112PM078|第112回 看護師国家試験 過去問

プリン体の代謝産物である尿酸で正しいのはどれか。

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正解: 1

正答

1.下肢末端は温度が下がるので結晶化しやすい。

この問題のポイント

尿酸の産生・溶けやすさ・排泄を問う問題です。鍵になる知識は3つあります。1つ目は、尿酸は温度が低いほど、また酸性であるほど溶けにくいこと、2つ目は、ヒトではプリン体代謝の最終産物で体内では分解されないこと、3つ目は、排泄を増やす因子(エストロゲンなど)と減らす因子(利尿薬、乳酸など)があることです。これらを整理しておくと、痛風が足趾に好発する理由から生活指導の根拠まで一続きに理解できます。

解説

問題文の「プリン体の代謝産物」という表現は、尿酸がプリン体代謝の最後に行き着く物質であることを示しています。5つの選択肢が問うているのは、尿酸の溶けやすさ(選択肢1)、性ホルモンの影響(選択肢2)、運動の影響(選択肢3)、薬剤の影響(選択肢4)、代謝の場(選択肢5)です。

尿酸はどこで作られ、どう排泄されるか

プリン体は、核酸やATPを構成するアデニン、グアニンなどの成分です。分解されるとヒポキサンチンやキサンチンを経て尿酸になります。

  • ヒポキサンチン → キサンチン → 尿酸

この2段階を触媒するのがキサンチンオキシダーゼで、尿酸は主に肝臓でつくられます。プリン体の供給源は、食事由来のものと、体内の細胞の核酸やATPの分解に由来するものの2つで、体内由来のほうが多くを占めます。

多くの哺乳類は、尿酸を水に溶けやすいアラントインへ分解する尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)をもっています。ヒトはこの酵素を欠くため、尿酸がプリン体代謝の最終産物となり、体内では分解されずにそのまま排泄されます。排泄はおよそ3分の2が腎臓から尿中へ、残りの約3分の1が腸管から行われます。肝臓は尿酸をつくる場であって分解する場ではないので、選択肢5は誤りです。

溶けにくさと結晶化

尿酸はもともと水に溶けにくい物質です。体温(37℃)の体液中で溶けていられる濃度には限界があり、その目安が血清尿酸値7.0mg/dLです。高尿酸血症は、性別や年齢を問わず血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものと定義されます。

溶解度は温度が低いほど下がり、尿中ではpHが低い(酸性)ほど下がります。足趾のように心臓から遠い部位や、耳介のように体表に突き出た部位は、深部より温度が低く血流も少ないため、尿酸塩の結晶が析出しやすくなります。選択肢1はこの性質をそのまま述べた記述で、これが正答です。

  • 痛風発作の初発部位として最も多いのは**第1中足趾節関節(母趾の付け根)**です。低温であることに加え、歩行時に体重の負荷を強く受ける部位です。
  • 痛風結節が耳介、肘、足趾などにできやすいのも、同じ考え方で説明できます。
  • 尿が酸性に傾くと、尿中で尿酸が析出して尿酸結石ができやすくなります。

尿酸値を上げる因子・下げる因子

  • 産生を増やす:プリン体の多い食品(レバー、白子、あんこうの肝、マイワシの干物、カツオ、大正エビなど)、アルコール、果糖の過剰摂取、激しい運動、細胞の大量崩壊(化学療法時の腫瘍崩壊症候群など)
  • 排泄を減らす:脱水、乳酸やケトン体の増加(飲酒や飢餓)、サイアザイド系・ループ利尿薬、腎機能低下
  • 排泄を増やす:エストロゲン、尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン、プロベネシドなど)
  • 産生を抑える薬:尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタットなどのキサンチンオキシダーゼ阻害薬)

この整理に照らすと、選択肢2は性ホルモンを取り違えており、選択肢3と選択肢4は作用の向きが実際と逆です。

なお、魚卵はプリン体が多いと誤解されがちですが、イクラや数の子の含有量はむしろ少なく、たらこや明太子も一般的な肉や魚と同じ程度です。

看護実践とのつながり

高尿酸血症・痛風の生活指導は、上の因子の裏返しです。

  • 尿量1日2,000mL以上を目安に飲水を勧めます。脱水による排泄低下を防ぎ、尿中の尿酸濃度を下げて尿路結石を予防するためです。
  • 飲酒を控え、プリン体や果糖の過剰摂取を避けるよう指導します。
  • 肥満の解消と、激しい運動ではなく適度な有酸素運動を勧めます。
  • 尿路結石の予防に、尿をアルカリ化するクエン酸製剤を用いることがあります。

