第106回
106AM026|第106回 助産師国家試験 過去問
A病院の産科病棟では、個人の活動目標に対して年度末に病棟師長が面接を行っている。入職2年目の助産師Bとの面接で適切なのはどれか。
解答・解説を見る
正解2
正答
2.Bが設定した目標に対しての実践内容を述べてもらう。
この問題のポイント
看護管理における目標管理の、年度末(期末)の評価面接の進め方を問う問題です。「個人の活動目標」「年度末」「面接」という語から、目標管理の評価段階の場面だと読み取ります。目標は本人が設定し、評価は本人の振り返り(自己評価)から始めるという原則に当てはめることが判断の鍵です。管理者は指示や決定をする立場ではなく、本人の主体的な取り組みを支援する立場です。
解説
目標管理とは
目標管理は、ドラッカーが提唱した「目標と自己統制によるマネジメント」を基盤とする管理手法です。組織が示す目標と個人の目標を結びつけ、職員が自ら目標を立て、自ら進み具合を管理し、自ら評価します。これにより、組織目標の達成と、個人の成長や意欲の向上を同時にめざします。看護の現場では、看護部の理念・目標から病棟目標、個人目標へと段階的につなげ、クリニカルラダーなどの能力開発の仕組みと組み合わせて運用されることが多くあります。
目標管理の流れと面接の役割
一般的な流れは次のとおりです。
- 期首:看護部や病棟が目標を示します。職員はそれを踏まえて自分の目標と達成方法を立て、上司との面接で話し合って合意します。
- 期中:本人が自己管理しながら実践します。中間面接では進み具合を確認し、必要に応じて目標や方法を修正し、支援内容を話し合います。
- 期末:本人が自己評価を行い、評価面接で上司と一緒に振り返ります。上司は結果と取り組みの過程を認めてフィードバックし、次期の目標設定につなげます。
期末の評価面接では、まず本人に、目標に対して何を実践し、どこまで達成できたかを自分の言葉で述べてもらいます。自分で語ることで振り返りが深まります。達成できたことは自信(自己効力感)になり、達成できなかったことは、原因と次の手立てを本人が考える材料になります。
管理者は話をよく聴き、開かれた質問で考えを引き出します。そのうえで、本人が気づいていない強みや成長を具体的に伝えて認めます。ハーズバーグの二要因理論でも、達成や承認は仕事への意欲を高める動機づけ要因に位置づけられています。
入職2年目という条件
入職2年目は新人研修を終え、指導を受ける立場から、自立して実践する立場へ移っていく時期です。自分で課題を見つけ、目標を立てる力を育てることが、この時期の大切な課題です。管理者が主導して課題や目標を決めてしまうと、その機会が失われます。評価面接は査定の場ではなく、次の成長への動機づけとキャリア形成を支える場と理解しておきましょう。
正答に至る判断
選択肢2は、本人が設定した目標に対する実践内容を本人に語ってもらうもので、自己評価を出発点とする目標管理の原則に合っています。これに対し、師長が課題を指示する、未達成の部分に偏って評価する、師長が目標を決めるといった対応は、いずれも本人の主体性と自己統制という目標管理の前提を損ないます。
選択肢の確認
1.病棟師長は看護部の事業計画に沿って次の課題をBに指示する。:看護部の事業計画や病棟目標を伝えて共有すること自体は、個人目標を組織目標とつなげるために必要です。しかし、次の課題を師長が一方的に指示すると、本人が自ら課題を見つけるという目標管理の主体性が失われ、上から割り当てるノルマ管理になってしまいます。適切なのは、組織の方針を示したうえで、B自身がそれを踏まえて課題を考えられるよう問いかけ、支援することです。
2.Bが設定した目標に対しての実践内容を述べてもらう。:正答。期末の評価面接は、本人の自己評価から始めるのが原則です。Bが自ら設定した目標に対して、どのような実践をし、どこまで達成できたかを語ってもらうことで、振り返りが深まり、達成感と次年度の課題の自覚につながります。師長はそれをよく聴いたうえで、承認とフィードバックを行います。
3.達成できなかった助産技術を中心に評価する。:評価は、達成できた点とできなかった点の両面について、結果だけでなく取り組みの過程も含めて行うものです。未達成の技術ばかりを取り上げると意欲や自己効力感が下がり、できたことの振り返りや強みの確認が抜け落ちます。また、評価の対象はBが設定した目標全体であり、助産技術に限られません。未達成の部分は責める材料ではなく、本人と一緒に原因を考え、次年度の目標につなげる材料として扱います。
4.Bの次年度の個人目標は病棟師長が決定する。:個人目標は、組織目標を踏まえて本人が立て、面接で上司と話し合って合意するものです。管理者が決めてしまうと目標が「与えられたもの」になり、達成への意欲や責任感が生まれにくくなります。師長の役割は、目標が組織の方針や本人の能力段階に見合っているか、具体的で評価できる内容になっているかを一緒に確認し、目標づくりを支えることです。
覚えるポイント
- 目標管理はドラッカーが提唱した「目標と自己統制による管理」です。柱は、自分で目標を立てる、自分で進み具合を管理する、自分で評価する、の3つです。
- 組織目標から部署目標、個人目標へとつなげますが、個人目標は本人が立て、上司と面接で話し合って合意します。管理者が指示したり決定したりはしません。
- 流れは、期首面接(目標設定)→中間面接(進捗確認・修正)→期末面接(評価)です。期末面接は、まず本人の自己評価を聴くことから始めます。
- 評価は達成・未達成の両面と取り組みの過程を見ます。承認とフィードバックで意欲を高め、未達成の部分は次期の目標へつなげます。
- 管理者の役割は指示や査定ではなく、傾聴・問いかけ・承認による支援(コーチング的な関わり)です。
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