第105回

105PM015|第105回 助産師国家試験 過去問

生後24時間の新生児の嘔吐で生理的なのはどれか。

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正解4

正答

4.羊水様の嘔吐

この問題のポイント

出生直後の新生児の嘔吐を、吐物の性状から「生理的なもの」と「疾患を疑うもの」に見分ける問題です。「生後24時間」という時期から、胎内や分娩時に飲み込んだ羊水などを吐き出す初期嘔吐を思い浮かべられるかが鍵です。胆汁性・噴水状・泡沫状という性状が、それぞれどの消化管疾患を示すのかもあわせて押さえます。

解説

生後24時間という時期の意味

胎児は子宮内で羊水を飲み込み、消化管から吸収しています。分娩のときにも、羊水、粘液、産道の血液(母体血)を飲み込みます。そのため出生後しばらくは胃の中にこれらが残っており、生後24〜48時間ころまでに羊水様・粘液様のものを吐くことがあります。これを初期嘔吐といい、生理的な現象です。

初期嘔吐には次の特徴があります。

  • 吐物は羊水様または粘液様で、飲み込んだ母体血が混じって血性や褐色になることがある
  • 活気があり、腹部膨満はなく、胎便も排泄されている
  • 胃内容を出し切り、哺乳が進むにつれて自然におさまる

対応は経過観察が基本です。吐いたときは顔を横に向けて誤嚥を防ぎ、吐物の性状・量・回数と哺乳の状況を記録します。嘔吐が続いて哺乳が進まない場合には、胃洗浄が行われることがあります。

病的な嘔吐を示す性状

新生児の嘔吐では、性状が閉塞の部位や疾患を推測する手がかりになります。

  • 胆汁性(緑色):胆汁は十二指腸のファーター乳頭から出るため、緑色の吐物は閉塞がそれより肛門側にあることを示します。腸回転異常症に伴う中腸軸捻転は腸管壊死に至るおそれがあり、緊急手術の対象です。
  • 噴水状:肥厚性幽門狭窄症の典型的な所見です。生後2〜3週ころから始まることが多く、閉塞がファーター乳頭より上にあるため胆汁は混じりません。
  • 泡沫状:食道閉鎖を疑う所見です。上部食道が盲端(行き止まり)になっているため唾液を飲み込めず、泡状になって口からあふれます。

判断の組み立て方

生後24時間という時期に、羊水様という性状が重なり、全身状態が良好であれば、初期嘔吐として生理的と判断できます。一方、同じ時期でも緑色の吐物、勢いよく噴き出す嘔吐、泡沫があふれる状態は、生理的な範囲を外れます。助産師は初回哺乳の前後に吐物の性状を観察し、腹部膨満、胎便排泄の有無、活気、哺乳状況とあわせて評価します。病的な所見があれば直ちに医師へ報告することが、先天性消化管疾患の早期発見につながります。

選択肢の確認

1.胆汁性嘔吐:胆汁が混じる緑色の吐物は、閉塞部位がファーター乳頭より肛門側にあることを示すため、生理的ではありません。疑う疾患は、十二指腸閉鎖(多くは乳頭より肛門側で閉塞)、小腸閉鎖、腸回転異常症に伴う中腸軸捻転、ヒルシュスプルング病、胎便性イレウスなどです。特に中腸軸捻転は短時間で腸管壊死に至るため、生後早期でも緑色の嘔吐をみたら直ちに医師へ報告すべき緊急のサインです。

2.噴水状嘔吐:哺乳後に勢いよく噴き出す嘔吐は肥厚性幽門狭窄症の典型的な所見で、生理的ではありません。この疾患は生後2〜3週ころから始まることが多く、男児に多くみられます。吐物は胆汁を含まず、体重増加不良、脱水、低クロール性代謝性アルカローシス、上腹部のオリーブ様腫瘤を伴います。生後24時間の時点で噴水状に吐く場合は、頭蓋内出血などによる頭蓋内圧亢進も考えて評価します。哺乳後に口角からだらだらと流れ出る溢乳は生理的で、噴水状とは区別します。

3.泡沫状嘔吐:泡沫状の分泌物が口からあふれ、吸引してもすぐにたまる状態は食道閉鎖を疑う所見で、生理的ではありません。初回哺乳でむせやチアノーゼが起こりやすく、母体の羊水過多が手がかりになります。胃管を挿入すると途中で進まず、X線で管が盲端で反転するコイルアップ像がみられます。疑った時点で哺乳を開始せず、上部盲端の吸引と上体挙上で誤嚥性肺炎を防ぎます。

4.羊水様の嘔吐:正答。胎内や分娩時に飲み込んだ羊水や粘液が胃に残り、生後24〜48時間ころまでに吐き出される初期嘔吐で、生理的な現象です。全身状態が良好で腹部膨満がなく、哺乳が進むにつれて自然におさまります。基本は経過観察で、嘔吐が続いて哺乳が進まない場合に胃洗浄が行われることがあります。

覚えるポイント

  • 初期嘔吐:生後24〜48時間ころまでに羊水・粘液・母体血を吐きます。全身状態が良好なら生理的で、哺乳が進めばおさまります。
  • 緑色(胆汁性)の嘔吐は、ファーター乳頭より肛門側の閉塞を示します。中腸軸捻転を見逃さないよう、直ちに医師へ報告します。
  • 噴水状で胆汁を含まない嘔吐は肥厚性幽門狭窄症です(生後2〜3週ころから、男児に多い、オリーブ様腫瘤、低クロール性代謝性アルカローシス)。
  • 泡沫状の分泌物があふれる場合は食道閉鎖を疑います(母体の羊水過多、胃管のコイルアップ、哺乳開始前に確認)。
  • 血性の吐物は、飲み込んだ母体血か新生児メレナかをアプト試験で見分けます。アルカリを加えて黄褐色に変われば母体血、ピンク色のままなら児の血液(胎児ヘモグロビン)です。
  • 嘔吐の評価は、性状、時期、全身状態(活気、腹部膨満、胎便排泄、哺乳)を組み合わせて行います。

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