第106回
106AM040|第106回 助産師国家試験 過去問
分娩を取り扱う有床助産所を産婦人科診療所に併設して開設することになった。助産所の構造は耐震、耐火構造の地下1階から地上3階建てにした。関連法規に基づいた助産所の開業計画で正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解2・5
正答
2.避難階段を2つ設ける。
5.所在地の都道府県知事に開設を届け出る。
この問題のポイント
医療法と医療法施行規則が定める助産所の要件を問う問題です。問われているのは、入所定員、管理者、開設の手続、構造設備の4点です。「有床」「耐火構造」「地下1階から地上3階建て」という条件から、入所室を置ける階と、その場合に必要な避難設備を判断します。定員は9人以下、管理者は助産師、助産師が開設するときは開設後に都道府県知事へ届け出る、という基本の組み合わせを確実に押さえることが鍵です。
解説
問題文の手がかり
- 「分娩を取り扱う有床助産所」:妊婦・産婦・褥婦を入所させる施設をもつ助産所です。そのため入所定員と入所室の構造基準がかかわります。
- 「産婦人科診療所に併設」:すぐそばに医師がいても、助産所は診療所とは別の施設です。助産所としての要件を独自に満たす必要があります。
- 「耐震、耐火構造の地下1階から地上3階建て」:入所室を置ける階と、避難設備の条件を判断する材料です。
助産所の定義と入所定員
医療法第2条は、助産所を「助産師が公衆または特定多数人のためにその業務(病院・診療所で行うものを除く)を行う場所」と定義しています。そのうえで、妊婦・産婦・褥婦10人以上の入所施設を有してはならないとしています。つまり入所定員は9人以下です。医療施設の区分では、入院施設が19床以下なら診療所、20床以上なら病院です。「助産所9人以下・診療所19床以下・病院20床以上」をセットで覚えます。
開設の手続
助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県知事に届け出ます(医療法第8条)。事前の許可ではなく、事後の届出である点が特徴です。所在地が保健所を設置する市または特別区にある場合は、届出先がその市長・区長になります。
助産師でない者(医療法人など)が開設する場合は、事前に都道府県知事等の許可を受けなければなりません。さらに入所施設をもつ助産所は、構造設備について都道府県知事等の検査を受け、使用の許可を得てからでなければ、入所施設を使用できません。
管理者と嘱託医師・嘱託医療機関
助産所の開設者は、助産師に管理させなければなりません。医師が助産所の管理者になることはできません。
一方、分娩を取り扱う助産所は、異常時に医師へ確実につなぐ体制が必要です。そのため、産科または産婦人科の医師を嘱託医師として定め、あわせて嘱託する病院または診療所を定めておきます。本問のように産婦人科診療所に併設する場合、その診療所の産科医は、管理者ではなく嘱託医師として連携する立場になり得ます。
構造設備の基準(医療法施行規則)
- 入所室は、地階または3階以上の階に設けてはなりません。ただし主要構造部を耐火構造とする場合は、3階以上に設けることができます。地階にはこうした例外がありません。
- 2階以上の階に入所室がある場合は、入所する母子が使用する屋内の直通階段を設けます。
- 3階以上の階に入所室がある場合は、避難に支障がないよう避難階段を2つ以上設けます。
- このほか、分娩室の設置、火気を使う場所の防火設備、消火用の機械・器具の備え付けなどが定められています。
これらの基準は、妊産褥婦や新生児が火災や災害時に素早く移動しにくいことを踏まえ、安全に避難できるようにするためのものです。開業を計画する助産師にとっては、施設づくりと避難計画の基礎になる知識です。
正答に至る判断
本問の建物は耐火構造なので、3階に入所室を設けることができます。3階に入所室を置く場合は避難階段が2つ以上必要になるため、避難階段を2つ設ける計画は基準に適合します。地下1階は入所室には使えないので、設備室や倉庫などに充てることになります。手続については、助産師が開設する助産所であれば、所在地の都道府県知事への届出が正しい方法です。
選択肢の確認
1.地階に入所室を設ける。:医療法施行規則は、助産所の入所室を地階に設けることを認めておらず、耐火構造であっても地階には例外がありません。地階は避難や採光・換気の面で不利であり、妊産褥婦や新生児の安全確保が難しくなるためです。耐火構造を条件に例外が認められるのは3階以上の階です。地階と3階以上の扱いを取り違えないようにします。
2.避難階段を2つ設ける。:正答。3階以上の階に入所室を設ける助産所は、避難に支障がないよう避難階段を2つ以上設けることが求められます。本問の建物は耐火構造なので3階に入所室を置くことができ、その場合、この計画は基準を満たします。3階に入所室を置かない場合でも、避難階段を2つ設けることは避難の安全を高めるもので、基準に反しません。
3.ベッド数は15床にする。:医療法は、助産所が妊婦・産婦・褥婦10人以上の入所施設をもつことを禁じており、15床は上限を超えます。入所定員は9人以下で計画しなければなりません。19床以下とされる診療所の基準と混同しやすいので注意します。
4.管理者は産婦人科診療所の産科医にする。:医療法は、助産所の開設者に助産師を管理者とすることを義務づけており、医師を管理者にすることはできません。併設する診療所の産科医が担える役割としては、分娩時などの異常に対応する嘱託医師があります。管理者と嘱託医師の立場を区別して覚えます。
5.所在地の都道府県知事に開設を届け出る。:正答。助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県知事に届け出ます。保健所を設置する市や特別区では届出先が市長・区長になることも合わせて押さえます。また、助産師でない者が開設する場合は事前の許可が必要です。
覚えるポイント
- 助産所の入所定員は9人以下(10人以上の入所施設は不可)です。診療所は19床以下、病院は20床以上です。
- 助産所の管理者は助産師です。分娩を取り扱う助産所は、産科または産婦人科の嘱託医師と、嘱託する病院または診療所を定めます。
- 助産師が開設する場合は、開設後10日以内に所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長)へ届け出ます。助産師以外が開設する場合は、事前の許可が必要です。
- 入所施設をもつ助産所は、構造設備の検査を受けて使用許可を得てから入所施設を使用します。
- 入所室は地階と3階以上には設けません。ただし耐火構造なら3階以上は可能で、地階に例外はありません。
- 2階以上に入所室があれば屋内の直通階段が、3階以上に入所室があれば避難階段2つ以上が必要です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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