Y2023M10Q32|2023年10月公表 エックス線作業主任者免許試験 過去問
放射線によるDNA の損傷と修復に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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正解: 3
正答
(3)
この問題のポイント
低LETのX線では水の放射線分解を介する間接作用が優位で、酸素はラジカル損傷を固定します。エックス線では水の放射線分解で生じたラジカルによる間接作用が大きく、塩基損傷、1本鎖切断、2本鎖切断を生じます。2本鎖切断は頻度は低いものの修復が難しく、NHEJでは誤結合が起こり得ます。
解説
相同組換え修復(HR)は、姉妹染色分体などの相同DNA配列を鋳型として失われた配列を合成するため、比較的正確な二本鎖切断修復です。主に相同配列を利用できるS期後半からG₂期に働きます。これに対しNHEJは鋳型を使わず切断端を結合するため迅速ですが、誤りを生じやすい方式です。したがって3が正答です。
選択肢の確認
1.放射線によるDNA 損傷には、塩基損傷とDNA 鎖切断があるが、エックス線のような間接電離放射線では、塩基損傷は生じない。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。エックス線の間接作用でも活性酸素種により塩基損傷が生じます。
2.DNA 鎖切断のうち、二重らせんの片方だけが切れる1 本鎖切断は、細胞死などの重篤な細胞障害に関連が深い。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。一本鎖切断は修復されやすく、重篤な細胞障害と特に関連が深いのは二本鎖切断です。
3.DNA 鎖切断の修復方式のうち、相同組換え修復は、相同DNA 配列を鋳型にして正しいDNA配列を合成する修復であるため、修復時の誤りが少ない。
○ 判定:正答(記述は正しい)。相同配列を鋳型にするHRは、比較的誤りの少ない修復です。
4.DNA 鎖切断のうち、2 本鎖切断はDNA 鎖の組換え現象が利用されるため、1 本鎖切断に比べて容易に修復される。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。二本鎖切断は一本鎖切断より複雑で、容易に修復できるとはいえません。
5.細胞には、DNA 鎖切断を修復する機能があり、修復が誤りなく行われれば、細胞は回復し、正常に増殖を続けるが、塩基損傷を修復する機能はない。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。細胞には塩基除去修復など、塩基損傷を修復する機能があります。
覚えるポイント
エックス線でも水由来ラジカルなどにより塩基損傷とDNA鎖切断の双方が生じ、塩基除去修復系も存在します。X線=間接作用優位、SSB=多く修復しやすい、DSB=少ないが重い、NHEJ=誤り得る、と整理します。