第105回
105AM003|第105回 助産師国家試験 過去問
家族計画について正しいのはどれか。
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正解4
正答
4.受胎調節実地指導員は母体保護法に規定されている。
この問題のポイント
家族計画に関わる制度のうち、母体保護法が何を定めているかを問う問題です。判断の鍵は次の3点です。
- 母体保護法は「不妊手術」「人工妊娠中絶」「受胎調節の実地指導」の3つを柱とする法律です。
- 受胎調節実地指導員であっても、子宮腔内に器具を挿入することはできません。
- 医薬品の品質は医薬品医療機器等法が定める領域です。
解説
母体保護法の枠組み
母体保護法は、1996年(平成8年)に優生保護法から優生思想に基づく規定を削除して改称された法律です。不妊手術と人工妊娠中絶に関する事項を定めることなどにより、母性の生命と健康を保護することを目的としています。主な内容は次の3つです。
- 不妊手術:生殖腺を除去せずに生殖を不能にする手術です。本人と配偶者の同意などの要件を定めています。
- 人工妊娠中絶:胎児が母体外で生命を保続できない時期に、人工的に胎児とその附属物を母体外に排出することです。都道府県医師会が指定する医師(指定医師)が、本人と配偶者の同意を得て行います。
- 受胎調節の実地指導:避妊用の器具を使う受胎調節の指導を、誰が業として行えるかを定めています。
このうち人工妊娠中絶(第14条)と受胎調節の実地指導(第15条)は、どちらも第3章「母性保護」の中に置かれており、別々の条文で規定されています。
受胎調節実地指導員とは
母体保護法は、厚生労働大臣が指定する避妊用の器具を使う受胎調節の実地指導について、医師のほかは都道府県知事の指定を受けた者でなければ業として行ってはならないと定めています。指定を受けられるのは、厚生労働大臣の基準に従って都道府県知事が認定する講習を修了した助産師・保健師・看護師です。この指定を受けた者が受胎調節実地指導員です。
助産師の免許があれば自動的に指導員になるわけではありません。講習の修了と知事の指定の両方が必要です。
同じ規定のただし書で、子宮腔内に避妊用の器具を挿入する行為は医師でなければ業として行えないとされています。そのため、指導員の指定を受けた助産師でも、子宮内避妊具(IUD)や子宮内避妊システム(IUS)の挿入はできません。指導員が担うのは、指定された避妊器具の正しい使い方を実地に指導することです。
受胎調節と人工妊娠中絶の違い
受胎調節は、避妊によって妊娠の成立を防ぎ、子どもの数や出産の間隔を計画的に調整することです。家族計画は、受胎調節を中心に、希望する時期に希望する数の子どもを持てるよう支援する考え方です。これに対し、人工妊娠中絶はすでに成立した妊娠を中断する行為です。妊娠の成立を防ぐか、成立した妊娠を中断するかという定義の違いがあるため、人工妊娠中絶は受胎調節に含まれません。
医薬品・医療機器の規制は別の法律
経口避妊薬(OC)などの医薬品の品質・有効性・安全性の確保は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)が定めています。IUDなどの避妊具も医療機器として同法の対象です。整理すると次のようになります。
- 母体保護法:避妊の指導を誰が行えるかという「人と行為」の規定
- 医薬品医療機器等法:避妊薬や避妊具という「物」の品質と安全の規定
実践とのつながり
助産師は、産褥期の退院指導などで家族計画を支援する機会が多い職種です。月経が再開する前に排卵が起こりうることを伝えることや、授乳の状況や本人とパートナーの希望に合った避妊法を一緒に考えることが求められます。IUDや経口避妊薬を希望する場合は医師の診察・処方が必要なので、適切に受診へつなぐことも助産師の大切な役割です。
選択肢の確認
1.子宮内避妊具は助産師が挿入できる。:母体保護法は、子宮腔内に避妊用の器具を挿入する行為を医師に限定しています。受胎調節実地指導員の指定を受けた助産師でも、IUDの挿入はできません。助産師が担えるのは、避妊法としてのIUDの情報提供、医師への受診の橋渡し、生活上の注意の説明などです。「指導員は避妊器具の指導ができる」という知識から「挿入もできる」と拡大解釈させる引っかけです。
2.受胎調節のひとつに人工妊娠中絶がある。:受胎調節は避妊によって妊娠の成立そのものを防ぐことを指します。人工妊娠中絶はすでに成立した妊娠を中断する行為なので、受胎調節には含まれません。中絶は指定医師が行う医療行為として、受胎調節の実地指導とは別の条文で規定されています。なお、性交後に服用する緊急避妊薬は妊娠の成立を防ぐものなので、中絶ではなく避妊に分類されます。この区別も混同しやすい点です。
3.避妊薬の品質は母体保護法に規定されている。:医薬品の品質・有効性・安全性の確保を定めるのは医薬品医療機器等法で、経口避妊薬もその規制を受けます。母体保護法が定めるのは、避妊器具を用いた受胎調節の指導を誰が業として行えるかであり、薬そのものの品質基準は扱っていません。「避妊に関することだから母体保護法」という連想を誘う選択肢です。
4.受胎調節実地指導員は母体保護法に規定されている。:正答。母体保護法は、厚生労働大臣が指定する避妊用の器具を使う受胎調節の実地指導を、医師のほかは都道府県知事の指定を受けた者に限っています。その対象を、知事が認定する講習を修了した助産師・保健師・看護師と定めています。この指定を受けた者が受胎調節実地指導員です。
覚えるポイント
- 母体保護法の3本柱は「不妊手術」「人工妊娠中絶」「受胎調節の実地指導」です。1996年に優生保護法から改称されました。
- 人工妊娠中絶(第14条)と受胎調節の実地指導(第15条)は、どちらも第3章「母性保護」に規定されています。
- 受胎調節実地指導員になれるのは、講習を修了し都道府県知事の指定を受けた助産師・保健師・看護師です。免許だけではなれません。
- 子宮腔内への避妊器具(IUD・IUS)の挿入は医師のみです。指導員でも行えません。
- 受胎調節は妊娠の成立を防ぐこと(避妊)です。人工妊娠中絶は含みません。緊急避妊は避妊に分類されます。
- 避妊薬・避妊具の品質や安全性は医薬品医療機器等法の規定です。「人と行為」は母体保護法、「物」は医薬品医療機器等法と区別します。
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