第106回

106PM031|第106回 助産師国家試験 過去問

2つ選択

先天性難聴および新生児聴覚スクリーニングで正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解1・5

正答

1.検査は自然睡眠中に行うのが望ましい。
5.妊娠初期の母体の風疹感染は児の先天性難聴のリスク因子となる。

この問題のポイント

新生児聴覚スクリーニングの検査条件と実施時期、先天性難聴の頻度、療育開始の目標時期、リスク因子をまとめて問う問題です。鍵になる知識は次の3つです。1-3-6ルール(生後1か月までにスクリーニング、3か月までに精密診断、6か月までに療育開始)、頻度は出生1,000人に1〜2人であること、検査は産科入院中に自然睡眠下で行うことです。これを押さえていれば2つを確実に選べます。

解説

先天性難聴を早く見つける理由

両側性の先天性難聴は、出生1,000人に1〜2人程度にみられます。新生児の先天性疾患の中でも頻度が高いものです。聞こえが不十分だと音声言語の入力が不足し、言語発達、コミュニケーション、その後の学習や社会性に影響します。言語の獲得には聴覚刺激が特に重要な時期があるため、発見が遅れるほど不利になります。

一方、軽度〜中等度の難聴や片側難聴では、音への反応がある程度みられます。そのため、保護者の観察や健診だけでは乳児期に気づかれにくいという特徴があります。そこで、全出生児を対象に客観的な検査で拾い上げるのが新生児聴覚スクリーニングです。

スクリーニングの流れ

米国の乳幼児聴覚合同委員会(JCIH)が示した1-3-6ルールが国際的な目標で、厚生労働省の通知も同じ考え方に立っています。

  • 初回検査:産科の入院中、生後おおむね3日以内に行います。
  • 確認検査:初回でリファー(要再検)となった児に、生後おおむね1週間以内(通常は入院中)に再検査します。
  • 精密検査:確認検査でもリファーの児は耳鼻咽喉科の精密検査機関へ紹介し、生後3か月ごろまでに診断します。
  • 療育:難聴と診断された児は、生後6か月ごろまでに補聴器装用、言語・コミュニケーション指導、保護者支援を始めます。

リファーは難聴の確定ではありません。外耳道の胎脂や羊水、体動でも起こります。助産師には、保護者の不安をあおらない説明と、精密検査へ確実につなぐ支援が求められます。

なお、出題当時この検査は法律で義務づけられたものではなく、保護者の同意を得て行う検査でした。国は市町村に対し、費用助成や受検状況の把握に取り組むよう求めていました。

検査法と「自然睡眠」の理由

検査法は次の2つです。

  • 自動聴性脳幹反応(AABR):イヤホンで35dB程度のクリック音を聞かせ、頭皮に貼った電極で脳幹までの反応を自動判定します。内耳から聴神経・脳幹までを評価できるため、内耳は正常で聴神経以降に障害があるオーディトリーニューロパチーも検出できます。
  • 耳音響放射(OAE):内耳の外有毛細胞から返ってくる微弱な音を外耳道で測ります。短時間で簡便ですが、内耳より中枢側の障害は検出できず、外耳道の胎脂や羊水の影響も受けやすい方法です。

どちらも微弱な信号を扱うため、体動や啼泣による筋電図のノイズや周囲の雑音が入ると判定できません。そのため、授乳後など自然に眠っているときに、静かな環境で行います。全出生児を対象とするスクリーニングでは、呼吸抑制のおそれがある鎮静薬は使いません。

リスク因子

先天性難聴の半数以上には遺伝的要因が関与しています。残りの主な原因は胎内感染と周産期の異常です。

  • 難聴の家族歴
  • 胎内感染:先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染、先天性風疹症候群(CRS)、トキソプラズマ、梅毒など
  • 頭頸部の形態異常(耳介・外耳道の奇形など)、難聴を伴う症候群
  • 出生前後の要因:交換輸血を要する高ビリルビン血症、重症新生児仮死、長期の人工換気、細菌性髄膜炎、アミノグリコシド系抗菌薬など耳毒性薬物の使用

