第105回
105AM008|第105回 助産師国家試験 過去問
卵膜の構造と機能について正しいのはどれか。
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正解1
正答
1.羊水の一部を産生・吸収する。
この問題のポイント
卵膜の構造と機能を問う問題で、3層(羊膜・絨毛膜・脱落膜)の並び順、膜表面の性状、脱落膜の癒合、羊水との関わりが判断の手がかりです。基本は「胎児側から羊膜→絨毛膜→脱落膜」という並びです。胎児側の羊膜面は平滑で光沢があること、被包脱落膜が癒合する相手は壁側脱落膜であることを押さえれば、選択肢2〜4を除外でき、選択肢1が正しいと判断できます。
解説
卵膜の3層
卵膜は胎児と羊水を包む袋で、胎盤の辺縁から続いて子宮腔を裏打ちしています。胎児側(内側)から順に次の3層です。
- 羊膜:胎児と羊水に直接接する最内層で、胎児由来です。血管を持たない薄い膜ですが、コラーゲンに富み、卵膜の強度の多くを担います。表面は平滑で光沢があります。
- 絨毛膜:羊膜の外側にあり、胎児由来です。胎盤にならない部分では絨毛が退縮して平滑絨毛膜(無毛部)となり、これが卵膜の絨毛膜層になります。
- 脱落膜:最外層で、母体由来です。子宮内膜が妊娠によって変化したもので、子宮壁に接します。
羊膜と絨毛膜は密着していますが癒合はしていません。そのため、娩出後の卵膜から羊膜だけをはがすことができます。
脱落膜の3区分と卵膜の成り立ち
脱落膜は、着床した胚との位置関係から3つに分けられます。
- 基底脱落膜:胚と子宮筋層の間にある部分です。繁生絨毛膜(有毛部)とともに胎盤を作り、胎盤の母体部になります。
- 被包脱落膜:胚の子宮腔側を覆う部分です。
- 壁側脱落膜(真脱落膜):着床部位以外の子宮腔を裏打ちする部分です。
胎児が大きくなると、被包脱落膜は子宮腔側へ押し出されます。妊娠中期の初め(16週前後)ごろには向かい側の壁側脱落膜と癒合し、子宮腔は消失します。こうして平滑絨毛膜の外側に脱落膜が重なり、3層の卵膜が完成します。基底脱落膜は胎盤の側に使われるので、卵膜の形成には加わりません。
羊水の産生・吸収と卵膜
羊水は複数の経路で作られ、吸収されます。どの経路が主役になるかは妊娠時期によって変わります。
- 妊娠前半:羊膜上皮からの分泌が主体です。母体血漿や胎児の体液が、膜や角化前の胎児皮膚を通って移行した水分も加わります。
- 妊娠後半:主な供給源は胎児尿で、胎児の肺から分泌される肺水も加わります。
- 吸収:最大の経路は胎児の嚥下です。ほかに、羊膜を通過して胎盤胎児面の血管へ入る経路(膜内経路)と、卵膜を通って母体側へ移る経路(経膜経路)があります。
卵膜は主役ではないものの、羊水の産生と吸収の「一部」を担っています。選択肢1の表現はこの実態に合っています。
卵膜は臨床の場面でも重要です。卵膜は上行性感染に対するバリアで、破水後に時間がたつと絨毛膜羊膜炎のリスクが高まります。卵膜(とくに羊膜)はプロスタグランジンを産生し、分娩の開始に関わると考えられています。胎盤娩出後の計測では卵膜の欠損を確認し、子宮内遺残による出血や感染を防ぎます。胎盤でも、羊膜に覆われた胎児面は平滑で光沢があり、母体面は分葉した暗赤色の粗い面です。どちらの面から娩出されたか(Schultze様式・Duncan様式)の判別にもこの違いを使います。
選択肢の確認
1.羊水の一部を産生・吸収する。:正答。卵膜は、羊膜上皮からの分泌と膜を通過する水分の移動によって、羊水の産生と吸収の一部を担います。妊娠後半の主な供給源は胎児尿、主な吸収経路は胎児の嚥下なので、「一部」という表現が正確です。
2.胎児側の表面はざらざらしている。:卵膜の胎児側の面は羊膜で、平滑で光沢があります。ざらざらしているのは子宮壁からはがれてきた脱落膜の面、つまり母体側の面です。胎盤でも胎児面は平滑、母体面は粗いので、「胎児側はつるつる、母体側はざらざら」とまとめて覚えます。
3.被包脱落膜と基底脱落膜は癒合して卵膜を形成する。:被包脱落膜が癒合する相手は壁側脱落膜(真脱落膜)で、基底脱落膜ではありません。基底脱落膜は繁生絨毛膜とともに胎盤を作り、胎盤の母体部になります。脱落膜の3区分のうち、卵膜になる組み合わせと胎盤になる組み合わせを取り違えさせる選択肢です。
4.母体側から順に、絨毛膜、脱落膜、羊膜の3層からなる。:卵膜が3層からなる点は正しいものの、母体側からの正しい順序は脱落膜、絨毛膜、羊膜です。この選択肢では絨毛膜と脱落膜の位置が入れ替わっています。胎児由来の羊膜と絨毛膜が内側、母体由来の脱落膜が最外層と考えれば、順序を間違えません。
覚えるポイント
- 卵膜は胎児側から羊膜→絨毛膜→脱落膜の順です。羊膜と絨毛膜は胎児由来、脱落膜は母体由来です。
- 胎児側(羊膜面)は平滑で光沢があり、母体側(脱落膜面)は粗い面です。胎盤の胎児面と母体面も同じ関係です。
- 胎盤は基底脱落膜と繁生絨毛膜からなります。卵膜は羊膜、平滑絨毛膜、被包脱落膜と壁側脱落膜の癒合したものからなります。
- 羊水の主な供給源は、妊娠前半は羊膜からの分泌や膜を通した移行、後半は胎児尿です。主な吸収経路は胎児の嚥下で、卵膜も産生と吸収の一部を担います。
- 破水は時期によって分類されます。前期破水は陣痛開始前、早期破水は陣痛開始後で子宮口全開大前、適時破水は子宮口全開大のころの破水です。
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