第106回

106AM028|第106回 助産師国家試験 過去問

外陰の構造を図に示す。会陰はどれか。

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解答・解説を見る

正解5

正答

5.E

この問題のポイント

外陰の図で会陰の位置を見分ける問題です。図の上が前方(恥骨側)、下が後方(肛門側)です。この向きをつかみ、下方中央の肛門を目印にすれば判断できます。産科でいう会陰は、腟口の後方にある後陰唇交連から肛門までの部分で、分娩時に強く伸びて裂傷が起こりやすいため、助産で特に重要な部位です。

解説

図の向きと目印

図は、両脚を開いた状態の外陰を足側の正面から見たものです。上が前方(恥骨側)、下が後方(肛門・尾骨側)です。図の中の目印は次のとおりです。

  • 最上部に弧状の線があり、Aの線はそのすぐ下、陰裂より上の部分を指しています。ここは恥丘です。
  • 中央の灰色の部分は二層に描き分けられています。縁に沿った濃い灰色の帯が左右の小陰唇、その内側の明るい部分が、小陰唇に囲まれた腟前庭です。小陰唇は前方で合わさって陰核を包み、灰色の部分の上端寄りに小さな陰核が描かれています。腟前庭の中ほどには小さな楕円形の外尿道口があり、その下に縦長の腟口があります。
  • Cの線は、外尿道口とほぼ同じ高さで、灰色の部分の右縁の帯(小陰唇)で止まっています。Dの線はCより少し下の高さで右縁を越えて内側まで入り、外尿道口と腟口の間の明るい部分(腟前庭)を指しています。
  • 灰色の部分の外側を縁どる白いひだは大陰唇で、Bの線はここを指しています。
  • 下方中央の小さなしわ状の印が肛門です。Eの線は、左右の大陰唇の間の裂け目(陰裂)の後端と、この肛門との間を指しています。

外陰の構造を前から後ろへ並べると、恥丘 → 陰核 → 外尿道口 → 腟口 → 後陰唇交連 → 会陰 → 肛門 の順です。会陰は「腟口より後ろ、肛門より前」にあるので、Eが会陰です。まず肛門を見つけ、そのすぐ前方の皮膚の部分を探すと迷いません。

会陰の範囲と構造

「会陰」という言葉には、次の2つの範囲があります。

  • 狭義の会陰(産科的会陰):後陰唇交連から肛門までの部分です。後陰唇交連は、左右の大陰唇が後方で合わさる部分です。産科・助産で単に「会陰」といえばこの範囲を指し、本問もこの意味で問われています。
  • 広義の会陰(解剖学的会陰):骨盤出口をふさぐ軟部組織全体です。恥骨結合の下縁、左右の坐骨結節、尾骨の先端を結んだ菱形の領域です。左右の坐骨結節を結ぶ線で、前方の尿生殖三角と後方の肛門三角に分けられます。

外陰は尿生殖三角の中にあるので、広い意味では外陰も会陰に含まれます。しかし図で「会陰はどれか」と問われたら、狭義の範囲で答えます。

狭義の会陰の深部、腟と肛門の間には、会陰腱中心(会陰体)という線維と筋のかたまりがあります。球海綿体筋、浅会陰横筋、外肛門括約筋、肛門挙筋の一部などがここに集まっています。会陰腱中心は骨盤底を支える要です。分娩で骨盤底が傷つくと、のちの骨盤臓器脱や尿失禁の原因の一つになります。

分娩・産褥と会陰

分娩第2期に児頭が下りてくると、会陰は膨らんで薄く引き伸ばされます。陣痛発作時に陰裂の間から児頭が見え、間欠時には後退する状態を排臨といいます。間欠時にも後退しなくなった状態が発露です。発露から児頭娩出にかけて会陰は最も強く伸展するため、助産師は会陰保護を行います。会陰を手で支えながら児頭が出る速さを調節し、屈位を保って小斜径周囲で通過させることで、裂傷を防ぎます。

会陰裂傷は、深さによって次のように分類されます。

  • 第1度:会陰の皮膚や腟粘膜にとどまり、筋層には及びません。
  • 第2度:会陰の筋層に及びますが、肛門括約筋は保たれています。
  • 第3度:肛門括約筋が損傷されていますが、肛門・直腸の粘膜は保たれています。
  • 第4度:肛門括約筋に加え、肛門・直腸の粘膜まで裂けています。

