第106回

106AM033|第106回 助産師国家試験 過去問

助産師の異常死産児の届出義務を規定している法律はどれか。

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正解5

正答

5.保健師助産師看護師法

この問題のポイント

助産師に課される義務がどの法律に定められているかを問う問題です。手がかりは「助産師の」と「届出義務」の2語です。助産師の免許・業務・義務は、身分法(資格法)である保健師助産師看護師法にまとめて規定されています。医師法の異状死体等の届出や、市町村長に出す死産届との違いも問われやすい部分です。

解説

異常死産児の届出の内容

保健師助産師看護師法第41条は、助産師が妊娠4月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならないと定めています。要素に分けると次のとおりです。

  • 対象:妊娠4か月以上、つまり妊娠12週以降の死産児
  • 要件:助産師が検案して異常があると認めたとき
  • 期限:24時間以内
  • 届出先:所轄警察署

届出先が警察署であることから分かるとおり、この届出は死産の背景にある犯罪(堕胎、遺棄など)を見逃さず、捜査の端緒とするためのものです。助産所や自宅での分娩では、助産師が単独で死胎を検案する場面があり得ます。そのため、この義務は実践に直結する知識です。

医師法第21条との対比

医師法第21条は、医師が死体または妊娠4月以上の死産児を検案して「異状」を認めたときに、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務を定めています。期限と届出先は助産師と同じです。

違いは対象で、助産師の届出は死産児に限られます。助産師は死体の検案を行えず、死亡診断書や死体検案書も作成できません。出生後に死亡した新生児については医師に委ねます。条文の用字も異なり、医師法は「異状」、保健師助産師看護師法は「異常」です。

死産届との区別

警察署への届出とは別に、行政上の死産届があります。根拠は「死産の届出に関する規程」(厚生省令)です。

  • 対象:妊娠満12週以後の死児の出産
  • 届出人:父母などの届出義務者
  • 期限と届出先:7日以内に市町村長へ
  • 添付書類:医師または助産師が作成する死産証書または死胎検案書

死産届は人口動態統計の基礎資料にもなります。「誰が・どこへ・何のために届け出るのか」が警察署への届出とはまったく異なる点を区別しましょう。

保健師助産師看護師法に定められた助産師のその他の義務

  • 妊産婦・胎児・新生児に異常を認めたときは医師の診療を求めさせ、自らは処置しない(臨時応急の手当は除く)
  • 助産や保健指導の求めを正当な事由なく拒まない(応召義務)
  • 出生証明書・死産証書・死胎検案書の交付の求めを正当な事由なく拒まない
  • 自ら分娩の介助や死胎の検案をしないで、これらの証明書を交付しない
  • 助産録を記載し、5年間保存する

守秘義務の根拠は職種によって異なります。保健師・看護師・准看護師は保健師助産師看護師法第42条の2ですが、助産師は刑法第134条の秘密漏示罪によります。頻出のひっかけです。

選択肢の確認

1.刑法:この法律の第134条(秘密漏示罪)は、医師・薬剤師・弁護士などとともに助産師を対象とし、業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らす行為を処罰します。堕胎の罪も定めていますが、死産児を警察署へ届け出る義務は規定していません。「助産師の守秘義務を規定する法律」を問われた場合には、この法律が正答になります。問われている義務の種類で根拠法が変わることに注意しましょう。

2.戸籍法:出生届(14日以内、国外出生は3か月以内)や死亡届(死亡の事実を知った日から7日以内)など、身分関係の届出を市町村長に行うことを定めた法律です。出生届には医師や助産師が作成する出生証明書を添付します。一方、死産は戸籍に記載されず、死産届は別の省令である「死産の届出に関する規程」に基づきます。警察署への届出も定めていません。

3.母子保健法:妊娠の届出(市町村長へ)、母子健康手帳の交付、1歳6か月児・3歳児健康診査、新生児や未熟児の訪問指導、未熟児養育医療などを定めています。届出に関する規定として、出生時体重2,500g未満の低体重児について保護者が市町村へ届け出る義務があり、混同しやすい点です。ただし、助産師が死産児を警察署へ届け出る規定はありません。

4.母体保護法:不妊手術と人工妊娠中絶の要件、受胎調節の実地指導などを定める法律です。人工妊娠中絶や不妊手術を行った医師は、その月の結果を翌月10日までに都道府県知事へ届け出ます。この届出は主体が医師で、届出先も都道府県知事なので、助産師の異常死産児の届出とは異なります。受胎調節実地指導は、講習を修了し指定を受けた助産師・保健師・看護師も行えます。ただし、子宮腔内への避妊器具の挿入はできません。

5.保健師助産師看護師法:正答。この法律の第41条が、妊娠4か月以上の死産児を検案して異常を認めたときに、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務を助産師に課しています。助産録の5年間保存、応召義務、証明書交付の義務なども同じ法律に定められています。

覚えるポイント

  • 助産師の異常死産児の届出は保健師助産師看護師法第41条です。妊娠4か月以上の死産児が対象で、24時間以内に所轄警察署へ届け出ます。
  • 医師の届出は医師法第21条で、死体または妊娠4か月以上の死産児に「異状」を認めた場合です。期限と届出先(24時間以内・所轄警察署)は助産師と共通です。
  • 死産届は「死産の届出に関する規程」によります。妊娠満12週以後の死児の出産が対象で、7日以内に市町村長へ、死産証書または死胎検案書を添えて届け出ます。
  • 守秘義務の根拠は、助産師が刑法第134条、保健師・看護師・准看護師が保健師助産師看護師法第42条の2です。
  • 届出の宛先を整理しておきましょう。出生届・死亡届は戸籍法で市町村長へ、低体重児の届出は母子保健法で保護者が市町村へ、人工妊娠中絶は母体保護法で医師が都道府県知事へ届け出ます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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