第105回
105PM021|第105回 助産師国家試験 過去問
死産に関わる届出について正しいのはどれか。
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正解4
正答
4.死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。
この問題のポイント
死産の届出について、死産の届出に関する規程と保健師助産師看護師法の決まりを問う問題です。区別すべき点は4つあります。期限が7日以内か24時間以内か、提出先が市町村長か都道府県知事か、書類が死産証書か死胎検案書か、警察へ届け出るのはどのような場合か、です。それぞれの届出の目的と結びつけて覚えると取り違えにくくなります。
解説
死産の定義と届出の根拠
死産の届出は、戸籍法ではなく厚生省令の「死産の届出に関する規程」に基づいて行います。この規程でいう死産は、妊娠第4月以後(妊娠満12週以後)における死児の出産です。自然死産だけでなく人工死産も含まれます。人工死産とは、母体保護法に基づく人工妊娠中絶などで、妊娠12週以後に死児が娩出された場合をいいます。死産児は出生していないため戸籍には記載されません。死産届は人口動態統計(死産統計)の基礎資料になります。
死産届の決まり
- 期限:死産後7日以内
- 提出先:届出人の所在地、または死産があった場所の市町村長(特別区の区長、指定都市の区長を含む)
- 届出人:原則として父です。父がやむを得ない事由で届け出られないときは母、父母ともにできないときは同居人、死産に立ち会った医師、助産師、その他の立会者の順になります。
- 添付書類:医師または助産師が作成した死産証書または死胎検案書
死産証書と死胎検案書
分娩に立ち会った医師・助産師が作成するのが死産証書です。分娩に立ち会わず、娩出された死胎を後から検案した医師・助産師が作成するのが死胎検案書です。区別の基準は「自ら分娩に立ち会ったかどうか」です。保健師助産師看護師法は、自ら分娩の介助または死胎の検案をしないで、出生証明書・死産証書・死胎検案書を交付してはならないと定めています。
異常を認めたときの警察への届出
死産児を検案して異常があると認めた医師・助産師は、24時間以内に所轄警察署へ届け出なければなりません。根拠は次のとおりです。
- 助産師:保健師助産師看護師法第41条が、妊娠4月以上の死産児を検案して異常を認めたときの届出義務を定めています。死産の届出に関する規程にも同じ趣旨の規定があります。
- 医師:医師法第21条が、死体または妊娠4月以上の死産児を検案して異状を認めたときに、同じく24時間以内の届出を義務づけています。
この届出の目的は、堕胎や遺棄など犯罪が関わっている可能性を見逃さないことです。医学的に判断して処理を終わらせず、捜査機関に判断の機会を確保するための規定と理解してください。
実践とのつながり
助産所や自宅での分娩で死産に立ち会った助産師は、死産証書を作成します。あわせて家族に、届出の期限(7日以内)と提出先(市町村長)を伝えます。死産は家族にとって深い喪失体験なので、手続きの説明はグリーフケアに配慮しながら行います。
一方、娩出後に呼吸・心拍・臍帯拍動・随意筋の明確な運動のいずれかが認められれば出生(生産)です。その後に死亡しても死産ではないため、出生届と死亡届が必要になります。このとき必要な死亡診断書・死体検案書は助産師には作成できず、医師が作成します。この区別も頻出です。
選択肢の確認
1.死産届は24時間以内に提出しなければならない。:死産届の期限は死産後7日以内で、24時間以内ではありません。「24時間以内」は、異常を認めた死産児を所轄警察署に届け出るときの期限です。この2つを取り違えさせるのがこの選択肢の狙いです。死亡届の7日以内(死亡の事実を知った日から)と同じ長さとまとめ、出生届の14日以内とは区別して覚えます。
2.死産届は死産のあった場所の都道府県知事に提出する。:死産届の提出先は、届出人の所在地または死産があった場所の市町村長です。「死産のあった場所」で届け出られる点は正しいものの、提出先が都道府県知事である点が誤っています。都道府県知事への届出と混同しやすいのは、母体保護法の人工妊娠中絶・不妊手術の届出です。こちらは医師がその月の手術結果をまとめ、翌月10日までに都道府県知事へ届け出るもので、死産届とは別の制度です。
3.死産の分娩に立ち会った場合は死胎検案書を作成する。:分娩に立ち会った医師・助産師が作成するのは死産証書で、死胎検案書ではありません。死胎検案書は、分娩に立ち会わず、娩出後の死胎を検案した場合に作成します。死亡診断書と死体検案書の区別では、単に生前に診療したことがあるかだけでなく、診療していた傷病と死亡との関連を確認します。生前に診療していた傷病に関連する死亡と認める場合は死亡診断書、それ以外の場合は死体検案書を交付するのが原則です。診療中の患者でも、別の原因で死亡した場合などは死体検案書となり得ます。
4.死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。:正答。死産児を検案して異常があると認めた医師・助産師には、24時間以内に所轄警察署へ届け出る義務があります。根拠は、助産師は保健師助産師看護師法第41条、医師は医師法第21条です。いずれも犯罪の見逃しを防ぐための規定です。届出先が市町村長や保健所ではなく警察署である点も押さえておきます。
覚えるポイント
- 死産とは、妊娠満12週(第4月)以後の死児の出産で、人工死産も含みます。戸籍には記載されず、人口動態統計の死産統計に計上されます。
- 死産届は、死産後7日以内に、届出人の所在地または死産のあった場所の市町村長へ提出します。届出人は原則として父で、医師・助産師の証書か検案書を添えます。
- 分娩に立ち会った場合は死産証書、立ち会わずに死胎を検案した場合は死胎検案書です。どちらも医師・助産師が作成できます。
- 妊娠4月以上の死産児に異常を認めたら、24時間以内に所轄警察署へ届け出ます。根拠は、助産師は保助看法第41条、医師は医師法第21条です。
- 期限の比較:出生届は14日以内、死亡届と死産届は7日以内、異常死産児の警察への届出は24時間以内です。
- 出生後に死亡した場合は死産ではなく、出生届と死亡届が必要です。死亡診断書は助産師には作成できません。
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