35Q50第35回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

1960 年代のアメリカにおける自立生活運動(IL運動)に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

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正解: 3

正答

3.自分で意思決定をして生活する。

この問題のポイント

自立生活運動(IL運動)は、「自立」を、身の回りのことをすべて一人で行うことではなく、自分の生活を自分で選び、決定し、必要な支援を使いながら地域で暮らすこととして捉え直した当事者運動です。

この問題では、IL運動の自己決定の理念と、ノーマライゼーション、リハビリテーション、医療モデル、国際障害者年の理念を区別します。

解説

自立生活運動は、1960年代末から1970年代のアメリカで、障害当事者を中心に発展しました。代表的な人物としてエド・ロバーツが知られています。施設や医療専門職が生活を決めるのではなく、障害のある本人が、自分の暮らす場所、介助の受け方、学び方、働き方などを選択する権利を求めました。

IL運動における自立は、「他人の助けを借りないこと」ではありません。重度の障害があり、日常生活に介助が必要であっても、本人が自分の生活について意思決定し、必要な介助者や制度を選び、指示しながら望む生活を送ることが自立です。

例えば、着替えを一人で行うと長時間かかり、その後の活動ができなくなる人が、介助を利用して短時間で着替え、仕事や家族との時間に力を使うことも、自立した選択です。何を自分で行い、どこに支援を使うかを本人が決めることが大切です。

自立生活センターでは、障害当事者によるピアカウンセリング、自立生活プログラム、権利擁護、介助サービスなどを通じて地域生活を支えます。支援者は本人に代わって決めるのではなく、情報を提供し、意思決定しやすい環境を整えます。

ひっかけポイント
「自立=介助を受けないこと」ではありません。IL運動では、介助や制度を利用していても、本人が生活を選択・決定していれば自立と捉えます。

介護実践でのポイント
介護福祉職は、本人が時間や体力を何に使いたいかを確認します。できる動作をすべて本人に求めるのではなく、本人が望む生活を実現するために、どの部分を支援するかを一緒に考えます。

選択肢の確認

1.障害があっても障害のない人々と同じ生活を送る。
適切ではありません。
これは、障害の有無にかかわらず、できるだけ通常の生活条件を保障するノーマライゼーションの考え方に近い説明です。

2.一度失った地位,名誉,特権などを回復する。
適切ではありません。
これは、失われた権利や社会的地位の回復というリハビリテーションの語義・理念に関係する説明であり、IL運動の中心である自己決定を直接表していません。

3.自分で意思決定をして生活する。
正答。最も適切です。
IL運動では、必要な支援を利用しながら、本人が生活のあり方を選び、自分で意思決定することを自立の中心に置きます。

4.医療職が機能回復訓練を行う。
適切ではありません。
これは医学的リハビリテーションの説明です。IL運動は、専門職主導で機能回復を目標にする考え方だけではなく、障害当事者の自己決定と地域生活を重視します。

5.障害者の社会への完全参加と平等を促進する。
適切ではありません。
「完全参加と平等」は国際障害者年で掲げられた理念として知られます。IL運動とも関連する重要な目標ですが、本問で問われる中心的な自立観は、本人が自分で意思決定して生活することです。

覚えるポイント

ILはIndependent Livingの略で、自立生活を意味します。

自立の中心は、身辺動作をすべて一人で行うことではなく、本人の自己選択・自己決定です。

必要な介助や制度を利用することは、自立と矛盾しません。

介護福祉職は、本人が望む生活を確認し、本人が決められるように情報提供と環境調整を行います。

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