第106回

106AM029|第106回 助産師国家試験 過去問

妊娠38週、分娩が進行している。胎児心拍数陣痛図(別冊No. 1)を別に示す。胎児心拍数波形のレベル分類はどれか。

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正解2

正答

2.2

この問題のポイント

妊娠38週・分娩進行中の胎児心拍数陣痛図を読み、日本産科婦人科学会の胎児心拍数波形のレベル分類(5段階)に当てはめる問題です。判定の手がかりは3点です。基線が正常脈か、基線細変動が保たれているか、一過性徐脈があればその種類(早発・変動・遅発・遷延)と程度(軽度・高度)です。本例は基線145 bpm前後で基線細変動も正常です。そこに、子宮収縮に伴って急に下がりすぐ戻る軽度の変動一過性徐脈がみられるため、レベル2(亜正常波形)と判定します。

解説

妊娠38週(正期産)で分娩が進行中なので、分娩中の胎児心拍数陣痛図をレベル分類で評価する場面です。図の上段は胎児心拍数で、目盛りは60〜200 bpm(20 bpmごと)です。下段は子宮収縮で、目盛りは0〜100です。図の下に1分の幅と「紙送り速度=3 cm/分」が示されており、記録は全体でおよそ10分間です。次の順に読みます。

  • 子宮収縮:下段には約10分間に5回の収縮の山が、およそ2〜3分間隔で並んでいます。問題文の「分娩が進行している」に合う所見です。一過性徐脈の種類は、この山との時間関係で見分けます。
  • 基線:一過性の落ち込みを除くと、心拍数はおおむね140〜150 bpmの間を推移しており、基線は145 bpm前後と読めます。基線とは、約10分間の記録から一過性の変動部分などを除いたおおよその平均心拍数を、5 bpm単位で表したものです。110〜160 bpmが正常脈、160 bpm超が頻脈、110 bpm未満が徐脈です。図では160 bpmより上が黄色、110 bpmより下が桃色に塗られていますが、心拍数の線は記録全体でほぼその間の白い範囲に収まっています。基線は正常脈です。
  • 基線細変動:基線は細かく不規則に上下しており、振れ幅は目測でおよそ10 bpm前後です。振幅6〜25 bpm(中等度)が正常で、5 bpm以下は減少、26 bpm以上は増加、肉眼で認めないものは消失です。平坦な区間はないので、基線細変動は正常です。
  • 一過性徐脈:収縮に合わせて、心拍数が急に下がって短時間で戻る落ち込みが繰り返しみられます。目立つものは2つあります。
  • 1つ目は、記録の中央付近で頂上が平らに長く続く3回目の収縮の最中にあります。ギザギザと鋭く130 bpm前後まで下がり、30秒足らずで戻っています。
  • 2つ目は、右寄りの4回目の収縮に伴うV字に近い形のものです。下がり始めから30秒かからずに約120 bpmの最下点に達し、30秒前後で元に戻っています。
  • 1回目や5回目の収縮にも小さく鋭い落ち込みがあります。深さや形、収縮との時間関係は収縮ごとにまちまちです。

一過性徐脈の種類と程度

変動一過性徐脈は、15 bpm以上の心拍数減少が急速に起こり、開始から元に戻るまでが15秒以上2分未満の波形です。急速か緩やかかは目で見て判断し、迷うときは下降の開始から最下点までが30秒未満なら急速とします。子宮収縮と関係なく出ることもあります。収縮に伴って出る場合も形は一定せず、深さや持続が収縮ごとに変わるのが特徴で、本例の落ち込みはこれに合います。

早発一過性徐脈と遅発一過性徐脈は、どちらも緩やかに下がって緩やかに戻るU字型の波形で、収縮ごとに似た形をとります。最下点が収縮の頂点とほぼ一致すれば早発、頂点より遅れれば遅発です。

4回目の収縮に伴う落ち込みは、最下点が収縮の頂点をやや過ぎた位置にあるため、遅発と迷うかもしれません。しかし、下降が急であること、収縮が治まりきる前に元の心拍数へ戻っていること、ほかの収縮での落ち込みと形が異なることから、遅発一過性徐脈ではありません。収縮の山を映したような緩やかな形でもないため、早発一過性徐脈にも当たりません。2分以上続く落ち込みもないので、遷延一過性徐脈もありません。

変動一過性徐脈が「高度」とされるのは、次のどちらかの場合です。最下点が70 bpm未満で30秒以上続く場合と、最下点が70 bpm以上80 bpm未満で60秒以上続く場合です。それ以外はすべて「軽度」です。本例は最も深いものでも最下点が約120 bpmで、持続も1分に満たないので、軽度変動一過性徐脈です。

レベル分類への当てはめと対応

レベル分類は5段階です。レベル1が正常波形、レベル2が亜正常波形、レベル3〜5が異常波形(順に軽度・中等度・高度)です。表は基線細変動の状態(正常・減少・消失・増加など)ごとに分かれており、その中で基線と、一過性徐脈の種類・程度が交わる欄を読みます。「基線細変動正常」の表で「正常脈」と「軽度変動一過性徐脈」が交わる欄はレベル2です。

