第106回
106AM035|第106回 助産師国家試験 過去問
臍帯について正しいのはどれか。2つ選べ。
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正解2・3
正答
2.羊水分泌に関与する。
3.胎盤付着部位は側方が最も多い。
この問題のポイント
臍帯について、どの胚葉に由来するか、表面と内部の構造、血管の走り方、胎盤への付着様式をまとめて問う問題です。最大の鍵は「表面を覆うのは羊膜、内部を満たすのがワルトン膠様質」という層構造を正しく思い描けるかどうかです。表面が羊膜だと分かれば、羊水への関与が導けます。これに付着様式の頻度(側方付着が最多)を合わせると、2つの正答にたどりつけます。
解説
臍帯の発生と構造
胚発生の初期、胚盤と絨毛膜は体茎(付着茎)でつながっています。体茎は胚外中胚葉でできています。体茎の中では、尿膜に沿って発達した血管が臍帯血管になります。その後、羊膜腔が広がるにつれて、羊膜が体茎と卵黄腸管(卵黄嚢の茎)をまとめて包み込み、臍帯が完成します。
尿膜や卵黄腸管は内胚葉に由来しますが、発生の途中で退縮します。成熟した臍帯の主体である血管とワルトン膠様質は、中胚葉性の組織です。
臍帯は、妊娠末期には長さ約50cm、太さ1〜1.5cm程度のひも状の器官です。構造は外側から次のように整理します。
- 表面:羊膜上皮で覆われています。この羊膜は、胎盤の胎児面を覆う羊膜や、卵膜の羊膜と連続しています。
- 内部:ワルトン膠様質が満たしています。ムコ多糖に富むゼリー状の結合組織で、血管を圧迫・屈曲・ねじれから守ります。
- 血管:臍動脈2本と臍静脈1本です。臍動脈は、胎児から胎盤へ酸素の少ない血液を運びます。臍静脈は、胎盤から胎児へ酸素と栄養に富む血液を運びます。「動脈だから動脈血」と取り違えないよう注意します。
- 臍動脈は臍静脈より長く、静脈の周囲にらせん状に巻きつくように走ります。これが臍帯のねじれ(捻転)として現れます。
- 臍帯には神経がないため、臍帯を切断しても児が痛みを感じることはありません。
羊水との関係
羊水の産生と吸収は、時期によって主な経路が変わります。
- 妊娠初期:主に羊膜からの分泌や、母体血漿・胎児体液の滲出によってつくられます。
- 妊娠中期以降:胎児尿と肺胞液が主な供給源になります。
- 吸収:胎児の嚥下と、羊膜を通して胎盤表面や臍帯の胎児血管へ移る経路(膜内経路)で行われます。
臍帯の表面の羊膜上皮も、この羊水の産生(分泌)と吸収に関与します。臍帯を「血管の通り道」とだけ捉えず、羊膜腔に面した羊膜の一部でもあると理解できていれば、正しいと判断できます。
胎盤への付着様式
- 側方付着:胎盤の中央から少しずれた位置に付着します。最も多い付着様式です。
- 中央付着:胎盤のほぼ中央に付着します。
- 辺縁付着:胎盤の辺縁に付着します。
- 卵膜付着:胎盤ではなく卵膜に付着します。臍帯血管がワルトン膠様質に守られないまま卵膜の中を走ります。多胎、特に一絨毛膜双胎で頻度が高くなります。
卵膜の中を走る血管が内子宮口付近を横切るものを前置血管といいます。破水や人工破膜の際にこの血管が断裂すると胎児が失血し、短時間で胎児機能不全や胎児死亡に至るおそれがあります。そのため妊娠中に経腟超音波(カラードプラ)で付着部位や前置血管の有無を確認し、診断された場合は陣痛発来前の予定帝王切開が計画されます。
分娩後の胎盤計測では、臍帯の長さ、付着部位、血管数、結節の有無を観察して記録します。血管が2本しかない単一臍帯動脈は、心臓や腎臓などの先天異常を合併することがあるため、児の観察につなげます。
選択肢の確認
1.内胚葉由来である。:臍帯の主体である血管とワルトン膠様質は、胚外中胚葉からなる体茎(付着茎)から形成される中胚葉性の構造です。発生途中には内胚葉由来の尿膜や卵黄腸管が臍帯の中に含まれますが、退縮して痕跡になるだけです。そのため臍帯そのものを内胚葉由来とはいいません。表面の羊膜上皮も内胚葉ではなく、胚盤葉上層(外胚葉系)に由来します。
2.羊水分泌に関与する。:正答。臍帯の表面は羊膜上皮で覆われており、卵膜の羊膜と同じく羊水の産生(分泌)と吸収にかかわります。表面が膠様質であると誤解していると判断できない選択肢で、選択肢5の正誤と表裏の関係にあります。
3.胎盤付着部位は側方が最も多い。:正答。臍帯は胎盤の中央から少しずれた位置に付着する側方付着が最も多く、次いで中央付着が多くみられます。辺縁付着や卵膜付着は頻度が低いものの、卵膜付着は前置血管の原因になるため臨床上とくに重要です。
4.臍動脈と臍静脈は長さに差がない。:臍動脈は臍静脈より長く、静脈の周囲にらせん状に巻きついて走るため、この記述は誤りです。この長さの差が臍帯の捻転の成り立ちに関係すると説明されます。なお、血管が局所的に迂曲して結節のように見えるものは偽結節と呼ばれ、臍帯そのものが結ばれる真結節とは区別します。
5.表面がWharton〈ワルトン〉膠様質で覆われている。:ワルトン膠様質は、臍帯の内部で3本の血管のすき間を満たすゼリー状の結合組織です。表面を覆っているのは羊膜なので、この記述は誤りです。膠様質は血管を圧迫やねじれから保護するクッションの役割を担います。「外側が羊膜、内部が膠様質、その中に血管」という層の順序を入れ替えた誤りの選択肢です。
覚えるポイント
- 臍帯の構造:表面は羊膜、内部はワルトン膠様質(血管を圧迫から保護)、血管は臍動脈2本・臍静脈1本です。臍帯には神経がありません。
- 臍帯の発生:胚外中胚葉の体茎(付着茎)に由来する中胚葉性の構造です。内胚葉由来の尿膜・卵黄腸管は退縮します。
- 血液の性状:臍動脈は胎児から胎盤へ酸素の少ない血液を、臍静脈は胎盤から胎児へ酸素と栄養に富む血液を運びます。出生後、臍静脈は肝円索、臍動脈は内側臍索になります。
- 臍動脈は臍静脈より長く、静脈に巻きつくように走るため、臍帯に捻転が生じます。臍帯の長さは妊娠末期で約50cmです。
- 付着様式は側方付着が最多です。卵膜付着は前置血管の原因となり、破水時の血管断裂で胎児失血を起こします。
- 臍帯表面の羊膜上皮は羊水の産生・吸収にかかわります。羊水の主な産生源は妊娠中期以降は胎児尿、主な吸収経路は胎児の嚥下です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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