発作時は、患部の安静・挙上・冷却と、非ステロイド性抗炎症薬による消炎が基本です。尿酸値が急に変動すると発作が悪化したり長引いたりするため、発作中に尿酸降下薬を新たに始めることは避けます(すでに服用中であれば継続します)。

選択肢の確認

1.下肢末端は温度が下がるので結晶化しやすい。:正答。尿酸の溶解度は温度が下がるほど低くなります。足趾などの下肢末端は心臓から遠く、深部体温より温度が低いため、血中濃度が同じでも尿酸塩の結晶が析出しやすくなります。これは痛風発作が母趾の付け根に好発する理由の一つで、耳介に痛風結節ができやすいのも同じ理由です。

2.男性ホルモンによって腎排泄が増加する。:尿酸の腎排泄を増やすのは女性ホルモンのエストロゲンで、尿細管での尿酸の再吸収を抑えて排泄を促します。男性ホルモンに排泄を増やす作用はなく、むしろ排泄を減らす方向に働くと考えられています。閉経前の女性はエストロゲンの作用で男性より血清尿酸値が低く、痛風患者の大部分は男性です。女性も閉経後はエストロゲンが減って尿酸値が上昇します。「女性ホルモンによって腎排泄が増加する」であれば正しい記述になります。

3.激しい運動で産生が減少する。:激しい運動、特に無酸素運動では、筋肉のATPが急速に分解されてヒポキサンチンなどのプリン体が増えるため、尿酸の産生は増加します。さらに、産生された乳酸が腎臓での尿酸排泄を妨げ、発汗による脱水も加わるため、血清尿酸値は上がり、痛風発作の誘因になります。高尿酸血症の人に勧められるのは、激しい運動ではなく適度な有酸素運動です。

4.利尿薬によって排泄される。:サイアザイド系利尿薬やループ利尿薬は、尿酸の排泄を減らして高尿酸血症(薬剤性高尿酸血症)を起こす代表的な薬です。体液量が減ると近位尿細管での尿酸の再吸収が高まり、尿細管での分泌でも薬剤と尿酸が競合するためです。利尿薬で尿量が増えても、尿酸の排泄が増えるわけではない点に注意します。尿酸の排泄を促すのは、ベンズブロマロンなどの尿酸排泄促進薬です。

5.肝臓で分解される。:肝臓は尿酸を分解する場所ではなく、キサンチンオキシダーゼによって尿酸を産生する主な場所です。ヒトは尿酸を分解する尿酸オキシダーゼを欠くため、尿酸はそのままの形で腎臓と腸管から排泄されます。肝臓で行われる代謝の代表例は、アンモニアから尿素をつくる尿素回路やビリルビンのグルクロン酸抱合で、これらと混同しないよう注意します。「肝臓で産生される」であれば正しい記述になります。

覚えるポイント

  • 尿酸はヒトのプリン体代謝の最終産物です。主に肝臓でキサンチンオキシダーゼにより産生され、分解されずに約3分の2が腎臓から、約3分の1が腸管から排泄されます。
  • 尿酸は低温・酸性で溶けにくい性質があります。このため痛風発作は母趾の付け根(第1中足趾節関節)に好発し、痛風結節は耳介などにでき、酸性尿では尿酸結石ができやすくなります。
  • 高尿酸血症は血清尿酸値7.0mg/dL超で、性別・年齢を問いません。
  • 尿酸値を上げる因子は、激しい運動、飲酒、プリン体や果糖の過剰摂取、脱水、サイアザイド系・ループ利尿薬、細胞の大量崩壊です。プリン体が特に多いのはレバー、白子、干物などで、魚卵のイクラや数の子はむしろ少ない食品です。
  • 尿酸の排泄を増やすのはエストロゲンと尿酸排泄促進薬です。産生を抑えるのはキサンチンオキシダーゼ阻害薬(アロプリノールなど)です。
  • 生活指導の柱は、飲水による尿量確保、節酒、肥満の解消、適度な有酸素運動です。発作時は患部の安静・挙上・冷却を行い、尿酸降下薬を新たに始めることは避けます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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