37Q77|第37回 介護福祉士国家試験 過去問
構音障害のあるBさんは、現在発語訓練を実施中である。ある日、介護福祉職に対して、「おあんで、あつがおごれた」と訴えた。介護福祉職は、Bさんの発語をうまく聞き取れず、「もう一度、言ってください」と伝えた。Bさんは、自身の発語で会話を続けようとしているが、介護福祉職には、その内容を十分に理解することができなかった。 このときの、Bさんに対する介護福祉職の判断として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2.発音が苦手なため、短い言葉でゆっくり話してもらう必要がある。
この問題のポイント
構音障害では、言葉の意味を理解する力ではなく、発音に必要な口唇・舌・喉などの動きに支障が生じます。
聞き取れないからといって、本人が言葉を理解できていないと判断してはいけません。短い言葉でゆっくり話してもらい、内容を一つずつ確認することが大切です。
解説
構音障害は、発音に関係する口唇、舌、軟口蓋、喉頭、呼吸筋などの運動や協調がうまく働かず、言葉の音が不明瞭になる状態です。言語そのものを理解したり、伝えたい内容を組み立てたりする機能が障害される失語症とは区別します。
Bさんは、自分の発語で会話を続けようとしており、話す意欲も保たれています。一方、介護福祉職は発語を十分に聞き取れていません。この場合は、Bさんの理解力や意思を否定するのではなく、発音の聞き取りにくさを補う方法を工夫します。
具体的には、静かな環境で正面から向き合い、一度に話す内容を短くして、ゆっくり話してもらいます。聞き取れた言葉を復唱して確認したり、「○○のことですか」のような閉じられた質問で内容を絞ったりする方法も有効です。必要に応じて、筆談、文字盤、身振り、絵カードなどを併用します。
分かったふりをせず、「ここまでは分かりました」と聞き取れた範囲を示しながら確認することが重要です。一度聞き取れなかっただけで発語訓練の効果を否定せず、本人や言語聴覚士などと連携し、その人に合った意思疎通方法を整えます。
ひっかけポイント
「発音が不明瞭」と「言葉の意味を理解できない」は別の問題です。また、話す意欲があっても、長い回答を求める開かれた質問が常に適切とは限りません。
介護実践でのポイント
本人が自分の声で話そうとする意思を尊重し、急かさず待ちます。何度も同じ発語だけを求めて疲労させず、本人の希望に応じて筆談やコミュニケーション機器も組み合わせます。
選択肢の確認
1.Bさんは言葉の意味の理解に支障があるため、会話の継続は困難である。
誤りです。 構音障害は主に発音の障害であり、言葉の意味を理解する力が低下しているとは限りません。聞き取りにくいことだけを根拠に、会話の継続が困難だと判断するのは不適切です。
2.発音が苦手なため、短い言葉でゆっくり話してもらう必要がある。
正しいです。 一度に話す量を減らし、ゆっくり発音してもらうことで、介護福祉職が内容を聞き取って確認しやすくなります。
3.話す意欲があるため、開かれた質問が有効である。
誤りです。 開かれた質問は自由で長い発語を求めることになり、構音障害があるBさんには負担が大きく、聞き取りも難しくなります。まずは「はい・いいえ」で答えられる質問や、選択肢を示す質問が適しています。
4.発語訓練の効果がみられないため、訓練を中止する必要がある。
誤りです。 一回の会話で聞き取れなかったことだけでは、訓練の効果を判断できません。訓練の継続や変更は、本人の意向を確認し、言語聴覚士などと評価したうえで検討します。
5.Bさんの言葉が聞き取れないため、会話を中断する必要がある。
誤りです。 会話を一方的に中断すると、Bさんの意思表明や社会参加の機会を奪います。話す速度や質問方法を調整し、筆談なども用いて会話の継続を支援します。
覚えるポイント
- 構音障害は、主に言葉を音として表す発音の障害である。
- 「聞き取れない」ことを「理解できない」ことと混同しない。
- 短く、ゆっくり話してもらい、聞き取れた内容を一つずつ確認する。
- 開かれた質問より、閉じられた質問や選択肢の提示が有効な場合がある。
- 本人の意思を尊重し、筆談や文字盤なども必要に応じて併用する。