第105回
105PM014|第105回 助産師国家試験 過去問
日齢1の新生児の清潔ケアで沐浴と比較したドライテクニック法の特徴で正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解3
正答
3.胎脂を残すことができる。
この問題のポイント
出生後早期の新生児に行う清潔ケアについて、ドライテクニック法の特徴を沐浴と比べて問う問題です。手がかりは「日齢1」と「沐浴と比較した」という条件です。全身を湯につけず、胎脂を残すこの方法が、体温保持と皮膚保護にどう役立つかを判断します。胎脂の働きと、新生児の体温調節が未熟であることを理解していれば正答を選べます。
解説
ドライテクニック法とは
ドライテクニック法は、出生後しばらくの間は沐浴を行わず、清拭で清潔を保つ方法です。期間は施設により異なり、数日間のところも退院までのところもあります。
- 出生直後に、皮膚についた血液・羊水・胎便などを、温めたタオルやガーゼでやさしく拭き取ります。
- 胎脂はこすり落とさずに残します。
- その後は、おむつ交換時の殿部清拭や、吐乳・汗で汚れた部位の部分清拭で清潔を保ちます。
問題の日齢1は、まさにこの方法が用いられる時期にあたります。
胎脂の働きと体温保持
胎脂は、胎児期に皮脂腺からの分泌物と剝離した表皮細胞などから形成される、白色のクリーム状の物質です。主な役割は次のとおりです。
- 皮膚からの水分蒸散を防いで保湿し、乾燥や落屑を防ぎます。
- 抗菌作用をもつ物質を含み、細菌の侵入から皮膚を守ります。
- 皮膚表面を覆い、熱の放散を抑えます。
胎脂は拭き取らなくても数日のうちに皮膚へ吸収され、自然に目立たなくなります。石けんを使う沐浴では洗い流されてしまうため、胎脂を残せることはドライテクニック法の最も大きな特徴です。
新生児は、次の理由から熱を失いやすい状態にあります。
- 体重に比べて体表面積が大きい
- 皮下脂肪が薄い
- ふるえ(シバリング)による熱産生がほとんどできず、褐色脂肪組織による非ふるえ熱産生に頼っている
熱の喪失経路には蒸散・伝導・対流・輻射の4つがあります。沐浴後の濡れた皮膚からの蒸散は、特に大きな熱損失につながります。体温が下がると(寒冷ストレス)、酸素消費量が増え、低血糖・代謝性アシドーシス・呼吸障害を招くおそれがあります。全身を濡らさないドライテクニック法は、こうした体温低下を防ぎ、出生後の呼吸・循環の適応を妨げにくい方法です。
実践上の位置づけ
その他の利点として、次の点が挙げられます。
- 沐浴に伴う児の負担やエネルギー消耗が少ない
- 早期母子接触や母子同室を妨げにくい
WHOも、初回の沐浴を出生後24時間以降に遅らせることを推奨しています。
一方で、退院後は家庭で沐浴を行うため、ドライテクニック法を採用する施設でも、退院までに家族へ沐浴指導を行う機会を確保することが大切です。また、清拭の時間は、発疹・黄疸・臍部の状態など全身の皮膚を観察する機会としても活用します。
選択肢の確認
1.低体温になりやすい。:沐浴では全身が湯で濡れるため、湯から上げた後に皮膚からの蒸散で多くの熱が奪われ、体温が下がりやすくなります。ドライテクニック法は全身を濡らさず、汚れた部分だけを拭くので熱の喪失が少なく、むしろ低体温の予防に役立つ方法です。体温が下がりやすいのは沐浴のほうであり、この記述は両者の特徴を取り違えています。
2.臍帯脱落の時期が遅れる。:臍帯は出生後、断端が乾燥・壊死して、一般に生後1週間前後で脱落します。ドライテクニック法では臍部を湯で濡らさないため、乾燥を妨げる要因はむしろ少なく、沐浴と比べて脱落が遅れるという特徴はありません。脱落が遅れる要因としては、臍部が湿った状態が続くことや感染が挙げられます。臍のケアは、どの方法でも清潔と乾燥を保つことが基本です。
3.胎脂を残すことができる。:正答。ドライテクニック法では胎脂を無理に拭き取らず、自然に吸収されるまで残します。胎脂には、保湿、抗菌作用による感染防御、熱放散の抑制という働きがあります。これを洗い流してしまう沐浴との最大の違いが、この点です。
4.更衣は2日に1回に減らせる。:衣類の交換は、清潔ケアの方法によって回数が決まるものではありません。汗・尿・便・吐乳などで汚れたり湿ったりしたときに、その都度行うのが原則です。新生児は新陳代謝が活発で汗をかきやすく、濡れた衣類は体温低下や皮膚トラブルの原因になります。沐浴をしないドライテクニック法では、むしろ清拭と更衣で皮膚の清潔を保つことが重要です。更衣の回数を減らせるという特徴はありません。
覚えるポイント
- ドライテクニック法は、出生後しばらく沐浴せず、血液・羊水・胎便などで汚れた部位だけを温かいタオルで拭き、胎脂は残す方法です。
- 沐浴と比べた利点は、体温低下を防ぐこと、胎脂による保湿・感染防御を保てること、児のエネルギー消耗や呼吸・循環への負担が少ないこと、母子接触を妨げにくいことです。
- 胎脂の働きは、保湿(水分蒸散の防止)、抗菌作用、熱放散の抑制です。数日で自然に吸収されます。過期産児では胎脂が少なく、皮膚が乾燥・落屑しやすくなります。
- 新生児の熱喪失経路は、蒸散・伝導・対流・輻射の4つです。濡れた皮膚からの蒸散に特に注意します。熱産生は褐色脂肪組織による非ふるえ熱産生が中心です。
- 臍帯は乾燥させて、生後1週間前後で脱落します。湿潤や感染は、脱落の遅れや臍炎の原因になります。
- 更衣やおむつ交換は、汚れたらその都度行います。清潔ケアの方法によって頻度が変わるものではありません。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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