮下出血(Cullen〈カレン〉徴候)は重症急性膵炎などでみられる所見です。

3.③:正答。臍と右上前腸骨棘を結ぶ線上の点です。斜線の目印とともにこの線をほぼ3等分する点のうち、右上前腸骨棘に近いほう、つまり右上前腸骨棘から1/3(臍から2/3)の位置にあります。虫垂根部を体表に投影した位置にあたる、McBurney圧痛点です。

4.④:臍と左上前腸骨棘を結ぶ線上で、選択肢3の点と左右対称の位置にあり、患者の左下腹部にあたります。図は患者と向かい合った向きなので、向かって右側が患者の左側です。虫垂は右下腹部にあるため、この点はMcBurney点ではありません。左下腹部の圧痛は、S状結腸の憩室炎などで問題になります。また、左下腹部を押したときに右下腹部が痛めば、虫垂炎を示すRovsing徴候になります。

5.⑤:鼠径部にあたる下方の2本の曲線にはさまれた、下腹部の正中で恥骨のすぐ上の点です。膀胱などの骨盤内臓器がある部分で、膀胱炎では痛みや圧痛が出て、尿閉では膨らんだ膀胱に触れる部位です。右下腹部にある虫垂の圧痛点ではありません。

覚えるポイント

  • McBurney点は臍と右上前腸骨棘を結ぶ線の外側1/3(右上前腸骨棘から1/3、臍から2/3)、Lanz点は左右の上前腸骨棘を結ぶ線の右1/3の点です。どちらも虫垂炎の圧痛点です。
  • 腹部を前から描いた図では、患者の右側が向かって左です。図の中の「右」「左」のラベルで必ず確かめます。
  • 虫垂炎の痛みは、典型的には心窩部・臍周囲の内臓痛で始まり、壁側腹膜に炎症が及ぶと右下腹部に限局する体性痛に変わります。
  • 代表的な腹膜刺激症状は、反跳痛(Blumberg徴候)と筋性防御です。虫垂炎を示す徴候には、Rovsing徴候(左下腹部を押すと右下腹部が痛む)とRosenstein徴候(左側臥位で圧痛が強まる)があります。
  • 徴候の名前と疾患の組み合わせに注意します。Murphy徴候は急性胆嚢炎、Cullen徴候(臍周囲の皮下出血)とGrey-Turner〈グレイ・ターナー〉徴候(側腹部の皮下出血)は重症急性膵炎などでみられます。
  • 虫垂炎が疑われるときは、腹部の温罨法や浣腸・下剤を避け、痛む場所の変化と腹膜刺激症状を時間を追って観察します。

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