第106回

106PM007|第106回 助産師国家試験 過去問

羊水について正しいのはどれか。

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正解1

正答

1.抗菌作用を有する。

この問題のポイント

羊水の性状(抗菌作用・pH)、量の推移、産生源という基本的な性質を問う問題です。押さえるべきは、羊水は弱アルカリ性で酸性の腟内とは異なること、量は妊娠30週台前半で最大となり以後は減ること、中期以降の主な産生源は胎児の尿であることの3点です。この3点がわかれば、選択肢2〜4を除外して選択肢1を正答と判断できます。

解説

羊水の働きと抗菌作用

羊水は羊膜腔を満たす液体で、胎児を守り育てる働きがあります。

  • 外力から胎児を守り、温度を一定に保ちます。
  • 胎児が自由に動けるようにして、筋骨格の発達を助けます。
  • 肺の発育を支え、臍帯の圧迫を防ぎます。
  • 分娩時には胎胞として子宮頸管の開大を助け、破水後は産道を潤します。

羊水には抗菌作用をもつ物質が含まれ、細菌の増殖を抑えます。代表的なものは、リゾチーム、ディフェンシン、ラクトフェリン、免疫グロブリン(IgG)です。卵膜という物理的な障壁と合わせて、腟から上行してくる細菌から胎児を守る仕組みの一つです。

ただし、この作用には限界があります。前期破水の後に時間がたつほど、絨毛膜羊膜炎や胎児感染の危険が高まります。破水後は次の徴候を観察します。

  • 母体の発熱・頻脈
  • 子宮の圧痛
  • 羊水の混濁や悪臭
  • 胎児頻脈

羊水のpHと破水の診断

羊水は中性から弱アルカリ性で、pHはおおむね7以上です。一方、腟内は乳酸桿菌(デーデルライン桿菌)が作る乳酸によって、pH4〜5前後の酸性に保たれています。この差を利用して破水を確認します。

  • BTB試験紙やニトラジン試験紙が青色に変われば、アルカリ性の液体(羊水)が腟内に流出したと考えます。
  • 乾燥させた羊水に見られる羊歯状(シダ状)結晶も、破水の確認に使われます。
  • 腟分泌物中の羊水由来成分(IGFBP-1など)を検出する方法もあります。

血液、精液、細菌性腟症でも腟内のpHが上がり、偽陽性になることがあります。BTB試験紙の結果だけで判断せず、流出の状況や他の所見と合わせて評価します。

羊水量の推移

羊水量は妊娠の経過とともに増え、妊娠30週前後から30週台前半に最大(約700〜800 mL)となります。その後はゆるやかに減り、正期産の分娩時には500 mL前後です。過期妊娠ではさらに減って羊水過少となりやすく、臍帯圧迫による胎児機能不全や胎便吸引症候群の危険が高まります。

羊水量の異常は次のように定義されます。

  • 羊水過多:羊水量が800 mLを超える状態。超音波ではAFI(羊水インデックス)24〜25 cm以上、または最大羊水深度8 cm以上が目安です。
  • 羊水過少:羊水量が100 mL以下の状態。超音波ではAFI 5 cm以下、または最大羊水深度2 cm以下が目安です。

羊水の産生と吸収

妊娠初期の羊水は、主に次の3つに由来します。

  • 羊膜からの分泌
  • 卵膜を通過する母体血漿成分
  • 角化が進む前の胎児の皮膚からの浸出

胎児の腎臓は妊娠10週前後から尿を作り始めます。妊娠中期以降は胎児の尿が最大の供給源となり、胎児の肺から出る肺胞液がこれに加わります。

羊水の吸収は、主に胎児が飲み込むこと(嚥下)によります。羊膜から胎盤表面の胎児血管へ移る経路(膜内経路)もあります。羊水量は、この産生と吸収のバランスで決まります。

この仕組みは、臨床での異常の読み取りに直結します。

  • 尿が作れない・出せない(腎無形成、下部尿路閉塞など)場合:羊水過少となり、肺低形成を伴いやすくなります(ポッター・シークエンス)。
  • 羊水を飲み込めない(食道閉鎖、十二指腸閉鎖、無脳症など)場合:羊水過多になります。

選択肢の確認

1.抗菌作用を有する。:正答。羊水にはリゾチーム、ディフェンシン、ラクトフェリン、免疫グロブリンなどが含まれ、細菌の増殖を抑える働きがあります。卵膜とともに上行感染を防ぐ仕組みの一つです。ただし作用には限界があり、破水後の時間経過とともに絨毛膜羊膜炎の危険は高まります。

2.pHは4 ~5である。:pH4〜5前後は、乳酸桿菌が保つ腟内の酸性環境の値です。羊水そのものは中性から弱アルカリ性(おおむね7以上)です。両者のpHが違うからこそ、BTB試験紙の青変で羊水の流出(破水)を疑うことができます。腟内のpHと取り違えやすいので注意が必要です。

3.妊娠40週ころに最大量となる。:羊水量が最大となるのは妊娠30週前後から30週台前半(約700〜800 mL)です。以後は減少し、正期産の分娩時には500 mL前後になります。妊娠40週はすでに減少している時期で、さらに進んだ過期妊娠では羊水過少が問題になります。子宮や胎児が最も大きくなるのは妊娠末期なので、羊水も末期に最大と思い込みやすい点がひっかけです。

4.妊娠中期以降は胎盤が主な産生源である。:胎盤は、母体と胎児の間でガス・栄養・老廃物を交換する器官であり、羊水を作る器官ではありません。妊娠中期以降の主な産生源は胎児の尿で、胎児の肺から出る肺胞液がこれに加わります。胎盤機能不全で羊水過少になるのは、胎児の血流が脳などへ再分配されて腎血流が減り、尿量が落ちるためです。つまり胎盤は間接的に関わるだけです。「中期以降」という時期の区切りは正しく、産生源を胎児の尿とすれば正しい記述になります。

覚えるポイント

  • 羊水は抗菌作用をもつ(リゾチーム、免疫グロブリンなど)が、その作用には限界がある。破水後は時間とともに絨毛膜羊膜炎の危険が高まる。
  • 羊水は中性〜弱アルカリ性、腟内は酸性(pH4〜5前後)。BTB試験紙の青変や羊歯状結晶で破水を確認するが、血液や精液の混入による偽陽性に注意する。
  • 羊水量は妊娠30週台前半で最大(約700〜800 mL)、正期産で約500 mL、過期妊娠ではさらに減る。
  • 羊水過多は800 mL超、羊水過少は100 mL以下。超音波の目安は、過多が最大羊水深度8 cm以上、過少がAFI 5 cm以下または最大羊水深度2 cm以下。
  • 産生源は、初期が羊膜・母体血漿・胎児の皮膚、中期以降は胎児の尿(+肺胞液)。吸収の中心は胎児の嚥下。
  • 尿が作れない・出せない胎児は羊水過少(肺低形成)、飲み込めない胎児は羊水過多(消化管閉鎖、無脳症)と結びつけて覚える。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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