第105回

105PM016|第105回 助産師国家試験 過去問

在胎38週0日、2,860 gで出生した男児。母乳栄養のみである。日齢3の体重は2,520 gであった。児の状態で介入が必要な所見はどれか。

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正解1

正答

1.哺乳間隔6時間

この問題のポイント

正期産・正常出生体重の母乳栄養児について、日齢3の体重減少率を計算し、生理的範囲を超えているかを判断したうえで、その原因となる所見を選ぶ問題です。体重減少率は約11.9%で、目安の10%を超えています。この体重減少の背景として、摂取不足を示す「哺乳間隔6時間」が介入を要する所見になります。あわせて、排尿・排便の回数や黄疸の程度を日齢に照らして正常と判断できるかも問われています。

解説

問題文の手がかりを整理する

  • 在胎38週0日は正期産(37週0日〜41週6日)です。
  • 出生体重2,860 gは、低出生体重(2,500 g未満)には当たりません。
  • 母乳栄養のみなので、摂取量は母乳の分泌と児の哺乳に左右されます。
  • 日齢3の体重は2,520 gです。

体重減少率を計算する

体重減少率(%)=(出生体重-現在の体重)÷出生体重×100
=(2,860-2,520)÷2,860×100=340÷2,860×100≒11.9%

生理的体重減少は、出生直後で哺乳量がまだ少ない時期に、不感蒸泄や尿・胎便の排泄による喪失が摂取量を上回るために起こります。減少幅はおおむね出生体重の5〜10%です。日齢3〜5ごろに最低値となり、その後増加に転じ、生後1〜2週ごろまでに出生体重へ戻るのが一般的です。10%を超える減少は生理的範囲を超えるため、哺乳状況を評価して介入する対象になります。この児は日齢3の時点ですでに約12%減っており、最低値を迎える時期はまだこれからなので、さらに減る可能性があります。

摂取不足の原因としての授乳間隔

母乳栄養の新生児では、1日8〜12回、おおむね2〜3時間ごとの授乳が目安です。新生児は胃が小さく、1回に飲める量が限られるため、摂取量は回数で確保します。

回数が必要な理由は母親側にもあります。児の吸啜刺激によって、下垂体前葉からプロラクチン(乳汁の産生)、下垂体後葉からオキシトシン(射乳)が分泌されます。さらに、乳房から乳汁がよく出されることが次の産生を促します。授乳間隔が6時間では1日の授乳は4回程度にとどまります。その結果、児の摂取量が不足するうえ、乳房への刺激も減って母乳分泌の確立が遅れるという悪循環に陥ります。

間隔があく背景としては、次のようなものが考えられます。

  • 児の傾眠(摂取不足による活気の低下が重なることもあります)
  • 母親の疲労
  • 早期の授乳のサインの見逃し
  • 泣くまで待てばよいという誤解

臨床で行う介入

  • 3時間程度を超えて眠っている場合は、おむつ交換や肌の接触で覚醒を促して授乳します。
  • 口をもぐもぐさせる、手を口に運ぶ、探索反射が出るといった早期の授乳のサインを母親に伝えます。
  • 抱き方と含ませ方、嚥下音、授乳前後の体重差などから、実際に飲めているかを評価します。
  • 乳房の状態、乳汁の分泌量、母親の疲労度を評価します。
  • 脱水や低血糖の徴候を観察し、必要に応じて医師と補足の要否を相談します。脱水の徴候には、活気や哺乳力の低下、皮膚の乾燥、大泉門の陥没、尿の減少や濃縮があります。

摂取不足で排便が減ると、ビリルビンの腸肝循環が増えて黄疸が強まりやすくなります。そのため、ビリルビン値の推移も併せて追います。

選択肢の確認

1.哺乳間隔6時間:正答。母乳栄養の新生児は2〜3時間ごと、1日8〜12回の授乳が目安であり、6時間間隔では回数が大きく不足します。体重減少率が約11.9%と生理的範囲を超えていることと合わせると、摂取不足の原因となっている所見と判断できます。覚醒を促した頻回授乳や授乳方法の評価といった介入が必要です。

2.排尿回数8回/日:新生児の排尿は生後1〜2日は少なく、哺乳量が増えるにつれて回数が増えていきます。日齢3で1日8回あれば尿量は保たれていると考えられ、この項目単独で介入を要する所見ではありません。摂取不足や脱水を疑うのは、排尿回数が少ない場合、尿が濃い場合、日齢が進んでもおむつにレンガ色の尿酸塩が付き続ける場合などです。

3.排便回数6回/日:日齢3ごろは胎便から移行便へ変わる時期であり、母乳栄養児は便がやわらかく回数が多いのが特徴なので、1日6回は正常範囲です。頻回な排便は乳汁が腸を通過している証拠でもあり、下痢と取り違えないことが大切です。問題になるのは、胎便排泄の遅れ、日齢が進んでも胎便様の便が続くこと、水様便、血便、灰白色便(胆道閉鎖症を疑う)などです。

4.総ビリルビン値10 mg/dL:生理的黄疸は日齢2〜3ごろに現れ、正期産児では日齢4〜5ごろにピークとなり、2週ごろまでに消えていきます。日齢3で10 mg/dLは生理的黄疸として十分ありうる値で、正期産・正常体重児の光線療法の基準にも達していません。介入が必要になるのは、生後24時間以内の黄疸(早発黄疸)、急激な上昇、光線療法基準を超える値、直接ビリルビン優位、2週以上続く遷延性黄疸などです。ただし本例は摂取不足があるため、今後の推移には注意して経過を観察します。

覚えるポイント

  • 体重減少率は(出生体重-現在の体重)÷出生体重×100で求めます。生理的体重減少は5〜10%で、日齢3〜5に最低となり、生後1〜2週で出生体重に戻ります。10%を超えたら哺乳状況を評価して介入します。
  • 母乳栄養の新生児の授乳は1日8〜12回、2〜3時間ごとが目安です。長く眠り続ける児は起こして授乳します。
  • 吸啜刺激によってプロラクチン(産生)とオキシトシン(射乳)が分泌されるため、頻回授乳が母乳分泌の確立の鍵になります。
  • 摂取量の目安は体重・排尿・排便で総合的に判断します。排尿は日齢とともに増えます。便は胎便→移行便→乳便と変化し、母乳栄養児の頻回でやわらかい便は正常です。
  • 生理的黄疸は日齢2〜3に出現し、日齢4〜5にピーク、約2週で消失します。病的黄疸を疑うのは、24時間以内の出現、急上昇、直接ビリルビン高値、遷延の場合です。摂取不足は黄疸を強めます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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