第105回

105AM018|第105回 助産師国家試験 過去問

児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉で規定されているのはどれか。

解答・解説を見る

正解4

正答

4.保護者に対する施設入所等の措置となった児童との面会の制限

この問題のポイント

児童虐待に関わる制度が、児童虐待防止法と児童福祉法のどちらに規定されているかを区別できるかを問う問題です。一時保護、施設入所、児童相談所の職員配置、養育支援訪問事業は、虐待以外の子どもや家庭も対象にする児童福祉全般の仕組みなので、児童福祉法に根拠があります。一方、虐待を行う保護者への強い介入や制限(通告、立入調査、臨検・捜索、面会・通信の制限、接近禁止命令)は児童虐待防止法に定められています。この区別が判断の鍵です。

解説

2つの法律の関係

児童福祉法(1947年制定)は、すべての児童の福祉を保障する基本法です。児童相談所の設置と職員、一時保護、施設入所等の措置、子育て支援事業など、児童福祉の仕組み全体を定めています。

児童虐待防止法(2000年制定)は、児童虐待に特化した法律です。児童福祉法の仕組みを前提にしたうえで、虐待の早期発見と、虐待を行う保護者から子どもを守るための特別な権限を上乗せしています。主な規定は次のとおりです。

  • 児童虐待の定義:保護者(親権を行う者、未成年後見人その他で児童を現に監護する者)が18歳未満の児童に行う、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4類型です。児童の面前でのDV(面前DV)は心理的虐待に含まれます。
  • 早期発見の努力義務:学校、児童福祉施設、病院などの職員や、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師などが対象として明記されています。
  • 通告義務:虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所のいずれかに通告しなければなりません。守秘義務に関する法律の規定は、通告を妨げるものではありません。
  • 調査と介入の権限:安全確認、出頭要求、立入調査、裁判官の許可状による臨検・捜索、警察署長への援助要求が定められています。
  • 保護者の接触の制限:施設入所等の措置や一時保護がとられた児童について、保護者との面会・通信を制限できます。さらに接近禁止命令も規定されています。
  • 体罰の禁止:親権者等による体罰の禁止が明記されています(2019年改正、2020年4月施行)。

面会・通信の制限と接近禁止命令

施設入所等の措置がとられた児童、または一時保護が行われた児童について、児童虐待の防止と児童の保護のために必要と認めるときは、児童相談所長や施設の長が、虐待を行った保護者に対して児童との面会や通信の全部または一部を制限できます。保護者が施設に押しかけたり、子どもを連れ戻そうとしたりすることで、子どもが再び危険にさらされたり心理的に追い詰められたりするのを防ぐ規定です。

さらに必要な場合には、都道府県知事(児童相談所設置市では市長)が接近禁止命令を出すことができます。これは保護者に対し、児童へのつきまといや、住居・学校など児童が通常いる場所の付近でのはいかいを禁止する命令です。

正答に至る考え方

選択肢1〜3は虐待対応でよく登場する仕組みですが、いずれも虐待に限らず用いられる児童福祉の一般的な制度です。選択肢4は、虐待を行った保護者を対象にその接触を制限するもので、虐待への対応に特化した内容です。このことから、児童虐待防止法の規定だと判断できます。

助産師の実践とのつながり

妊婦健診や母子健康手帳交付の場面で、若年妊娠、望まない妊娠、経済的困窮、妊婦健診の未受診、DVなどの背景をもつ妊婦を把握することがあります。その場合は市町村へ情報提供し、特定妊婦として要保護児童対策地域協議会での支援につなげます。医療機関や助産師などが支援の必要な妊婦や児童を把握したときに市町村へ情報提供するよう努める規定も、児童福祉法に置かれています。

出生後に虐待が疑われる所見を認めた場合には通告義務があり、守秘義務を理由にためらう必要はありません。どちらの法律に基づく仕組みかを理解しておくと、連携先(市町村か児童相談所か)や手続きを適切に選べます。

選択肢の確認

1.児童相談所への看護師の配置:児童相談所の設置や職員体制を定めているのは児童福祉法で、児童虐待防止法には特定の職種の配置を定める規定はありません。児童福祉法が児童相談所の職員として定めているのは、所長のほか、児童福祉司、心理の専門職、医師や保健師などです。医療・保健の専門職として法律に明記されているのは、看護師ではなく保健師です。「職員配置は児童福祉法」と「職種は保健師」の2点で誤りとなる選択肢であり、看護師と保健師の取り違えに注意が必要です。

2.特定妊婦に対する養育支援訪問:特定妊婦の定義も養育支援訪問事業も、児童福祉法に規定されています。特定妊婦とは、出産後の養育について出産前から支援を行うことが特に必要と認められる妊婦のことです。養育支援訪問事業は市町村が実施する事業で、要支援児童や特定妊婦などの居宅を訪問し、養育に関する相談・指導・助言を行います。虐待の発生予防につながる事業ですが、根拠は児童虐待防止法ではありません。生後4か月までの乳児のいる全家庭を訪問する乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)も児童福祉法の事業です。この事業で把握した支援の必要な家庭が、養育支援訪問事業につながるという関係にあります。

3.心身の危険がある児童の一時保護:一時保護は児童福祉法に基づく措置です。児童相談所長または都道府県知事が、児童の安全を迅速に確保して適切な保護を図るため、または児童の心身の状況や置かれている環境を把握するために行います。対象は虐待に限られず、非行や保護者の疾病・不在なども含まれます。児童虐待防止法にも「通告を受けた児童相談所が必要に応じて一時保護を行う」という記述はありますが、これは児童福祉法の一時保護を用いることを示したものです。一時保護そのものの根拠と要件は児童福祉法に置かれています。たとえば、期間は原則2か月以内で、親権者等の意に反して2か月を超えて続ける場合には家庭裁判所の承認が必要です。出題当時の仕組みは以上のとおりですが、その後の児童福祉法改正により、親権者等の同意がない一時保護の開始について裁判官の審査(一時保護状)を経る仕組みが導入され、現在は施行されています。

4.保護者に対する施設入所等の措置となった児童との面会の制限:正答。児童虐待防止法に規定されている措置です。施設入所等の措置がとられた児童(一時保護中の児童も含む)について、児童相談所長や施設の長は、虐待を行った保護者と児童との面会や通信を制限できます。施設入所等の措置そのものは児童福祉法に基づく措置ですが、措置後に保護者の接触を制限する権限は、児童虐待防止法が上乗せしたものです。必要に応じて接近禁止命令も出せることとあわせて押さえておきましょう。

覚えるポイント

  • 児童虐待防止法に規定されているもの:虐待の定義(4類型)、早期発見の努力義務、通告義務、安全確認・出頭要求・立入調査・臨検・捜索、面会・通信の制限、接近禁止命令、体罰の禁止
  • 児童福祉法に規定されているもの:児童相談所の設置と職員(児童福祉司、医師、保健師など)、一時保護、施設入所等の措置(親権者の意に反する場合は家庭裁判所の承認)、特定妊婦の定義、養育支援訪問事業・乳児家庭全戸訪問事業、要保護児童対策地域協議会
  • 見分け方:虐待以外の子どもにも使う一般的な福祉の仕組みは児童福祉法、虐待を行う保護者への特別な介入や制限は児童虐待防止法
  • 通告先は、市町村、都道府県の設置する福祉事務所、児童相談所の3か所(児童委員を介してもよい)です。「虐待を受けたと思われる」段階で通告でき、守秘義務違反にはなりません。
  • 児童相談所に法律上置かれる医療・保健職は保健師です。看護師と取り違えないようにします。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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