第105回

105AM017|第105回 助産師国家試験 過去問

日本の平成30年(2018年)の早期新生児死亡で正しいのはどれか。

解答・解説を見る

正解4

正答

4.死亡率は出生1,000に対して0.7である。

この問題のポイント

早期新生児死亡(生後1週未満の死亡)について、周産期死亡・新生児死亡との包含関係、平成30年の死亡率、死因の順位を問う母子保健統計の問題です。各指標の定義(期間)と分母を押さえておけば、率の数値から割合も推計できます。選択肢1・2の「8割」「3割」という数字の置き方の誤りに気づけることが鍵です。

解説

定義と分母を整理する

母子保健の死亡指標は、対象とする期間と分母の違いで区別します。

  • 早期新生児死亡:生後1週(7日)未満の死亡です。率は出生千対です。
  • 新生児死亡:生後4週(28日)未満の死亡です。率は出生千対です。
  • 乳児死亡:生後1年未満の死亡です。率は出生千対です。
  • 周産期死亡:妊娠満22週以後の死産と早期新生児死亡を合わせたものです。率は出産千対で、この場合の出産数は「出生数+妊娠満22週以後の死産数」です。
  • 死産:妊娠満12週以後の死児の出産を指します。死産率は出産(出生+死産)千対です。

早期新生児死亡は、新生児死亡と乳児死亡の一部であると同時に、周産期死亡の構成要素でもあります。この二重の位置づけを理解しておくことが、この問題を解く前提になります。周産期死亡に死産を含めるのは、妊娠後期から出生直後までの死亡が、母体の状態・妊婦健診・分娩管理・新生児蘇生といった共通の要因に左右されるためです。そのため周産期死亡率は、周産期医療の水準を総合的に示す指標として使われます。

平成30年の水準

人口動態統計(平成30年)では、乳児死亡率が1.9、新生児死亡率が0.9、早期新生児死亡率が0.7(いずれも出生千対)でした。周産期死亡率は3.3(出産千対)です。いずれも世界で最も低い水準にあります。

率から割合を推計する

  • 早期新生児死亡と新生児死亡の関係:0.7÷0.9で、およそ0.8になります。新生児死亡の7〜8割が生後1週未満に集中していると分かります。
  • 早期新生児死亡と周産期死亡の関係:分母はわずかに異なりますが、22週以後の死産数は出生数に比べてごく少ないため、ほぼ同じ分母とみなせます。0.7÷3.3で約2割となり、残りの約8割は妊娠満22週以後の死産です。

このように、死亡率の数字を覚えておけば、割合を問う選択肢にも対応できます。

死因の特徴

日本の新生児期の死亡は、出生前や出生時にすでに存在する病態によるものが中心です。死因の第1位は先天奇形、変形及び染色体異常で、次いで周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害が上位を占めます。

助産の実践では、次のような取り組みがこの統計に直結しています。

  • 出生前診断を受けた家族への支援
  • 新生児蘇生法(NCPR)による出生直後の呼吸・循環の確立
  • ハイリスク妊婦の高次施設への母体搬送

選択肢の確認

1.周産期死亡の8割を占める。:周産期死亡の約8割を占めるのは妊娠満22週以後の死産で、早期新生児死亡は約2割にとどまります。平成30年の周産期死亡率3.3(出産千対)と早期新生児死亡率0.7(出生千対)を比べても、この比率になります。「8割」は死産の占める割合であり、取り違えを狙った選択肢です。

2.新生児死亡数の3割を占める。:新生児死亡(生後4週未満)の大半は生後1週未満に起こり、早期新生児死亡は新生児死亡の7〜8割を占めます。平成30年の新生児死亡率0.9に対して早期新生児死亡率は0.7であることからも確認できます。3割に近いのは、むしろ生後1週以後4週未満の死亡の割合です。

3.死亡原因の第1位は敗血症である。:日本の新生児期の死因の第1位は先天奇形、変形及び染色体異常です。次いで周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害が続き、新生児の細菌性敗血症は上位ではありません。世界全体、特に医療資源の乏しい地域では、感染症が新生児死亡の主要な原因の一つです。この知識と混同しないよう注意します。

4.死亡率は出生1,000に対して0.7である。:正答。人口動態統計(平成30年)の早期新生児死亡率は出生千対0.7です。同じ年の新生児死亡率0.9、乳児死亡率1.9とともに、世界で最も低い水準にあります。分母が「出生」である点も正確な記述です。

覚えるポイント

  • 期間の定義は、早期新生児が生後1週未満、新生児が生後4週未満、乳児が生後1年未満です。周産期死亡は「妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡」、死産は妊娠満12週以後です。
  • 分母は、早期新生児・新生児・乳児死亡率が出生千対です。周産期死亡率は出産(出生+22週以後の死産)千対、死産率は出産(出生+死産)千対です。
  • 平成30年(人口動態統計)の値は、乳児1.9、新生児0.9、早期新生児0.7(出生千対)、周産期3.3(出産千対)です。
  • 周産期死亡の約8割は22週以後の死産で、早期新生児死亡は約2割です。新生児死亡の7〜8割は生後1週未満に起こります。
  • 新生児期の死因の第1位は先天奇形、変形及び染色体異常で、周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害が続きます。

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