112PM100|第112回 看護師国家試験 過去問

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。A君(5歳)は父親(40歳)、母親(38歳)と兄(10歳)の4人家族である。A君は生後6か月のときに白血病 leukemia と診断され化学療法で寛解し、退院後は幼稚園に登園していた。4歳になって再発し、兄を骨髄ドナーとした造血幹細胞移植を受けた。A君が利用できる制度はどれか。

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正解: 4

正答

4.小児慢性特定疾病医療費助成

この問題のポイント

小児が使える医療費の公費負担制度のうち、白血病で造血幹細胞移植まで受けた5歳児が対象となる制度を選ぶ問題です。判断の手がかりは、「5歳」という年齢と、「白血病(悪性新生物)で長期の治療が必要」という疾病の性質です。各制度の根拠法と、対象となる年齢・疾病・状態を区別できるかが問われています。

解説

事例の整理

A君は生後6か月で白血病を発症しました。化学療法で寛解したあと4歳で再発し、兄をドナーとする造血幹細胞移植を受けています。移植後は、感染予防、GVHD(移植片対宿主病)の管理、再発の監視のために、長期間の通院・服薬・検査が続きます。医療費の負担が長く重くかかる状況です。現在の年齢は5歳で、乳児ではありません。

小児慢性特定疾病医療費助成の概要

  • 根拠法:児童福祉法です。現行の制度は2015年1月から実施されています。
  • 対象年齢:18歳未満の児童です。18歳の時点で認定を受けていて、引き続き治療が必要と認められる場合は20歳未満まで延長できます。
  • 対象疾病:国が定めた疾病が対象です。慢性に経過し、生命を長期に脅かし、症状や治療が長期にわたり生活の質を低下させ、高額な医療費の負担が続くものが選ばれています。疾病は16の疾患群に分類されており、白血病などの小児がんは「悪性新生物」の群に含まれます。
  • 実施主体:都道府県・指定都市・中核市などです。
  • 手続き:保護者が、指定医の作成した医療意見書を添えて申請します。認定されると医療受給者証が交付されます。指定医療機関で受けた医療について、自己負担割合が2割となり、世帯の所得に応じた月ごとの自己負担上限額が設けられます。
  • 関連事業:医療費の助成とあわせて、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(相談支援など)や、日常生活用具の給付を利用できます。

A君は5歳で、白血病という対象疾病に当てはまり、移植後も長期の治療が必要です。そのため、この制度を利用できます。

看護の実践とのつながり

小児がんの治療は長期化しやすく、再発や移植のたびに家族の経済的・心理的な負担が増えます。看護師は、医療ソーシャルワーカーと連携し、申請が遅れないように制度を早めに紹介します。あわせて、幼稚園への復園や、きょうだい(本事例ではドナーとなった兄)への支援にも目を向けます。20歳を過ぎても治療が続く病気では、指定難病など成人の制度への移行(移行期医療)も課題になります。

選択肢の確認

1.自立支援医療:障害者総合支援法に基づく制度で、育成医療、更生医療、精神通院医療の3つからなります。育成医療は、18歳未満の身体に障害のある児童が対象で、手術などで確実な治療効果が期待できる場合に使えます。更生医療は、18歳以上で身体障害者手帳を持つ人が対象です。精神通院医療は、精神疾患で継続して通院する人が対象です。白血病の治療は、いずれの対象にも当たりません。先天性心疾患の手術や口唇口蓋裂の治療などであれば、育成医療の対象になり得ます。

2.指定難病の医療費助成:難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)に基づく制度で、年齢制限はありません。指定難病には、発病の機構が明らかでない、治療方法が確立していない、希少である(患者数が人口の0.1%程度に達しない)、長期の療養が必要、客観的な診断基準がある、という要件があります。がんのように、別の施策体系(がん対策)が確立している疾病は対象外です。そのため、白血病は含まれません。小児でも、指定難病の疾病であれば、この制度と小児慢性特定疾病の制度のどちらも対象になり得ます。

3.未熟児養育医療の給付:母子保健法に基づき、市町村が行う制度です。対象は、出生体重2,000g以下の児、または生活力が特に弱く一定の症状がある未熟児のうち、医師が入院養育を必要と認めた乳児です。A君は5歳で、未熟性による入院養育の対象ではありません。「生後6か月で発症」という記述から乳児期の制度と取り違えないように注意します。

4.小児慢性特定疾病医療費助成:正答。児童福祉法に基づく制度で、18歳未満(延長すれば20歳未満)の児童が対象です。白血病は、16疾患群のうち悪性新生物の群に含まれます。5歳で移植後も長期の治療が必要なA君は、医療費の自己負担の軽減を受けられます。

覚えるポイント

  • 小児慢性特定疾病医療費助成:児童福祉法に基づきます。対象は18歳未満(延長で20歳未満)で、16疾患群に分類され、小児がん(悪性新生物)も含みます。実施主体は都道府県・指定都市・中核市などで、自己負担は2割に所得別の上限があります。
  • 指定難病の医療費助成:難病法に基づき、年齢制限はありません。発病機構不明・治療法未確立・希少・長期療養・客観的な診断基準が要件で、がんは対象外です。
  • 養育医療:母子保健法に基づき市町村が給付します。対象は出生体重2,000g以下などで入院養育が必要な未熟児です。低体重児の届出(2,500g未満)と混同しないように区別します。
  • 自立支援医療:障害者総合支援法に基づきます。育成医療(18歳未満)、更生医療(18歳以上・身体障害者手帳)、精神通院医療の3つがあり、自己負担は原則1割です。
  • 制度選びの手順:根拠法 → 対象年齢 → 対象疾病・状態の順に照らし合わせると、正答を絞り込めます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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