第106回

106AM036|第106回 助産師国家試験 過去問

2つ選択

正期産の分娩進行中に間欠的胎児心拍数聴取で異常がない場合でも、児の娩出まで胎児心拍数陣痛図による連続的モニタリングを行うことが必要なのはどれか。2つ選べ。

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正解3・4

正答

3.妊娠高血圧症候群
4.胎児推定体重2,000 g未満

この問題のポイント

分娩中の胎児監視について、間欠的聴取で管理してよい低リスク例と、分娩中を通して連続的に監視すべきハイリスク例を見分ける問題です。鍵は「間欠的胎児心拍数聴取で異常がない場合でも」という条件です。いま心拍に異常がないかどうかではなく、陣痛のストレスに耐える胎児の予備能がもともと乏しい背景(胎盤機能の低下、胎児が小さいこと)があるかどうかで判断します。

解説

分娩中の胎児監視の基本

陣痛で子宮筋が収縮するたびに子宮壁を貫く血管が圧迫され、絨毛間腔への母体血流は一時的に減ります。胎盤と胎児が健康であれば、このくり返す短時間の酸素供給の低下に十分耐えられます。

そのため、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会の産婦人科診療ガイドライン産科編は次のように定めています。

  • 入院時などに一定時間、胎児心拍数陣痛図(CTG)を装着し、胎児の状態が良好であることを確認します。
  • そのうえで、リスクのない産婦は間欠的胎児心拍数聴取で経過をみてよいとしています。

一方、胎児が低酸素に陥りやすい、または陥ったときに急速に悪化しやすい妊娠では、間欠的聴取で今は異常がなくても、変化を見逃さないよう分娩中を通して連続的モニタリングを行います。間欠的聴取では、基線細変動や一過性徐脈の型(早発・遅発・変動)を正確に評価できません。これも連続監視が必要とされる理由です。

連続的モニタリングの主な対象

  • 母体側の要因:妊娠高血圧症候群、糖尿病合併、既往帝王切開など子宮内腔に及ぶ子宮手術の既往
  • 胎児側の要因:推定体重2,000 g未満、胎児発育不全、多胎妊娠、胎位異常
  • 胎盤の異常:低置胎盤など
  • 分娩中の処置・状態:子宮収縮薬の使用中、無痛分娩中、38.0℃以上の母体発熱中

これらの共通点は、次のいずれかにあてはまることです。

  • 胎盤機能や胎児の予備能が低い
  • 子宮破裂や胎盤剥離など急変の危険がある
  • 薬剤・麻酔が胎児の状態や陣痛に影響する

妊娠高血圧症候群が対象になる理由

妊娠高血圧症候群では、胎盤形成期に子宮らせん動脈の再構築が不十分となり、子宮胎盤循環が慢性的に不足しています。このため胎盤機能不全を起こしやすく、陣痛による血流低下が加わると、遅発一過性徐脈や基線細変動の減少が現れやすくなります。さらに常位胎盤早期剥離の重要な危険因子でもあり、その早期発見にも連続的なCTGが役立ちます。

推定体重2,000 g未満が対象になる理由

この問題は正期産の分娩です。正期産で推定体重2,000 g未満であれば、胎児発育不全が強く疑われます。胎盤機能不全が背景にあることが多く、エネルギーの蓄え(肝グリコーゲンなど)も少ないため、低酸素への耐性が低い状態です。羊水過少を伴えば臍帯圧迫による変動一過性徐脈も起こりやすくなります。

実践での意味

助産師が間欠的聴取で管理してよい産婦かどうかを判断する前提は、妊娠中の経過の確認です。具体的には、血圧、推定体重、合併症、既往歴、胎盤の位置などを把握します。院内助産や助産所で扱う低リスク分娩の見極めにも直結する知識です。

選択肢の確認

1.破水後:破水は分娩の進行に伴って起こる生理的な現象で、それだけで胎児の予備能が下がるわけではありません。破水直後は臍帯脱出や臍帯圧迫が起こりうるため、胎児心拍を確認し、羊水の量と性状(混濁・血性の有無)を観察します。そこで異常がなければ、児の娩出まで連続的モニタリングを続けることは必須とされていません。ただし、羊水混濁、血性羊水、胎児心拍の異常、38.0℃以上の母体発熱などが加われば監視を強化します。「破水=連続監視」と取り違えないよう注意しましょう。

2.身長150 cm以下:低身長は、狭骨盤や児頭骨盤不均衡を疑うきっかけになる所見です。子宮口開大や児頭下降など分娩進行の注意深い評価や、必要に応じた骨盤の評価につながります。しかし、これは経腟分娩の可否や分娩経過に関わる問題で、胎盤機能や胎児の予備能を直接下げるものではありません。そのため、単独では連続的モニタリングの対象ではありません。分娩の遷延や停止が生じた場合には監視を強化します。

3.妊娠高血圧症候群:正答。子宮胎盤循環が慢性的に不足し、胎盤機能不全を起こしやすい状態です。陣痛による血流低下に耐える余力が乏しく、遅発一過性徐脈や基線細変動の減少が出現しやすくなります。常位胎盤早期剥離の危険因子でもあるため、間欠的聴取で異常がなくても児の娩出まで連続的に監視します。

4.胎児推定体重2,000 g未満:正答。正期産でこの体重であれば胎児発育不全が考えられ、背景に胎盤機能不全があることが多い状態です。エネルギーの蓄えも少なく、低酸素への耐性が低いため連続的モニタリングの対象です。羊水過少を伴う場合は、臍帯圧迫による変動一過性徐脈にも注意が必要です。

5.B群溶血性レンサ球菌〈GBS〉陽性:GBS陽性で問題となるのは、産道通過時の垂直感染による新生児の早発型GBS感染症(敗血症、髄膜炎、肺炎など)です。対策は、陣痛発来時や破水時からのペニシリン系抗菌薬の静脈内投与です。胎児の酸素化の予備能を下げるものではないため、陽性であることだけでは連続的モニタリングの対象になりません。ただし、母体発熱や胎児頻脈など子宮内感染を疑う所見が出れば、連続監視が必要になります。

覚えるポイント

  • 低リスク産婦は、入院時などに一定時間CTGで胎児の状態が良好であることを確認したうえで、間欠的胎児心拍数聴取で管理できます。
  • 連続的モニタリングの主な対象は、妊娠高血圧症候群、糖尿病合併、既往帝王切開など子宮手術の既往、推定体重2,000 g未満、胎児発育不全、多胎、胎位異常、低置胎盤、子宮収縮薬の使用中、無痛分娩中、38.0℃以上の母体発熱中です。
  • 判断の軸は「胎盤機能・胎児予備能の低下」「急変の危険」「薬剤・麻酔の影響」の3つです。
  • 破水のみ、低身長のみ、GBS陽性のみは、単独では連続監視の条件になりません。それぞれ、臍帯脱出と羊水の確認、分娩進行の評価、分娩時の抗菌薬投与が対応の中心です。
  • 胎盤機能不全では遅発一過性徐脈と基線細変動の減少が、臍帯圧迫では変動一過性徐脈が出やすくなります。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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