第106回

106PM033|第106回 助産師国家試験 過去問

2つ選択

分娩を伴う入院でハイリスク分娩管理加算の対象となるのはどれか。2つ選べ。

解答・解説を見る

正解3・5

正答

3.糖尿病で治療中
5.双胎妊娠

この問題のポイント

診療報酬のハイリスク分娩管理加算について、算定の対象になる妊産婦の条件を問う問題です。対象は、年齢・体格・妊娠週数の数値基準と、あらかじめ列挙された合併症・産科的な異常で決まっています。医学的にリスクが高い状態でも、基準の数値に届かなければ対象になりません。治療中の糖尿病と多胎妊娠は列挙に含まれます。BMI・週数・年齢は境界の数値で判定します。

解説

ハイリスク分娩管理加算とは

正常な妊娠・分娩は疾病ではないため、健康保険の療養の給付の対象になりません。分娩費用は出産育児一時金でまかなう仕組みです。出題当時の支給額は原則42万円(産科医療補償制度に加入する医療機関等での出産の場合)で、2023年4月からは50万円に引き上げられています。

一方、母体や胎児に医学的な危険が大きい分娩では、手厚い人員体制と計画的な管理が必要です。ハイリスク分娩管理加算は、施設基準(産婦人科医や助産師の常勤配置、分娩実績の要件など)を届け出た医療機関で算定できる診療報酬です。分娩を伴う入院でハイリスクの妊産婦に計画的な分娩管理を行った場合に、入院料に上乗せして算定します。算定には、定められた疾患・状態に該当し、かつ医師がハイリスク分娩管理を必要と認めることが求められます。

妊娠期の入院管理を評価するハイリスク妊娠管理加算も別にあります。対象は一部重なりますが、同じではありません。問題文に「分娩を伴う入院」とあるので、ここで問われているのは分娩管理加算です。

対象となる妊産婦(出題当時の令和4年度診療報酬)

  • 数値基準があるもの:妊娠22週から32週未満の早産、40歳以上の初産婦、分娩前のBMIが35以上の初産婦
  • 産科的な異常:妊娠高血圧症候群重症、常位胎盤早期剝離、前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴うもの)、双胎間輸血症候群、多胎妊娠、子宮内胎児発育遅延(現在の用語では胎児発育不全)
  • 合併症(治療中のものに限る):心疾患、糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、白血病、血友病、出血傾向のある状態
  • その他:HIV陽性、当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術を行った(または行う予定の)もの、精神疾患(精神療法が行われているもの)

甲状腺疾患、腎疾患、膠原病、Rh不適合は、ハイリスク妊娠管理加算の対象です。ハイリスク分娩管理加算の対象ではありません。2つの加算の列挙を混同しないよう注意してください。

判断の組み立て

この問題の要は、一般的な医学上の定義と加算の基準のずれです。

  • 早産は妊娠22週0日〜36週6日の分娩を指しますが、加算の対象は32週未満に限られます。
  • 高年初産婦は35歳以上とされますが、加算の対象は40歳以上です。
  • 日本ではBMI25以上を肥満としますが、加算の対象は35以上で、しかも初産婦に限られます。

選択肢1・2・4は、いずれも医学的にはリスク因子です。しかし、加算の数値基準には届かないように作られています。これに対して、選択肢3は「治療中の糖尿病」、選択肢5は「多胎妊娠」として、列挙された条件にそのまま一致します。

実践の場では、助産師は妊娠初期から母体の合併症・既往・体格・年齢・胎児数などを整理し、ハイリスク妊産婦を把握します。その情報を、分娩施設の選択、周産期母子医療センターとの連携、分娩時の人員配置の判断につなげます。加算の対象の列挙は、高次の分娩管理が必要な状態の目安としても役立ちます。

選択肢の確認

1.分娩前のBMIが30:BMI30は肥満にあたり、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、巨大児、帝王切開などのリスクが高まる体格です。しかし加算の基準は「分娩前のBMIが35以上の初産婦」です。30では数値基準に届かないため、対象外です。この項目は初産婦に限られる点も押さえておきましょう。

2.妊娠33週の早産:早産の定義(22週0日〜36週6日)には入りますが、加算の対象は妊娠22週から32週未満の早産に限られ、33週は範囲外です。32週未満の早産では新生児の呼吸障害などの合併症が特に多く、NICUを含む高度な体制での分娩管理が必要になります。

3.糖尿病で治療中:正答。「糖尿病(治療中のものに限る)」として列挙されています。母体の高血糖は胎盤を通じて胎児の高インスリン血症を招きます。その結果、巨大児、肩甲難産、新生児低血糖、新生児呼吸窮迫症候群などが起こりやすくなります。母体側でも妊娠高血圧症候群や羊水過多が増えるため、分娩時には血糖管理を含む計画的な管理が必要です。

4.39歳の初産婦:35歳以上の初産婦なので高年初産婦には該当しますが、加算の対象は40歳以上の初産婦です。39歳では基準に届きません。「高年初産=35歳以上」と「加算対象=40歳以上」を取り違えないようにしましょう。

5.双胎妊娠:正答。「多胎妊娠」として列挙されています。多胎妊娠では、早産、妊娠高血圧症候群、貧血、胎位異常、分娩後の弛緩出血などが起こりやすくなります。一絨毛膜双胎では双胎間輸血症候群も問題になり、これは別の項目として列挙されています。

覚えるポイント

  • 数値基準は「早産は22週から32週未満」「初産婦で40歳以上」「初産婦で分娩前BMI35以上」の3つです。
  • 一般の定義(早産は37週未満、高年初産は35歳以上、肥満はBMI25以上)より厳しい線引きなので、境界の数値が繰り返し問われます。
  • 合併症は治療中のものに限られ、心疾患、糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、白血病、血友病、出血傾向のある状態が該当します。
  • 甲状腺疾患・腎疾患・膠原病・Rh不適合はハイリスク妊娠管理加算の対象で、ハイリスク分娩管理加算の対象ではありません。
  • 産科的な異常では、妊娠高血圧症候群重症、常位胎盤早期剝離、出血を伴う前置胎盤(28週以降)、多胎妊娠、双胎間輸血症候群、胎児発育不全が対象です。
  • 正常分娩は保険給付の対象外で、出産育児一時金でまかないます(出題当時は原則42万円、2023年4月から50万円)。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する(medixmatch2025@gmail.com)までお知らせください。確認して修正します。

解いた記録を残して、苦手な問題をもう一度。

学習アプリなら、この問題の解答記録・メモ・暗記カード化を使えます。