第106回

106PM016|第106回 助産師国家試験 過去問

新生児期にみられる原始反射はどれか。

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正解3

正答

3.非対称性緊張性頸反射

この問題のポイント

出生時から備わっている原始反射と、生後しばらくしてから出現する姿勢反応(立ち直り反応・保護伸展反応など)を区別できるかを問う問題です。手がかりは「新生児期にみられる」という条件です。新生児期から認められ、乳児期前半に消えていく反射を選びます。各反射の出現・消失の時期と、それを担う中枢の高さを結びつけて覚えておくと、迷わず判断できます。

解説

原始反射とは

原始反射は、脊髄や脳幹を中枢とする反射です。胎児期から新生児期にかけて出現し、大脳皮質などの上位中枢が成熟するとそれに抑制されて、多くは乳児期のうちに順に消失していきます。ただし、バビンスキー反射は例外的に長く残ります。錐体路の成熟が進み、歩行が確立する1〜2歳ころに消失します。代表的な原始反射は次のとおりです。

  • 哺乳に関わる反射:吸啜反射、探索反射(ルーティング反射)
  • 全身の反射:モロー反射、非対称性緊張性頸反射
  • 手足の反射:手掌把握反射、足底把握反射、バビンスキー反射、自動歩行

原始反射は新生児がもともと持っている反射なので、新生児期にみられるのが正常です。反射が消えるのは脳が発達した結果です。そのため、「決まった時期に出て、決まった時期に消える」ことそのものが発達の指標になります。

姿勢反応とは

これに対して、立ち直り反応、保護伸展反応(パラシュート反射)、平衡反応などは、中脳や大脳皮質といった上位中枢が成熟してから出現する反応です。頸定、寝返り、座位、つかまり立ち、歩行といった運動発達を支え、多くは一度出現すると生涯持続します。ランドー反射は幼児期に消失しますが、これも出生後に出現する反応であり、新生児期にはみられません。

非対称性緊張性頸反射(ATNR)

仰臥位の児の頭部を一方へ回すと、顔の向いた側の上下肢が伸展し、後頭部側の上下肢が屈曲します。この姿勢は「フェンシング姿勢」と呼ばれます。新生児期から認められ、生後4〜6か月ころに消失します。

この反射が消えると、両手を正中で合わせる、左右対称の姿勢を保つ、手を口元へ運ぶといった動作がしやすくなり、寝返りなどの発達にもつながります。消失時期を過ぎても残る場合は、脳性麻痺などの中枢神経障害を疑います。また、月齢にかかわらず、常に強く出ていて児がその姿勢から自力で抜け出せない場合も異常と考えます。

助産実践での意味

助産師は、出生直後から新生児期にかけて原始反射を観察し、神経学的な状態を評価します。評価の視点は次の3つです。

  • 反射が弱い、または出ない場合:中枢神経が抑制されている可能性を考えます。原因として、新生児仮死に伴う低酸素性虚血性脳症、分娩時に母体へ投与された鎮静薬や鎮痛薬の影響、低血糖、低体温、感染症などがあります。
  • 左右差がある場合:モロー反射に左右差があれば、腕神経叢麻痺や鎖骨骨折など、片側の上肢の局所的な障害を考えます。いずれも肩甲難産などの難産に伴って起こりやすい分娩外傷です。
  • 乳児健診の時期:原始反射が消えてきているかと、姿勢反応が出てきているかを組み合わせて、発達を評価します。

選択肢の確認

1.視性立ち直り反射:視覚の情報を手がかりにして、体が傾いても頭部を垂直に保とうとする立ち直り反応です。視覚の発達を待って出現する反応で、頸定とほぼ同じ時期の生後3〜4か月ころに現れ、その後は生涯持続します。新生児期にはみられないので当てはまりません。前庭(迷路)からの情報で頭部を立て直す迷路性立ち直り反射も、同じく生後しばらくしてから出現する姿勢反応です。「反射」という名前に引きずられて、原始反射と取り違えないよう注意します。

2.パラシュート反射:児の体幹を支えて腹臥位で水平に持ち、頭から前方へ落とすように急に傾けると、両上肢を伸ばし、手を開いて体を支えようとする保護伸展反応です。生後8〜10か月ころに出現し、生涯持続します。つかまり立ちや歩行の時期に転倒から身を守る反応であり、新生児期には存在しないので当てはまりません。出現が遅れる場合は運動発達の遅れを、左右差がある場合は片麻痺を疑う手がかりになります。

3.非対称性緊張性頸反射:正答。脳幹を中枢とする原始反射で、新生児期から認められ、生後4〜6か月ころに消失します。仰臥位で頭部を回すと、顔の向いた側の上下肢が伸展し、反対側の上下肢が屈曲します。新生児期にみられるのは正常な所見です。一方、消失時期を過ぎても残る場合は中枢神経障害を疑います。

4.Landau〈ランドー〉反射:腹臥位で腹部を支えて水平に持ち上げると、頭部を挙上し、体幹と下肢を伸展させて弓なりの姿勢をとる反応です。生後3〜6か月ころに出現し、おおむね2歳前後までに消失します。「やがて消える」という点が原始反射と似ているため混同しやすいのですが、新生児期にはみられないので当てはまりません。筋緊張が低下した児(フロッピーインファント)では出にくいことも、あわせて押さえておきます。

覚えるポイント

  • 原始反射は脊髄・脳幹が中枢で、新生児期までに出現し、上位中枢の成熟によって消失します。姿勢反応は中脳・大脳皮質が中枢で、生後しばらくしてから出現し、多くは生涯持続します。
  • 非対称性緊張性頸反射は、顔の向いた側の上下肢が伸展し、後頭部側の上下肢が屈曲する「フェンシング姿勢」をとり、生後4〜6か月ころに消失します。残存していれば脳性麻痺などを疑います。
  • 主な原始反射のおおよその消失時期は、手掌把握反射が3〜4か月、モロー反射が4か月ころ、吸啜反射・探索反射が4〜6か月、足底把握反射が10か月前後、バビンスキー反射が1〜2歳ころです。原始反射の多くは乳児期に消えますが、バビンスキー反射は1〜2歳ころまでは陽性でも正常です。それ以降も陽性であれば錐体路障害を疑います。
  • 姿勢反応のおおよその出現順は、視性立ち直り反射(3〜4か月、生涯持続)、ランドー反射(3〜6か月、2歳前後で消失)、パラシュート反射(8〜10か月、生涯持続)です。
  • 反射の評価では、減弱・消失は中枢神経の抑制を、左右差は腕神経叢麻痺や鎖骨骨折など片側の上肢の障害を、時期を過ぎた残存は中枢神経障害を考えます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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