32AM022|第32回 歯科衛生士国家試験 過去問
エナメル質のハイドロキシアパタイトが酸によって溶解するときのカルシウムとリン酸の溶液中の化学反応を図に示す。①はどれか。1つ選べ。

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正解: b
正答
b:H+
この問題のポイント
酸によるエナメル質脱灰では、水素イオンがハイドロキシアパタイトのリン酸基や水酸基と反応し、結晶からCa²⁺とリン酸種が溶液中へ移る。図の①はH⁺である。
解説
エナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイトは、口腔内pHが臨界pH付近より低下すると溶解側へ平衡が移る。細菌が糖を代謝して乳酸などを作るとH⁺濃度が上がり、リン酸イオンがHPO₄²⁻やH₂PO₄⁻へプロトン化される。その結果、結晶を構成していたCa²⁺とリン酸が唾液・プラーク液へ放出されるのが脱灰である。唾液による酸の緩衝、Ca²⁺・リン酸の供給、フッ化物による耐酸性向上が再石灰化を支える。図の反応物側に入り、酸性を直接表す正電荷のイオンはH⁺だけである。
選択肢の確認
- a F-:フッ化物イオンは再石灰化促進や結晶の耐酸性向上に働き、酸として結晶溶解を開始する水素イオンではない。
- b H+:酸性環境で増加し、リン酸基をプロトン化してアパタイトの溶解平衡をCa²⁺放出側へ動かす。
- c Cl-:塩化物イオンは陰イオンとして体液中に存在するが、図の酸脱灰を駆動するプロトン供与体には当たらない。
- d Na+:ナトリウムイオンは細胞外液の主要陽イオンで、H⁺のようにpH低下を表したりアパタイトを酸溶解させたりしない。
覚えるポイント
脱灰は「細菌の酸産生→H⁺増加→アパタイトからCa²⁺・リン酸が流出」という順で理解する。F⁻は脱灰を起こす側ではなく、再石灰化と耐酸性に寄与する側である。