第106回

106PM008|第106回 助産師国家試験 過去問

Dubowitz法における新生児の神経学的所見で点数が低いのはどれか。

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正解4

正答

4.④

④は足首の背屈90度の図です。Dubowitz法では0点で、この項目の最低点です。

この問題のポイント

Dubowitz法の神経学的所見のうち、角度で評価する4項目(上肢のもどり反応、手首の角窓、膝窩角、足首の背屈)の採点基準を問う問題です。どの項目も、成熟するほど角度が小さくなり点数が高くなります。ただし0点となる角度は項目ごとに違うため、同じ90度でも点数はまったく違います。図の角度を各項目の基準にあてはめ、足首の背屈90度が0点だと判断できるかが鍵です。

解説

Dubowitz法は、出生後の新生児を診察して、在胎週数を推定する方法です。外表所見11項目と神経学的所見10項目をそれぞれ点数化し、その合計点を使います。外表所見は、浮腫、皮膚の性状・色・透明度、うぶ毛、足底のしわ、乳頭の形成、乳房の大きさ、耳介の形と硬さ、外性器です。最終月経が不確かで妊娠週数が確定していない場合なども成熟度を評価できます。出生体重と組み合わせれば、在胎週数に比べて小さい児・大きい児を判断する基礎にもなります。

神経学的所見は、筋緊張の成熟をみるものです。在胎週数が進むにつれて屈筋の緊張が高まり、正期産児は四肢を曲げた屈曲位をとります。早産児ほど筋緊張が弱く、四肢を伸ばした姿勢になります。姿勢の項目では、まず下肢が屈曲し始め、上肢の屈曲はそれより遅れて現れます。

神経学的所見は次の10項目です。いずれも成熟しているほど点数が高くなります。

  • 姿勢
  • 手首の角窓(square window)
  • 足首の背屈
  • 上肢のもどり反応
  • 下肢のもどり反応
  • 膝窩角
  • 踵耳(heel to ear)
  • スカーフ徴候
  • 頭部の遅れ(head lag)
  • 腹位水平宙づり(ventral suspension)

問題の4項目の測り方と採点基準は次のとおりです。

  • 上肢のもどり反応:仰臥位で前腕を5秒間屈曲させます。次に手を引いて肘を完全に伸ばし、放したときの戻り方をみます。180度のまま戻らない(不規則な動きだけ)が0点、90〜180度までの不完全または緩慢な屈曲が1点、90度未満まで素早く屈曲すれば2点です。
  • 手首の角窓:検者の母指と示指で児の手を前腕の方へ屈曲させ、小指球と前腕の前面とのなす角度を測ります。90度が0点、手掌が前腕に接する0度が4点です。
  • 膝窩角:仰臥位で骨盤を台につけ、大腿を膝胸位に保持します。そのまま足首の後ろを押して下腿を伸ばし、膝の裏側の角度を測ります。180度が0点、90度が4点、90度未満が5点です。
  • 足首の背屈:足底に母指を当てて、足を下腿の前面に向けて背屈させ、足背と下腿前面のなす角度を測ります。90度が0点、足背が下腿に接する0度が4点です。

図の内容は次のとおりです。

  • ①:児を正面から描いた図で、両肘に直角の記号があります。伸ばした上肢が90度まで屈曲して戻った状態です。
  • ②:長い縦線(前腕)の上端で手が折り返され、前腕に沿って重なっています。手首の角窓0度を示します。
  • ③:横たわった児を側面から描いた図です。股関節を屈曲させたまま膝から先を伸ばしており、膝に直角の記号があります。膝窩角90度です。
  • ④:下腿と足部の間に直角の記号があり、足背と下腿前面が90度をなしています。足首の背屈90度です。

