第106回

106PM032|第106回 助産師国家試験 過去問

2つ選択

母子保健法に基づく産後ケア事業で正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解2・4

正答

2.出産後1年以内は利用できる。
4.自宅への訪問サービスを申請できる。

この問題のポイント

母子保健法に定められた産後ケア事業について、実施主体、対象、実施形態、利用手続きを問う問題です。「母子保健法に基づく」という語から、2019(令和元)年の法改正で法定化された内容を思い出せるかが鍵になります。押さえるべき内容は、市町村の努力義務であること、対象が出産後1年を経過しない女子と乳児であること、宿泊型・通所型・居宅訪問型の3形態があることです。住民に身近な母子保健サービスは原則として市町村が担う、という制度の構造も判断の助けになります。

解説

法的な位置づけ

産後ケア事業は、以前は国の予算事業として一部の市町村で行われていました。2019(令和元)年12月公布の母子保健法改正で法律上の事業となり、2021(令和3)年4月に施行されています。規定は母子保健法第17条の2で、市町村は産後ケア事業を行うよう努めなければならない(努力義務)とされています。出題時点の2023年2月は、この施行後にあたります。

対象と支援内容

法律では、産後ケアを「出産後1年を経過しない女子及び乳児の心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話又は育児に関する指導、相談その他の援助」と定めています。対象は、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女子と乳児で、初産か経産かの区別はありません。出題当時の国の産後ケア事業ガイドラインは、対象者の目安を次のように示していました。

  • 産後に心身の不調や育児不安などがある者
  • その他特に支援が必要と認められる者

支援内容は、次のようなものです。

  • 母親の休養と身体的回復の支援
  • 心理的な安定を促す支援
  • 授乳指導や乳房ケア
  • 沐浴など育児技術の指導
  • 家族を含めた相談

3つの実施形態

  • 短期入所型(宿泊型):病院、診療所、助産所などの産後ケアセンターに母子で短期間入所して支援を受けます。
  • 通所型(デイサービス型):日中に施設へ通い、個別または集団で支援を受けます。
  • 居宅訪問型(アウトリーチ型):助産師などが利用者の自宅を訪問して支援します。

市町村はこの事業を病院や助産所などに委託でき、助産師・保健師・看護師などの専門職が担い手になります。

利用の流れと実践での意味

利用を希望する母親は住所地の市町村に申請します。市町村は面談などで母子の心身の状態や家族の支援状況を把握し、利用の可否や形態を決めます。医学的な診断は要件ではありません。利用料は市町村ごとに定められ、所得に応じた減免を設けている市町村もあります。

産後うつや乳児虐待の予防には、産後早期から切れ目なく支援することが重要です。たとえば、産婦健康診査(産後2週間・1か月など)でEPDSなどを用いて支援が必要な産婦を把握し、産後ケア事業につなぐ流れが想定されています。助産師は産後ケアの実施者であると同時に、退院時などに支援が必要な母親に気づき、市町村へつなぐ役割も担います。

出題当時、この事業は子育て世代包括支援センター(法律上の名称は母子健康包括支援センター)などと連携して行われていました。現在は児童福祉法等の改正により、2024年4月から、子育て世代包括支援センターと子ども家庭総合支援拠点を見直した「こども家庭センター」の設置が市町村の努力義務とされています。

選択肢の確認

1.実施主体は都道府県である。:母子保健法第17条の2で産後ケア事業の努力義務を負うのは市町村であり、都道府県ではありません。住民に身近な母子保健サービスは市町村が担うのが原則で、母子健康手帳の交付、新生児訪問指導、乳幼児健康診査も市町村が行います。2013(平成25)年4月には、低体重児の届出の受理、未熟児訪問指導、未熟児養育医療の給付も都道府県から市町村へ移譲されました。「保健所=都道府県」という連想から実施主体を取り違えないように注意します。

2.出産後1年以内は利用できる。:正答。法律は対象を「出産後1年を経過しない女子及び乳児」と明記しており、産後1年以内であれば利用の対象になります。産後の心身の不調や育児の困難は、退院直後だけでなく数か月たってから表面化することもあります。そのため、産後早期に限らず1年という幅で支援できる仕組みになっています。

3.利用できるのは初産婦に限られる。:法律上の対象は、産後ケアを必要とする出産後1年未満の女子と乳児で、初産か経産かによる区別はありません。経産婦も支援の必要性が高い場合は少なくありません。たとえば、上の子の世話と新生児の育児が重なる場合、家族の支援が得られない場合、前回の出産後に心身の不調を経験している場合です。支援の必要性で判断する事業であり、分娩歴は要件ではありません。

4.自宅への訪問サービスを申請できる。:正答。産後ケア事業には短期入所型、通所型と並んで居宅訪問型(アウトリーチ型)があります。助産師などが自宅を訪問し、授乳や育児の指導、母親の心身のケアを行います。外出が負担な産後早期や、上の子がいて施設を利用しにくい家庭に適した形態です。

5.申請時に医師の診断書が必要である。:産後ケア事業の利用に医師の診断書は求められていません。申請を受けた市町村が、保健師などによる面談や関係機関からの情報をもとに支援の必要性を判断します。医療機関からの連絡が利用のきっかけになることはありますが、それは要件ではありません。医療の給付を受ける制度と混同しないようにします。

覚えるポイント

  • 産後ケア事業は母子保健法第17条の2に規定された市町村の努力義務です(2019年改正、2021年4月施行)。
  • 対象は産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女子と乳児で、初産・経産の区別はありません。
  • 形態は短期入所(宿泊)型・通所(デイサービス)型・居宅訪問(アウトリーチ)型の3つです。
  • 利用は市町村への申請と市町村の判断で決まり、医師の診断書は不要です。
  • 母子健康手帳の交付、新生児・未熟児訪問、乳幼児健診、未熟児養育医療など、身近な母子保健サービスの実施主体は市町村です。
  • 産婦健康診査(産後2週間・1か月など)で支援が必要な産婦を把握し、産後ケア事業へつなぐのが切れ目のない支援の基本の流れです。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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