114B029|第114回 歯科医師国家試験 過去問
1歳の男児。上顎両側第一乳臼歯部の歯肉腫脹を主訴として来院した。昨日、保護者が気付いたという。機嫌は良く、食欲の減退は認めない。腫脹は弾性軟である。初診時の口腔内写真(別冊No. 6)を別に示す。 適切な対応はどれか。1つ選べ。

解答・解説を見る
正解: a
正答
a
この問題のポイント
1歳、第一乳臼歯の萌出時期、両側対称性、弾性軟、全身症状なしという情報から、萌出直前の歯冠を覆う萌出嚢胞を考えます。症状がなければ自然萌出を待って経過観察します。
解説
萌出嚢胞は、萌出中の歯の歯冠を覆う退縮エナメル上皮と歯冠の間に液体が貯留して生じる軟組織嚢胞です。顎骨内にある含歯性嚢胞に相当する病変が、萌出に伴って軟組織内に位置したものと考えられます。表面は平滑な半球状で、弾性軟を示し、内部に出血すると青紫色を呈することがあります。
多くは歯の萌出とともに自然に消失するため、無症状で摂食障害や感染徴候がなければ経過観察が基本です。萌出が妨げられる、疼痛や感染を伴う、嚢胞が長く残る場合には、必要に応じて切開して歯冠を開窓します。本例は発見から1日、機嫌と食欲が良好であり、侵襲的検査や抗菌薬投与の適応はありません。
画像の確認
実画像では、上顎両側第一乳臼歯相当部に、左右ほぼ対称な滑らかな半球状の歯肉膨隆がみられます。膨隆の直下には萌出しつつある乳臼歯の白い歯冠が透見され、著明な発赤、排膿、潰瘍は認めないため、萌出嚢胞の所見と一致します。
選択肢の確認
a.経過観察
正しい。無症状の萌出嚢胞は乳歯の萌出に伴って自然に消失することが多く、まず経過をみます。
b.抗菌薬投与
誤り。発熱、食欲低下、発赤、排膿などの細菌感染を示す所見がなく、抗菌薬の適応ではありません。
c.生検
誤り。年齢、部位、左右対称性、歯冠の透見から診断できる典型的病変で、まず組織を採取する必要はありません。
d.切開
誤り。現時点では不要です。萌出障害、感染、疼痛がある場合には開窓を検討しますが、本例は無症状で自然萌出が期待できます。
e.細胞診
誤り。悪性腫瘍を疑う病変ではなく、細胞診で診断する適応ではありません。
覚えるポイント
- 萌出直前の歯冠上の弾性軟な膨隆=萌出嚢胞です。
- 無症状なら経過観察し、萌出とともに自然消失するのを待ちます。
- 感染や萌出障害がある場合に限って切開・開窓を検討します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。