38Q97|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(45歳、男性)は、1年前、交通事故で頭部外傷を負った。四肢に障害は残らなかったが、高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。 次の記述のうち、Aさんの障害特性を理解した支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4
この問題のポイント
高次脳機能障害の症状に対して、本人を責めたり自力での改善を求めたりするのではなく、障害特性に応じて環境や伝え方を調整することが重要です。
社会的行動障害によって怒りが生じたときは、言い争いや強い注意を避け、刺激を減らして気持ちが落ち着ける状況をつくります。
解説
高次脳機能障害は、脳外傷や脳血管障害などによって、記憶、注意、計画・実行、感情や行動の調整などが難しくなる状態です。外見からは障害が分かりにくく、本人の性格や意欲の問題と誤解されることがあります。
社会的行動障害では、感情を抑えにくい、ささいなことで怒る、相手の立場を考えた行動が難しい、こだわりが強くなるなどの変化がみられます。怒りが高まっている最中に説得や注意を続けると、さらに興奮することがあります。そのため、場所を移す、話題を変える、周囲の刺激を少なくする、落ち着くまで時間を置くなどの対応が適切です。
落ち着いた後は、何がきっかけだったかを本人と一緒に振り返り、予定を事前に伝える、短く具体的に説明する、休憩を取り入れるなど、再び混乱しにくい環境を整えます。
記憶障害にはメモや予定表を活用し、必要に応じて同じ内容を穏やかに繰り返します。注意障害には刺激の少ない環境や一度に一つの作業を提示する方法、遂行機能障害には手順を細かく示す方法が有効です。病識が乏しい場合も、できないことを一方的に突きつけるのではなく、本人の受け止め方を尊重しながら具体的な経験を通して理解を支えます。
選択肢の確認
1.記憶障害によって同じことを何度も質問するが、一度だけ質問に答える。
誤りです。 記憶障害では、聞いた内容を保持できず同じ質問を繰り返すことがあります。必要に応じて穏やかに繰り返し説明し、メモ、予定表、掲示物などの外的補助手段を活用します。
2.注意障害によって作業のミスが多いため、その度ごとに強く注意する。
誤りです。 強く注意しても注意機能そのものが改善するわけではなく、本人の不安や混乱を強める可能性があります。周囲の刺激を減らし、作業を一つずつ示し、途中で確認できるように支援します。
3.遂行機能障害によって指示されないと作業ができないため、自分の判断でやるように促す。
誤りです。 遂行機能障害では、目標を決め、計画を立て、順序立てて実行することが難しくなります。自力で判断するよう求めるだけでなく、工程を分け、手順表や声かけを用いて開始と継続を支えます。
4.社会的行動障害によってすぐに怒りだすことがあるため、感情が落ち着くように場面や話題を変える。
正しいです。 怒りが高まった場面から距離を置き、場所や話題を変えて刺激を減らすことは、感情を落ち着かせるための適切な対応です。
5.病識低下によってできないことを認めないため、できないことを指摘する。
誤りです。 できないことを正面から指摘すると、自尊心を傷つけ、反発や不安を強めることがあります。本人の認識を尊重し、具体的な経験や記録を一緒に振り返りながら理解を支援します。
覚えるポイント
- 高次脳機能障害への支援は、叱責ではなく環境調整と具体的な手がかりが基本。
- 記憶障害にはメモや反復、注意障害には刺激の整理、遂行機能障害には工程の細分化や手順表を活用する。
- 社会的行動障害で怒りが高まったときは、場面や話題を変え、まず落ち着ける環境をつくる。