113D060|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床小児歯科学

4歳の女児。上顎乳前歯部の外傷を主訴として来院した。昨夜転倒し強打したという。上顎両側乳中切歯の動揺度は3度で接触痛がある。初診時の口腔内写真(別冊No. 15A)とエックス線画像(別冊No. 15B)を別に示す。 上顎両側乳中切歯に対して行うべき処置はどれか。1つ選べ。

113D060の問題画像
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正解: e

正答

e

この問題のポイント

4歳児の乳中切歯2本が外傷後に動揺度3度となっています。脱落・誤嚥リスクが高く、直下の永久歯胚への二次的損傷も避けるため抜歯します。

解説

乳歯外傷では、永久歯の保存を目指す外傷対応と異なり、後継永久歯胚への影響、患児の協力度、誤飲・誤嚥リスクを重視します。動揺度3度は垂直方向を含む著しい動揺で、安定した機能回復が期待しにくく、接触痛もあります。2本とも高度に不安定なため抜歯が適切です。

整復固定は保存可能で変位した歯や歯槽骨骨折などで選択することがありますが、重度動揺乳歯を長期間口腔内に残す利益は限られます。コンポジットレジン修復は歯冠破折、生活歯髄切断・抜髄は歯髄露出や歯髄病変への処置であり、本例の主問題である支持喪失を解決しません。抜歯時も永久歯胚を傷つけないよう、過度な根尖方向の力を避けます。

画像の確認

実画像では、Aで上顎両側乳中切歯周囲に広範な歯肉出血・血腫があり、歯冠位置にも外傷性の乱れがみられます。Bでは乳中切歯根の直上に後継永久中切歯の歯胚が近接しており、乳歯への追加操作が永久歯胚へ影響し得る位置関係です。臨床所見の動揺度3度と合わせ、安定固定より安全な除去を優先します。

選択肢の確認

a.整復固定
誤り。
高度動揺する乳歯2本を残すと脱落・誤嚥や永久歯胚への影響が懸念され、固定の利益が乏しい状態です。

b.コンポジットレジン修復
誤り。
歯冠実質欠損を修復する処置で、歯の支持組織損傷と3度動揺を改善しません。

c.生活歯髄切断
誤り。
生活歯髄を保存する歯髄処置ですが、露髄所見は示されず、高度動揺への対応になりません。

d.抜髄
誤り。
根管内歯髄を除去しても、外傷で失われた歯周支持と脱落リスクは改善しません。

e.抜歯
正しい。
高度に動揺する乳中切歯を除去し、誤嚥と後継永久歯胚への二次損傷を防ぎます。

覚えるポイント

  • 乳歯の動揺度3度=抜歯を検討します。
  • 乳歯外傷では後継永久歯胚と誤嚥リスクを必ず考えます。
  • 歯髄処置は歯の支持喪失を治す処置ではありません。

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