採点基準にあてはめると、①は1点と2点の境目、②は4点(満点)、③は4点、④は0点(最低点)です。したがって、点数が低いのは④です。

この問題の落とし穴は、同じ「90度」が項目によって正反対の意味をもつことです。「角度が小さいほど成熟・高得点」という原則は共通ですが、0点となる角度が違います。

  • 膝窩角と上肢のもどり反応は、四肢をいっぱいに伸ばした180度が0点です。屈筋の緊張が強いほど膝は伸ばしにくく、肘は素早く曲がって戻るので、角度が小さくなります。90度は膝窩角では4点で、上肢のもどり反応でも0点ではありません。
  • 手首の角窓と足首の背屈は、手や足が前腕・下腿と直角をなす90度が0点です。成熟するほど深く曲がり、0度に近づきます。とくに足首の90度は、足部と下腿が直角の中間位そのもので、背屈がまったく進んでいない状態です。

また、Dubowitz法の角度は、小指球と前腕、足背と下腿前面の間に実際にできる角度です。関節可動域測定のように中間位を0度として数える方法とは違います。「背屈90度」を「90度も背屈できた」と読むと、判断が逆になります。

実践では、神経学的所見は児の覚醒状態や啼泣、出生時の仮死、母体に投与された薬剤などの影響を受けることがあります。そのため、外表所見と組み合わせて総合的に在胎週数を評価します。Dubowitz法を簡略化したBallard法や、超早産児まで評価できるよう改良したNew Ballard法もあります。これらでも手首の角窓・上肢のもどり反応・膝窩角は同じ考え方で評価しますが、足首の背屈は評価項目に含まれていません。

選択肢の確認

1.①:上肢のもどり反応の図で、伸ばした上肢を放したあと、両肘が90度まで屈曲して戻った状態です。この項目は、180度のまま戻らなければ0点、90〜180度が1点、90度未満まで素早く戻れば2点です。90度は1点と2点の境目にあたり、最低点の0点ではありません。満点が2点と小さい項目ですが、点数そのものを比べても選択肢4の0点より高いので、「点数が低い」には当てはまりません。上肢が戻らず伸展したままであれば0点になります。

2.②:手首の角窓の図で、手が折り返されて前腕に沿って重なり、手掌が前腕の前面に接する0度の所見です。手首の角窓は90度が0点、0度が4点なので、これはこの項目の満点で、最も成熟した所見です。関節可動域でいう「掌屈0度(中間位)」と取り違えて、まったく曲がらない状態と読まないよう注意します。

3.③:膝窩角の図で、股関節を屈曲させたまま下腿を伸ばしても、膝の角度が90度までしか開かない所見です。膝窩角は、膝が完全に伸びる180度が0点です。屈筋の緊張が強いほど伸びにくくなり、90度で4点、90度未満で5点になります。同じ90度でも選択肢4とは反対に高得点で、屈筋の緊張が発達した成熟した児にみられる所見です。

4.④:正答。足首の背屈の図で、下腿と足部の間に直角の記号があり、足背と下腿前面のなす角度が90度であることを示しています。検者が背屈させても、足関節が中間位から少しも曲がらない状態です。Dubowitz法では0点で、この項目の最低点にあたります。成熟するほど深く背屈でき、足背が下腿に接する0度が4点になります。4つの図のうち0点となるのはこの所見だけなので、点数が最も低いのはこの選択肢です。

覚えるポイント

  • Dubowitz法は、外表所見11項目と神経学的所見10項目を点数化し、合計点から在胎週数を推定します。神経学的所見は「成熟するほど屈筋の緊張が強く、角度が小さく、点数が高い」が原則です。
  • 手首の角窓と足首の背屈は、90度が0点、手掌や足背が前腕・下腿に接する0度が4点(満点)です。
  • 膝窩角は、完全に伸びた180度が0点、90度が4点、90度未満が5点です。
  • 上肢のもどり反応は、180度のまま戻らなければ0点、90〜180度が1点、90度未満まで素早く戻れば2点です。
  • 同じ90度でも、足首の背屈・手首の角窓では最低点、膝窩角では高得点です。「その項目の0点は何度か」から考え、中間位を0度とする関節可動域の数え方と混同しないようにします。
  • 姿勢は下肢から屈曲が始まり、上肢の屈曲は遅れて現れます(筋緊張は下肢から上肢へ発達します)。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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