第105回

105PM013|第105回 助産師国家試験 過去問

在胎39週、出生体重3,100 gの正常新生児へのビタミンK2シロップの用量で正しいのはどれか。

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正解2

正答

2.2 mg

この問題のポイント

新生児ビタミンK欠乏性出血症の予防に用いる、ビタミンK2シロップの1回投与量を問う問題です。「在胎39週、出生体重3,100 g」から、この児は正期産で体重も適正な正常新生児であり、標準の予防投与の対象になります。製剤は0.2%(1 mL中2 mg)で、1回1 mL=2 mgを経口投与します。投与時期とあわせて覚えておきましょう。

解説

新生児がビタミンK不足に陥りやすい理由

ビタミンKは、肝臓で凝固因子Ⅱ(プロトロンビン)・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹを働ける形にするために必要な補酵素です。新生児は次の理由からビタミンKが不足しやすく、これらの凝固因子が低下して出血しやすくなります。

  • ビタミンKは胎盤を通過しにくく、出生時の体内の蓄えがきわめて少ない
  • 腸内細菌叢がまだできておらず、腸内細菌がつくるビタミンK2に頼れない
  • 母乳に含まれるビタミンKが少ない(育児用ミルクには添加されている)
  • 肝機能が未熟で、凝固因子をつくる力そのものが弱い

ビタミンK欠乏性出血症の病型

  • 早発型:生後24時間以内に発症します。母体が抗けいれん薬、ワルファリン、抗結核薬などを服用している場合に起こりやすい型です。
  • 新生児型(古典型):生後2〜7日ごろに発症します。吐血や下血などの消化管出血が中心で、「新生児メレナ」と呼ばれます。
  • 遅発型(乳児ビタミンK欠乏性出血症):生後およそ3週〜2か月に発症します。母乳栄養児に多く、頭蓋内出血を起こして重い後遺症を残すことがあります。胆道閉鎖症などで胆汁がうっ滞すると、脂溶性ビタミンであるビタミンKの吸収が妨げられ、さらに起こりやすくなります。

予防投与の実際

わが国では、ビタミンK2(メナテトレノン)のシロップ製剤を経口投与します。0.2%は100 mL中0.2 g、つまり1 mL中2 mgです。したがって1回1 mLで2 mgになります。体重に応じて量を変えることはなく、正期産の正常新生児では1回2 mgです。なお欧米では、出生時にビタミンK1を筋肉内注射する方法が広く用いられています。

従来の標準的な投与法は、次の3回法です。

  • 第1回:出生後、数回の哺乳で哺乳が確立したことを確かめてから
  • 第2回:生後1週または産科退院時のうち、早いほう
  • 第3回:1か月健康診査時

3回法では遅発型を十分に防ぎきれないことがあります。そのため、生後3か月まで週1回投与を続ける方法(3か月法)も示されてきました。2021年に日本小児科学会などが改訂した提言では、この3か月法が推奨されています。回数や時期の考え方が変わっても、1回量が2 mgであることは同じです。

シロップは浸透圧が高いため、滅菌水で希釈して与える方法もあります。第1回を哺乳確立後に行うのは、児が経口で安全に飲めることを確認するためです。

助産師の実践

  • 投与日を母子健康手帳に記録し、次回の投与が漏れないようにします。
  • 3か月法では家庭で保護者が投与することになるため、飲ませ方と投与スケジュールを具体的に説明します。
  • 完全母乳栄養の児では、予防投与を確実に続けることがとくに大切です。
  • 出血の徴候を観察し、保護者にも伝えます。消化管出血では吐血・下血(タール便)、ほかに臍や皮下の出血がみられます。頭蓋内出血では、不機嫌、哺乳不良、嘔吐、けいれん、大泉門の膨隆に注意します。
  • 生後早期の吐血・下血では、分娩時に母体血を飲み込んだことによる仮性メレナとの区別も必要です。区別にはアプト試験を用います(胎児ヘモグロビンはアルカリに強い)。

選択肢の確認

1.0.2 mg:標準量の10分の1しかなく、凝固因子の産生に必要なビタミンKを補うには足りません。製剤の濃度表示「0.2%」の数字をそのまま量と取り違えると選びやすい誤答です。%は濃度であり、1 mLに含まれる量に換算して考えます。

2.2 mg:正答。0.2%のビタミンK2シロップ1 mLに含まれる量で、正期産の正常新生児への予防投与の1回量です。3回法でも3か月法でも、1回量はこの量です。

3.20 mg:標準量の10倍にあたり、シロップでは10 mLに相当します。新生児への予防投与でこのような量を用いることはありません。桁を1つ誤った量です。

4.200 mg:標準量の100倍にあたり、新生児の予防投与量とはかけ離れています。桁を2つ誤った量で、単位と濃度からの換算を確認すれば除外できます。

覚えるポイント

  • ビタミンK2シロップは0.2%=1 mL中2 mgで、新生児には1回1 mL(2 mg)を経口投与します。体重による増減はありません。
  • 3回法は「哺乳確立後」「生後1週または産科退院時の早いほう」「1か月健診時」の3回です。近年は生後3か月まで週1回投与する3か月法が推奨されています。
  • ビタミンK依存性凝固因子はⅡ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹです。欠乏するとPTが延長し、PIVKA-Ⅱが上昇します。
  • 新生児型(生後2〜7日、消化管出血=新生児メレナ)と、遅発型(生後約3週〜2か月、母乳栄養児、頭蓋内出血)を区別して覚えます。
  • 新生児がビタミンK不足になりやすい理由は、胎盤通過が少ないこと、母乳中の含有量が少ないこと、腸内細菌叢が未熟なこと、肝機能が未熟なことです。
  • 真性メレナと仮性メレナ(母体血の嚥下)は、アプト試験で区別します。

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