第3度・第4度は便失禁(肛門失禁)の原因になることがあります。そのため確実な縫合と、産後の経過観察が必要です。

会陰切開は日常的には行わず、胎児機能不全で娩出を急ぐ場合や、高度の裂傷が予測される場合などに限って行います。主な切開法は次の2つです。

  • 正中切開:縫合しやすく治りもよいのですが、切開が延びると肛門括約筋や直腸に達しやすい方法です。
  • 正中側切開:肛門のほうへ延びるのを避けやすい一方、出血や術後の痛みがやや多い傾向があります。

産褥期には、会陰の発赤・浮腫・皮下出血・分泌物・創の癒合を観察し、痛みの程度を確認します。強い会陰部痛や肛門の圧迫感を訴える場合は、外陰・腟壁血腫を疑って医師に報告します。

選択肢の確認

1.A:図の最上部、弧状の線のすぐ下で陰裂より上の部分を指しており、恥丘です。恥丘は恥骨結合の前面を覆う皮下脂肪の多い隆起で、思春期以降に陰毛が生えます。外陰の中で最も前方にあり、会陰とは陰裂をはさんで反対側にあります。陰核は灰色の部分の上端寄りに別に描かれているので、ここを陰核と取り違えないようにします。

2.B:灰色の部分の外側を縁どる白いひだを指しており、大陰唇です。大陰唇は皮下脂肪の多い左右一対の皮膚のひだで、外側面に陰毛が生え、男性の陰嚢に相当します。前方は恥丘につながり、後方は後陰唇交連で合わさります。会陰はこの後陰唇交連より後ろから始まるので、大陰唇は会陰より前にある構造です。

3.C:外尿道口とほぼ同じ高さで、灰色の部分の右縁に沿った濃い灰色の帯で止まる線で、小陰唇を指しています。小陰唇は大陰唇の内側にある左右一対の薄いひだで、皮下脂肪と陰毛がなく、脂腺が多いのが特徴です。前方では左右が合わさって陰核を包み、腟前庭を左右から囲んでいます。大陰唇とは皮下脂肪と陰毛があるかどうかで区別します。後陰唇交連より前の構造なので、会陰ではありません。

4.D:選択肢3の線より少し下の高さで灰色の部分の右縁を越えて内側まで入り、外尿道口と腟口の間の明るい部分を指しており、腟前庭です。腟前庭は左右の小陰唇に囲まれた領域です。前方に外尿道口、後方に腟口が開き、腟口の後外側には大前庭腺(バルトリン腺)の導管が開いています。腟前庭も後陰唇交連より前にあるので、会陰ではありません。腟口の周りまでを会陰と混同しないようにします。

5.E:正答。陰裂の後端より後ろ、下方中央の肛門より前の皮膚の部分を指しており、狭義の(産科的)会陰です。分娩時に強く伸展して裂傷や会陰切開の部位になり、深部には骨盤底を支える会陰腱中心があります。

覚えるポイント

  • 外陰を前から後ろへ並べると、恥丘 → 陰核 → 外尿道口 → 腟口 → 後陰唇交連 → 会陰 → 肛門の順です。
  • 産科的(狭義)会陰は後陰唇交連(腟口の後方)から肛門までで、深部に骨盤底を支える会陰腱中心があります。解剖学的(広義)会陰は骨盤出口の菱形の領域で、坐骨結節を結ぶ線より前が尿生殖三角、後ろが肛門三角です。
  • 大陰唇は皮下脂肪と陰毛があるひだ(陰嚢に相当)です。小陰唇は皮下脂肪と陰毛がなく、脂腺の多い薄いひだです。小陰唇に囲まれた腟前庭には、外尿道口・腟口・大前庭腺(バルトリン腺)の導管が開いています。
  • 会陰裂傷は、第1度が皮膚・粘膜、第2度が筋層(括約筋は無傷)、第3度が肛門括約筋、第4度が肛門・直腸粘膜までです。
  • 会陰切開は日常的には行いません。正中切開は治りがよいものの肛門側へ延びやすく、正中側切開は延びるのを避けやすい反面、出血と痛みがやや多い傾向です。
  • 排臨(間欠時に児頭が後退する)から発露(間欠時も後退しない)の時期に会陰は強く伸展するので、会陰保護で児頭が出る速さを調節します。

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