第108回・2025年

108AM043|第108回 助産師国家試験 過去問

次の文を読み41~43の問いに答えよ。Aさん(30歳、1回経産婦)は、妊娠37週の妊婦健康診査でB群溶血性連鎖球菌〈GBS〉陽性であったが、それ以外の妊娠経過に異常はなかった。妊娠40週5日の午後10時にAさんは電話で「午後4時くらいから不規則に子宮収縮がありましたが、午後7時からは規則的に15分間隔になり、今も変わりません。生理痛のような痛みがあります。昨日の妊婦健康診査で、子宮の出口は2 cm開いていると言われました。昨日から褐色のおりものがありますが、破水はしていません。いきみたい感じはありません」と落ち着いて話した。Aさんは、分娩開始後9時間で正常分娩した。分娩後、左正中側切開への縫合術が行われた。分娩時出血量は440 mLで、子宮収縮は良好であった。分娩5時間後、Aさんは尿意を感じ、トイレまで歩行したが尿は出なかった。体温36.8 ℃、脈拍78/分、血圧138/74 mmHg。子宮底の高さは臍高で硬く触れ、流血はない。口渇なし。意識は清明である。会陰切開縫合部の腫脹と発赤はない。触診で膀胱充満がみられた。膀胱部の不快感はない。Aさんの尿が出ない原因で考えられるのはどれか。

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正解5

正答

5

この問題のポイント

産後は膀胱の過伸展や骨盤神経への圧迫により膀胱壁平滑筋の収縮が低下し、尿意に乏しい尿閉を起こし得る。

解説

Aさんは口渇や循環不安定がなく、膀胱が明らかに充満しているため、尿の産生不足ではなく排尿機能の障害である。分娩時の圧迫、過伸展、骨盤内神経の一過性機能低下により、膀胱壁の平滑筋が十分に収縮せず尿閉となる。不快感が乏しくても過度の充満は子宮復古と出血に影響するため、温熱や流水音等を試し、必要時は導尿する。

選択肢の確認

1.脱水:口渇や頻脈はなく膀胱内に尿が貯留しており、脱水による尿産生低下ではない。
2.尿路感染症:発熱、頻尿、排尿痛などがなく、急性尿閉の直接原因として感染を示す所見はない。
3.子宮復古不全:子宮は臍高で硬く出血もなく、子宮復古不全が尿閉の原因とは考えにくい。
4.骨盤底筋群の弛緩:骨盤底筋の弛緩は尿失禁と関係し、膀胱充満があるのに排尿できない主因ではない。
5.膀胱壁の平滑筋の麻痺:分娩後の一過性の膀胱壁平滑筋麻痺で収縮が不十分となり、尿閉を起こす。

覚えるポイント

産後排尿は6時間前後を目安に確認。尿意が弱くても膀胱充満を観察し、排尿困難は早めに介入する。

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