第106回
106PM030|第106回 助産師国家試験 過去問
経腟分娩後に正常に経過している産褥6週の褥婦の状態で正しいのはどれか。2つ選べ。
解答・解説を見る
正解1・5
正答
1.外子宮口は閉鎖している。
5.腎血流量は非妊時の状態に回復している。
この問題のポイント
産褥6週は産褥期の終わりにあたり、妊娠・分娩で変化した母体がほぼ非妊時の状態に戻る時期です。「経腟分娩後」「正常に経過」「産褥6週」という条件から、子宮頸部・子宮体部・循環血液量・凝固能・腎機能がこの時点でどこまで戻っているかを判断します。選択肢の数値が産褥の何週ころの値なのかを照らし合わせることが鍵です。
解説
産褥期の考え方
産褥期は、分娩が終わってから、妊娠・分娩で変化した母体が非妊時の状態に戻るまでの期間で、通常6〜8週間とされます。そのため「正常に経過している産褥6週」の褥婦は、原則としてほぼ非妊時に戻っていると考えるのが出発点です。そのうえで、選択肢に数値や状態が書かれていれば、それが産褥のどの時期にあたるかを確認します。
生殖器の復古
- 子宮体部:子宮の重さは、分娩直後の約1,000 gから、産褥1週で約500 g、産褥2週で約300〜350 gと急速に減ります。産褥6週には、非妊時に近い約60〜70 gに戻ります。子宮底は産褥10日〜2週ころに腹壁の上から触れなくなります。授乳のときに分泌されるオキシトシンは子宮収縮を促し、復古を助けます。
- 子宮頸部:分娩直後の頸部はゆるんで大きく開いていますが、その後すぐに緊張を取り戻します。産褥1週ころには指1本が通る程度に狭まり、内子宮口が先に閉じ、続いて外子宮口も産褥4週ころまでに閉じます。経腟分娩のあと、外子宮口の形は未産婦の円形から横に長い横裂状(経産婦型)に変わります。
- 悪露:量が減るとともに、赤色、褐色、黄色、白色と色が変わり、産褥4〜6週ころにはほぼなくなります。
全身の変化
- 循環血液量:妊娠中は非妊時より約40〜50%増え、妊娠30週台前半ころに最大になります。分娩時の出血と産褥早期の利尿(尿量が増えること)で減り、産褥数週をかけて非妊時の量に戻ります。分娩直後は、収縮した子宮から血液が体循環へ戻る自己輸血などで、一時的に心臓への負担が増えます。心疾患を合併する褥婦では、分娩直後から産褥早期の観察が特に重要です。
- 血液凝固能:妊娠中はフィブリノゲンなどの凝固因子が増え、分娩時の止血に備えて凝固能が高まります。分娩後しばらくはこの状態が続くため、産褥早期は深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症の危険が高い時期です。その後、凝固能は産褥数週をかけて下がり、産褥6週ころには非妊時の水準に戻ります。
- 腎機能:妊娠中は腎血漿流量と糸球体濾過量(GFR)が大きく増え、GFRは約50%増加します。そのため血清クレアチニンや尿素窒素は低めになり、尿糖も出やすくなります。これらは産褥期に次第に戻り、産褥6週ころには非妊時の状態に回復します。妊娠中に広がっていた腎盂と尿管も、産褥期のうちに元に戻っていきます。
正答に至る判断
産褥6週で「閉鎖している」「非妊時の状態に回復している」は、正常な経過にそのまま合います。「亢進している」「約300 g」「非妊時より多い」は、いずれも妊娠中から産褥早期の状態です。以上から正答は選択肢1と選択肢5です。
産褥1か月健診では、子宮復古、悪露、創部、血圧、尿所見、下肢の症状などを確認します。「この時期ならどこまで戻っているはずか」という基準を持っておくと、復古不全や血栓症などの異常を早く見つけることにつながります。
選択肢の確認
1.外子宮口は閉鎖している。:正答。分娩直後に大きく開いていた子宮頸部は速やかに緊張を取り戻し、内子宮口に続いて外子宮口も産褥4週ころまでに閉じるため、産褥6週では閉じているのが正常です。経腟分娩のあとの外子宮口は横裂状になり、未産婦の円形には戻りません。ただし、これは形が変わっただけで、閉じていないという意味ではありません。この2つを混同しないようにします。
2.血液凝固能は亢進している。:妊娠中から産褥早期にかけて高まっていた凝固能は、産褥数週をかけて下がり、産褥6週では非妊時の水準に戻っていると考えるため、当てはまりません。「亢進している」が正しいのは、妊娠中や分娩直後から産褥早期の褥婦です。この時期は静脈血栓塞栓症に特に注意が必要な時期として押さえます。
3.子宮の重さは約300 gである。:約300 gは産褥2週ころの子宮の重さで、産褥6週には非妊時に近い約60〜70 gまで小さくなっているため、当てはまりません。「1週で約500 g、2週で約300 g」という数値の並びを6週の値と取り違えやすいので、時期と重さを組み合わせて覚えます。
4.循環血液量は非妊時より多い。:妊娠中に約40〜50%増えた循環血液量は、分娩時の出血と産褥早期の利尿で減り、産褥6週では非妊時と同じ程度に戻っているため、当てはまりません。妊娠中期から後期の妊婦についてであれば正しい記述です。分娩直後に自己輸血で心臓の負担が一時的に増えることとも区別しておきます。
5.腎血流量は非妊時の状態に回復している。:正答。妊娠中は腎血漿流量と糸球体濾過量がともに大きく増えますが、産褥期に次第に戻り、産褥6週ころには非妊時の状態に回復します。妊娠中に血清クレアチニンが低めになる理由も、この腎血流量とGFRの増加で説明できます。
覚えるポイント
- 子宮の重さは、約1,000 g(分娩直後)→約500 g(産褥1週)→約300〜350 g(産褥2週)→約60〜70 g(産褥6週)と減ります。
- 子宮頸部は、産褥1週で指1本が通る程度になり、外子宮口は産褥4週ころまでに閉じます。経腟分娩のあとは横裂状(経産婦型)になります。
- 子宮底は産褥10日〜2週で腹壁から触れなくなり、悪露は産褥4〜6週ころにほぼなくなります。
- 循環血液量、凝固能、腎血漿流量とGFRは、妊娠中に増加・亢進し、産褥6週ころまでに非妊時の状態へ戻ります。
- 凝固能が高いままの産褥早期は静脈血栓塞栓症のリスクが高い時期です。早期離床、水分補給、弾性ストッキングなどで予防します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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