第105回
105AM031|第105回 助産師国家試験 過去問
在胎38週2日、2,640 gで出生した男児。第5指中節骨異形成、房室中隔欠損、十二指腸閉鎖を認めた。最も考えられるのはどれか。
解答・解説を見る
正解3
正答
3.21トリソミー
この問題のポイント
新生児にみられる複数の先天異常の組合せから、背景にある染色体異常や症候群を推定する問題です。「房室中隔欠損」と「十二指腸閉鎖」はダウン症候群(21トリソミー)に特徴的な合併症です。「第5指中節骨異形成」は小指の内彎(内彎指)を起こす、ダウン症候群の骨格所見です。さらに「男児」という情報から、女性に生じるターナー症候群は除外できます。
解説
問題文の手がかりを整理する
- 在胎38週2日の正期産で、出生体重は2,640 gです。2,500 g以上なので低出生体重児には該当しません。18トリソミーで典型的な、高度の子宮内発育不全をうかがわせる情報はありません。
- 性別は男児です。
- 所見は3つの系統にわたっています。骨格の第5指中節骨異形成、心臓の房室中隔欠損、消化管の十二指腸閉鎖です。
1つずつの所見は他の疾患でもみられますが、この3つが同時にそろうと、ダウン症候群がまず考えられます。単独の所見で決めつけず、組合せで症候群を推定するのがこの種の問題の解き方です。
ダウン症候群(21トリソミー)の要点
- 核型:21番染色体が1本多い状態です。約95%は標準型(独立した21番染色体が3本)で、残りは転座型とモザイク型です。
- 標準型の成因と頻度:主に卵子形成時の減数分裂で起こる染色体不分離が原因です。母体年齢が高いほど頻度が上がります。
- 転座型:親が均衡型転座の保因者である場合があり、次子の再発リスクに関わります。そのため児の染色体検査で型を確認し、遺伝カウンセリングにつなげることが大切です。
- 外表所見:筋緊張低下、平坦な顔貌、眼瞼裂斜上、内眼角贅皮、鼻根部平坦、舌の突出、単一手掌屈曲線、第1趾と第2趾の間が広いサンダルギャップなどがあります。第5指は中節骨が低形成のため短く、内側に曲がります。
- 心疾患:約半数に先天性心疾患を合併します。中でも房室中隔欠損(心内膜床欠損)が特徴的です。
- 消化管:十二指腸閉鎖・狭窄、輪状膵、ヒルシュスプルング病、鎖肛などがみられます。
- その他:先天性甲状腺機能低下症、新生児期の一過性骨髄異常増殖症(TAM)、白血病、難聴、環軸椎不安定性、知的障害などがあります。
十二指腸閉鎖との結びつき
十二指腸閉鎖では、胎児が羊水を飲み込んで腸から吸収できないため、妊娠中に羊水過多として気づかれることがあります。閉鎖部位はファーター乳頭より肛門側であることが多く、出生後早期に胆汁性嘔吐を起こすのが一般的です。腹部単純X線では、胃と十二指腸球部の2つのガス像が並び、それより先にガスがみられないダブルバブルサインが特徴です。十二指腸閉鎖の児にはダウン症候群の合併が多いため、一方をみたら他方を念頭に置きます。
助産実践での意味
出生直後の観察では、嘔吐の性状、腹部膨満、チアノーゼや心雑音、筋緊張の程度が重要です。十二指腸閉鎖があれば絶飲食と手術が優先されます。術後も筋緊張低下のため吸啜が弱く、授乳に時間がかかることが多いため、搾乳の継続支援など母乳育児の工夫が必要になります。また、両親への告知後は、衝撃や悲嘆に寄り添いながら愛着形成を支えます。医療・療育・親の会などの社会資源につなぐことも助産師の大切な役割です。
選択肢の確認
1.13トリソミー:13番染色体が1本多いパトウ症候群です。前脳が左右に分かれない全前脳胞症、口唇口蓋裂、小眼球、多指(趾)症、頭皮欠損などが特徴です。心室中隔欠損などの心疾患も合併しますが、決め手になるのは脳と顔面正中部の奇形や多指症です。本例にはそれらの記載がなく当てはまりません。生命予後はきわめて不良です。
2.18トリソミー:18番染色体が1本多いエドワーズ症候群です。高度の子宮内発育不全、後頭部突出、小顎、耳介低位、指を重ねて握る手(示指が中指に、小指が薬指に重なる)、揺り椅子状足底が特徴です。消化管奇形では十二指腸閉鎖よりも食道閉鎖や臍帯ヘルニアとの関連が知られ、心疾患は心室中隔欠損が多くみられます。本例の所見の組合せとは一致しません。
3.21トリソミー:正答。房室中隔欠損、十二指腸閉鎖、第5指中節骨の異形成(内彎指)は、いずれもダウン症候群に特徴的な所見です。3つがそろうことで最も強く疑われます。確定診断には染色体検査を行い、標準型・転座型・モザイク型を区別します。
4.Potter〈ポッター〉症候群:両側腎無形成などで胎児の尿が作られないことから始まる病態です。高度の羊水過少となり、肺低形成、特有の顔貌(平坦な鼻、小顎、耳介低位)、内反足などの四肢変形を来します。羊水過少から続く一連の変化は「ポッターシークエンス」とも呼ばれ、染色体異常ではありません。出生直後から重い呼吸障害を呈するのが特徴で、腎や呼吸器の所見がない本例には当てはまりません。
5.Turner〈ターナー〉症候群:X染色体が1本のみ(45,X)か、X染色体の構造異常をもつ女性に生じる症候群です。本例は男児なので、この時点で除外できます。新生児期には手背・足背のリンパ浮腫や翼状頸がみられ、大動脈縮窄症や馬蹄腎を合併することがあります。成長とともに低身長や、性腺形成不全による原発性無月経が問題になります。ダウン症候群と異なり、知能は正常であることが多いです。
覚えるポイント
- ダウン症候群の手がかりは、房室中隔欠損、十二指腸閉鎖(ダブルバブルサイン)、第5指の内彎指、筋緊張低下、単一手掌屈曲線、サンダルギャップです。
- 21トリソミーの約95%は標準型で、母体年齢とともに増加します。転座型では親の保因者検査と遺伝カウンセリングが重要です。
- 18トリソミーは「重なり指・揺り椅子状足底・子宮内発育不全・食道閉鎖」、13トリソミーは「全前脳胞症・口唇口蓋裂・多指症」で見分けます。
- 羊水量が手がかりになります。十二指腸閉鎖や食道閉鎖は羊水過多、ポッター症候群(腎無形成)は羊水過少から肺低形成を来します。
- ターナー症候群は女性に生じ(45,X)、翼状頸、リンパ浮腫、大動脈縮窄、低身長、原発性無月経が特徴です。問題文の性別は最初に確認します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。
解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。
学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。