変動一過性徐脈は主に臍帯圧迫による迷走神経反射で起こり、分娩中に最もよくみられる一過性徐脈です。軽度で、基線と基線細変動が保たれていれば、胎児が低酸素状態に陥っている可能性は低いと考えられます。ただし正常波形ではありません。そのためレベル2の対応として、医師は経過観察、または監視の強化・保存的処置・原因検索を行い、医療機関の助産師は連続監視と医師への報告を行うとされています。

臍帯圧迫が疑われるときの保存的処置の基本は、側臥位などへの体位変換です。ほかに輸液、陣痛促進薬を使用中であれば注入速度の調節・停止などがあります。そのうえで、次のようなレベル上昇のサインを連続監視で早く捉えることが助産師の役割です。

  • 一過性徐脈が深く、長くなる
  • 遅発や遷延の形が出てくる
  • 基線が上がって頻脈になる
  • 基線細変動が減る

選択肢の確認

1.1:レベル1(正常波形)は、基線が正常脈、基線細変動も正常で、かつ一過性徐脈を認めない波形です。本例は基線と細変動こそ正常ですが、子宮収縮に伴って軽度の変動一過性徐脈が繰り返し出ているため、レベル1には当たりません。一過性徐脈がひとつでもあれば、その種類と程度に応じて表の別の欄へ移ると覚えておきましょう。

2.2:正答。基線145 bpm前後(正常脈)、基線細変動正常(中等度)、軽度変動一過性徐脈という組合せは、レベル2(亜正常波形)に分類されます。正常脈・基線細変動正常で早発一過性徐脈がみられる場合もレベル2です。また、一過性徐脈がなくても、頻脈だけ(基線細変動正常)の場合や、基線細変動の減少だけ(正常脈)の場合もレベル2になります。

3.3:レベル3(異常波形・軽度)は、正常脈・基線細変動正常であっても、遅発一過性徐脈(軽度・高度とも)、高度変動一過性徐脈、軽度遷延一過性徐脈を伴う場合などです。本例の一過性徐脈は急に下がって短時間で戻る変動型です。最下点は約120 bpmで80 bpmを大きく上回り、持続も1分未満なので高度ではなく、遅発や遷延の形でもありません。ただし同じ軽度変動一過性徐脈でも、基線が頻脈の場合や基線細変動が減少している場合はレベル3に上がるので注意が必要です。

4.4:レベル4(異常波形・中等度)には、次のような場合があります。正常脈・基線細変動正常で高度遷延一過性徐脈(最下点80 bpm未満)を伴う場合、正常脈で基線細変動が減少し高度変動一過性徐脈や高度遅発一過性徐脈を伴う場合、正常脈で基線細変動が消失し一過性徐脈がない場合などです。本例は基線細変動が保たれ、高度の一過性徐脈もないので該当しません。レベル4では、急速遂娩の準備や実行が対応の選択肢に入ります。

5.5:レベル5(異常波形・高度)は、基線細変動が消失したうえに一過性徐脈を伴う場合や、基線細変動の減少に高度遷延一過性徐脈を伴う場合など、胎児のアシドーシスが強く疑われる波形です。急速遂娩の実行と新生児蘇生の準備が求められます。本例は基線細変動が十分に保たれ、一過性徐脈も軽度の変動型だけなので、最も重いこのレベルには当たりません。

覚えるポイント

  • レベル分類は「基線細変動」「基線」「一過性徐脈の種類と程度」の組合せで決まります。基線は110〜160 bpmが正常脈(160 bpm超は頻脈、110 bpm未満は徐脈)です。基線細変動は振幅6〜25 bpmが正常で、5 bpm以下は減少、26 bpm以上は増加、肉眼で認めなければ消失です。
  • 種類の見分け方は次のとおりです。下降が急速(最下点まで30秒未満)で、15 bpm以上・15秒以上2分未満なら変動です。緩やかな下降で最下点が収縮の頂点と一致すれば早発、頂点より遅れれば遅発です。2分以上10分未満続けば遷延で、10分以上は基線の変化とみなします。
  • 程度の基準は次のとおりです。変動は「最下点70 bpm未満で30秒以上」または「最下点70 bpm以上80 bpm未満で60秒以上」なら高度です。遅発は基線からの低下が15 bpm以上なら高度、遷延は最下点80 bpm未満なら高度です。早発には軽度・高度の区分がありません。
  • 正常脈・基線細変動正常の場合、一過性徐脈なしはレベル1、早発と軽度変動はレベル2です。遅発(軽度・高度とも)・高度変動・軽度遷延はレベル3、高度遷延はレベル4です。基線細変動が消失していれば、一過性徐脈がなくても少なくともレベル4、一過性徐脈を伴えばレベル5です。
  • 主な原因は、早発が児頭圧迫、変動が臍帯圧迫、遅発が子宮胎盤循環不全です。変動一過性徐脈には、まず体位変換で臍帯圧迫の解除を図ります。レベル2では連続監視を続けて医師に報告し、レベルの上昇を見逃さないようにします。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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