先天性CMV感染による難聴は、出生後に進行したり遅れて出現したりすることがあります。スクリーニングでパスしても、その後の聞こえの確認が必要です。先天性CMV感染を確定するには、生後3週間以内の尿で検査します。それ以降は出生後の感染と区別できなくなるためです。

CRSは、母体が妊娠初期に風疹に初感染した場合に起こりやすく、感染時期が早いほどリスクが高くなります。三徴は白内障、先天性心疾患(動脈管開存症など)、感音難聴で、中でも難聴が最も多くみられます。予防には妊娠前のワクチン接種が重要です。生ワクチンのため妊娠中は接種できず、接種後2か月間は避妊が必要です。

選択肢の確認

1.検査は自然睡眠中に行うのが望ましい。:正答。AABRもOAEも微弱な信号を測るため、体動や啼泣があると筋電図のノイズや雑音が混入して判定できません。授乳後の自然睡眠中に静かな環境で行い、鎮静薬は用いません。精密検査で行う聴性脳幹反応(ABR)では、自然睡眠が得られない場合に鎮静薬を使うことがあります。スクリーニングとの違いとして区別しておきましょう。

2.初回検査は3か月児健康診査時に実施する。:初回検査は、産科入院中の生後おおむね3日以内に行います。3か月児健康診査の時期ではありません。生後3か月は、1-3-6ルールで精密検査による診断を終える目安であり、その数字と混同させる選択肢です。なお、3〜4か月児健康診査では、音への反応を問診や観察で確認します。これにより、スクリーニング未受検の児や、遅発性・進行性の難聴を拾い上げる役割を担っています。

3.先天性難聴児の出生頻度は約10,000人に1人である。:先天性難聴の頻度は出生1,000人に1〜2人程度で、この記述は1桁少なくなっています。頻度が高いことこそが、全出生児を対象にスクリーニングを行う根拠になっています。

4.支援が必要な児に対する療育は1歳になったら開始する。:療育は生後6か月ごろまでに始めるのが目標で、1歳まで待つと言語発達に不利になります。補聴器は乳児期早期から装用でき、あわせて保護者支援や言語・コミュニケーション指導も始めます。「1歳」は小児人工内耳手術の適応年齢の目安(原則1歳以上)として出てくる数字です。療育の開始時期と取り違えないようにしましょう。

5.妊娠初期の母体の風疹感染は児の先天性難聴のリスク因子となる。:正答。母体が妊娠初期に風疹に初感染すると、胎児にCRSが起こりやすくなります。三徴は白内障、先天性心疾患、感音難聴で、難聴はCRSで最も頻度の高い症状です。妊娠中期前半の感染でも、難聴だけが残ることがあります。胎内感染ではCMVも重要で、遺伝性以外の先天性難聴の原因として最も多いとされています。

覚えるポイント

  • 1-3-6ルール:生後1か月までにスクリーニング、3か月までに精密診断、6か月までに療育開始。
  • 初回検査は入院中の生後おおむね3日以内に行います。リファーなら確認検査(生後おおむね1週間以内)を行い、それでもリファーなら耳鼻咽喉科で精密検査を受けます。
  • AABRは脳幹まで評価でき、オーディトリーニューロパチーも検出できます。OAEは内耳の外有毛細胞を評価します。どちらも自然睡眠下で行い、鎮静薬は使いません。
  • 先天性難聴の頻度は出生1,000人に1〜2人です。
  • リスク因子は、家族歴、胎内感染(CMV・風疹・トキソプラズマ・梅毒)、頭頸部奇形、交換輸血を要する高ビリルビン血症、細菌性髄膜炎、耳毒性薬物、長期人工換気です。
  • CRSの三徴は白内障・先天性心疾患・感音難聴で、妊娠初期の感染ほどリスクが高くなります。先天性CMV感染による難聴は遅れて出たり進行したりするため、スクリーニングでパスした後も聞こえの確認を続けます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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