第105回
105AM025|第105回 助産師国家試験 過去問
日本人の正常新生児において、生理的黄疸が最も顕著になる時期として適切なのはどれか。
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正解3
正答
3.日齢4
この問題のポイント
生理的黄疸がいつ出現し、いつ最も強くなり、いつ消えるかを問う問題です。手がかりは「正常新生児」と「最も顕著」の2語で、出現時期や消退時期ではなくピークを答えます。日本人の正期産児では、生後2〜3日に出現し、日齢4〜5で最も強くなり、生後1〜2週で消えていきます。あわせて、黄疸が出た時期から病的黄疸を見分ける基準も押さえます。生後24時間以内の黄疸は早発黄疸、2週間を超えて続く黄疸は遷延性黄疸です。
解説
問題文の手がかり
- 「正常新生児」とあるので、病的黄疸ではなく生理的黄疸の経過を考えます。
- 「最も顕著になる時期」は、血中ビリルビン値と肉眼的な黄染が最大になる時期です。
- 選択肢には「生後○時間」と「日齢」が混ざっています。日本では出生日を日齢0と数えます。したがって日齢4は、出生日から数えて5日目に当たります。
生理的黄疸が起こる仕組み
新生児では、ビリルビンを作る量が多い一方で、処理する力がまだ未熟です。このため、生後しばらくは血中の間接(非抱合型)ビリルビンが上がります。
- 産生の増加:胎児は低酸素の子宮内環境に適応するため、赤血球とヘモグロビンが多い状態(多血)です。出生後に肺呼吸が始まると、余った赤血球が壊されます。胎児型の赤血球は寿命が成人より短いことも、産生を増やす要因です。
- 肝臓での取り込みと抱合の未熟さ:肝細胞内でビリルビンと結合するたんぱく(リガンディン)が少なく、グルクロン酸抱合酵素(UDPグルクロン酸転移酵素)の活性も低い状態です。そのため、間接ビリルビンを直接(抱合型)ビリルビンに変える力が不十分です。
- 腸肝循環の亢進:腸内細菌叢がまだ整っていないため、ビリルビンがウロビリノゲンに変わりにくくなっています。さらに、腸管のβ-グルクロニダーゼが抱合型を非抱合型に戻し、それが再吸収されます。胎便の排泄が遅れると、この再吸収が増えます。
生後数日は、産生の多さが処理能力を上回ります。肝臓の抱合能はその後しだいに成熟するため、血中濃度は日齢4〜5ごろに最大になり、以後は下がっていきます。
経過と「日本人」の意味
肉眼的な黄疸は、生後2〜3日ごろに顔から現れます。その後、体幹、四肢へと頭から足の方向に広がり、日齢4〜5で最も強くなります。正期産児では生後1〜2週(7〜10日ごろ)までに消えます。
問題文が「日本人の」と限定しているのには理由があります。日本人を含む東アジア系の新生児は、欧米の新生児に比べてビリルビンのピーク値が高くなりやすい傾向があるためです。また、早産児はピークが遅れ、消えるまでの期間も長くなる傾向があります。
病的黄疸との見分け方
- 早発黄疸:生後24時間以内に出現する黄疸です。Rh式やABO式の血液型不適合などによる溶血性疾患を疑います。
- 重症黄疸:出生体重と日齢ごとに定めた基準値を超える高ビリルビン血症です。
- 遷延性黄疸:生後2週間を超えて続く黄疸です。母乳性黄疸が多いものの、胆道閉鎖症や先天性甲状腺機能低下症などを除外する必要があります。
- 直接ビリルビン優位の上昇:胆汁うっ滞を示し、灰白色便や濃い色の尿を伴えば胆道閉鎖症などを疑います。
実践での意味
間接ビリルビンは脂溶性です。アルブミンと結合していない遊離の状態になると血液脳関門を通過し、大脳基底核などに沈着してビリルビン脳症(核黄疸)を起こすことがあります。早期のサインは、嗜眠、哺乳力の低下、筋緊張の低下です。
ピークの日齢4〜5は、経腟分娩後の退院時期と重なることが多い時期です。そのため退院前に、次のような評価を行います。
- 経皮ビリルビン測定でビリルビン値をおおまかに確認します。
- 必要に応じて血清総ビリルビン値を測定します。
- 出生体重と日齢に応じた基準(村田・井村の基準など)に照らして、光線療法の適応を判断します。
早期からの頻回授乳には、哺乳量を確保して胎便の排泄を促し、腸肝循環を減らす効果があります。退院時には家族に、次の点を観察するよう伝えます。
- 皮膚や眼球結膜の色
- 哺乳の様子
- 便の色(母子健康手帳の便色カードで確認します)
選択肢の確認
1.生後6時間:この時期は、生理的黄疸はまだ肉眼では目立ちません。生後24時間以内に黄疸が見られた場合は早発黄疸であり、血液型不適合などによる溶血を疑います。直ちに医師へ報告し、血清ビリルビン値を確認すべき所見です。生理的黄疸のピークとは逆に、「病的黄疸のサイン」として覚えるべき時間帯です。
2.生後24時間:生後24時間は、早発黄疸かどうかを分ける境界の時刻です。生理的黄疸はこの後の生後2〜3日に肉眼的に現れ始めるので、この時点ではビリルビン値は上昇の途中で、ピークには達していません。「24時間」という数字は早発黄疸の定義として出題されるので、ピーク時期と取り違えないようにします。
3.日齢4:正答。日本人の正期産児では、生理的黄疸は日齢4〜5で最も強くなります。赤血球の崩壊によるビリルビン産生が多い一方で、肝臓の抱合能はまだ追いついていないため、血中の間接ビリルビン値がこの時期に最大になります。
4.日齢14:正期産児の生理的黄疸は通常、生後1〜2週で消えています。したがって日齢14は、黄疸が最も強くなる時期ではありません。生後2週間を超えて黄疸が続く場合は遷延性黄疸として扱います。母乳性黄疸のほか、胆道閉鎖症や先天性甲状腺機能低下症などを見分ける必要があります。
5.日齢28:日齢28は新生児期の終わりごろに当たり、生理的黄疸はすでに消えています。この時期に黄疸が残っていれば遷延性黄疸です。母乳性黄疸であれば、全身状態、哺乳、体重増加が良好で、間接ビリルビンが優位です。一方、灰白色便や直接ビリルビンの上昇がある場合は胆道閉鎖症を疑います。胆道閉鎖症は早期の手術が予後を左右するため、1か月健診のころには便色の確認が特に重要です。
覚えるポイント
- 生理的黄疸の経過は、生後2〜3日で出現、日齢4〜5でピーク、生後1〜2週(7〜10日ごろ)で消退です。早産児はピークが遅れ、長引きやすくなります。
- 早発黄疸は生後24時間以内に出現する黄疸で、溶血性疾患(Rh式・ABO式の血液型不適合など)を疑います。
- 遷延性黄疸は生後2週間を超えて続く黄疸で、母乳性黄疸、胆道閉鎖症、先天性甲状腺機能低下症などを鑑別します。灰白色便は便色カードで確認します。
- 生理的黄疸の機序は3つです。産生の増加(多血、赤血球寿命が短い)、肝臓での取り込み・抱合の未熟さ、腸肝循環の亢進です。
- 生理的黄疸では間接ビリルビンが優位です。間接ビリルビンは核黄疸の原因になり、直接ビリルビンの上昇は胆汁うっ滞を示します。
- 日齢は出生日を日齢0として数えます。
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