第108回

108AM009|第108回 保健師国家試験 過去問

地域にある組織とその特性の組合せで正しいのはどれか。

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正解2

正答

2.特定非営利活動法人 ― 収益を分配することを目的としない活動を行う。

この問題のポイント

保健師が地域で協働する住民組織や団体について、成り立ちと目的の違いを問う問題です。「何を基盤に集まったか」という軸で整理すると判別できます。基盤は、住んでいる場所、掲げる使命、当事者としての共通体験、健康教室での学びなどです。最大の鍵は、非営利とは収益を上げないことではなく、収益を構成員に分配しないことだという定義です。

解説

組織を「つながりの基盤」で分ける

地域の組織は、メンバーが何を理由に集まったかで性格が大きく変わります。

  • 地縁組織:自治会・町内会のように、一定の区域に住んでいることを基盤に形成される組織です。加入のきっかけは「そこに住んでいること」です。防災・防犯、環境美化、親睦など、住民生活に共通する課題を幅広く扱います。地方自治法の認可地縁団体の規定でも、区域内に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体と位置づけられています。
  • テーマ型組織:NPO法人やボランティア団体などです。特定の分野の課題や社会的使命(ミッション)に共感した人が、住所に関係なく集まります。
  • セルフヘルプグループ:同じ病気・障害・体験をもつ当事者やその家族が、自発的に集まって支え合うグループです。自発性・対等性・自律性が原則です。
  • 委嘱を受けて活動する住民:代表例は民生委員です。民生委員法に基づいて厚生労働大臣が委嘱し、児童委員を兼ねます。母子保健推進員や健康推進員も、多くの市町村で市町村長が委嘱しています。行政と住民をつなぐ役割を担います。
  • 健康教室の修了者の会:教室で学んだ健康行動を修了後も続けるため、修了者が自主的に集まるグループです。

特定非営利活動法人の「非営利」

特定非営利活動法人(NPO法人)は、特定非営利活動促進法に基づき、所轄庁(都道府県知事または指定都市の長)の認証を受けて設立される法人です。活動分野は、保健・医療・福祉の増進、まちづくり、子どもの健全育成など、法律の別表に掲げられたものです。そのうえで、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とします。

「営利を目的としない」とは、事業で得た利益を社員(構成員)に分配しないことを指します。次の点は誤解しやすいので押さえておきます。

  • 本来の活動に支障がない範囲で、収益を目的とする事業を行うことはできます。ただし、得た利益は特定非営利活動に充てます。
  • 職員に給与を払うことはできます。給与は労働の対価であり、利益の分配ではありません。
  • 解散時の残余財産も社員には分配されず、他のNPO法人や国・地方公共団体などに帰属します。

したがって、「収益を分配することを目的としない」という特性はNPO法人に正しく対応しています。

保健師活動との関係

保健師は、各組織の成り立ちに応じて関わり方を変えます。

  • 地縁組織:地域全体に情報を行き渡らせる力があり、健診の受診勧奨や見守り活動などで協働します。
  • セルフヘルプグループ:当事者の主体性を尊重し、専門職は立ち上げの助言や場の提供などの側面的支援にとどめます。
  • 健康教室の修了者の会:自主グループ化を支援し、メンバー同士で健康行動を継続できるよう後押しします。成熟すると地域への働きかけに発展することもあります。

こうした組織のつながりは地域のソーシャルキャピタルとして、健康づくりの基盤になります。

選択肢の確認

1.地縁組織 ― 社会的使命の実現を目的として活動する。:地縁組織は住んでいる区域を基盤に形成され、住民生活に共通する課題を幅広く扱う組織です。特定の使命を掲げて人が集まるわけではありません。社会的使命の実現を目的に掲げるのは、NPO法人やボランティア団体などのテーマ型組織の特徴です。地縁型とテーマ型を取り違えた組合せのため、正しくありません。

2.特定非営利活動法人 ― 収益を分配することを目的としない活動を行う。:正答。特定非営利活動促進法に基づくNPO法人は、営利を目的としない、つまり利益を社員に分配しないことが要件です。収益事業や有給職員は認められますが、利益は特定非営利活動に充て、構成員には分配しません。

3.セルフヘルプグループ ― 市町村から委嘱を受けて活動する。:セルフヘルプグループは、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)、患者会、家族会のように、当事者が自発的に集まり対等な立場で支え合う組織です。行政の委嘱によって成り立つものではありません。委嘱を受けて活動するのは、民生委員(厚生労働大臣が委嘱)や母子保健推進員(多くは市町村長が委嘱)などです。

4.健康課題別健康教室の修了者の会 ― 地域の課題解決に向けた取り組みを行う。:健康課題別の教室の修了者は、生活習慣病予防や骨粗鬆症予防など、個人としての健康課題を共有しています。会の出発点は、学んだ健康行動の継続と仲間づくりという、メンバー自身の健康の維持・増進です。成熟すると地域活動へ発展することはありますが、それは成長の一つの到達点です。この会の本来の特性とはいえないため、正しい組合せではありません。

覚えるポイント

  • 非営利=利益を構成員に分配しない。収益事業も有給職員も可能で、利益は本来の活動に充てます。
  • NPO法人は特定非営利活動促進法に基づき、所轄庁(都道府県知事または指定都市の長)の認証を受けて設立されます。
  • 住所でつながる=地縁組織(自治会・町内会)、使命でつながる=テーマ型組織(NPO法人、ボランティア団体)と対にして覚えます。
  • セルフヘルプグループは当事者の自発性・対等性が原則で、専門職は側面的支援にとどめます。AAは匿名、断酒会は実名で家族も参加する点も頻出です。
  • 委嘱で活動するのは、民生委員(厚生労働大臣が委嘱し、児童委員を兼務)、母子保健推進員・健康推進員(多くは市町村長が委嘱)です。
  • 健康教室修了者の会は、まずメンバー自身の健康行動の継続が目的です。保健師は自主化・自立を支援し、地域活動への発展は成長として見守ります。

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