第108回
108AM030|第108回 保健師国家試験 過去問
レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉に収載されているのはどれか。
解答・解説を見る
正解5
正答
5.特定保健指導の実施状況
この問題のポイント
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に何が収載されているかを問う問題です。名称のとおり、NDBの中身は「レセプト(診療報酬明細書・調剤報酬明細書)」と「特定健康診査・特定保健指導の情報」の2系統です。各選択肢の情報が、NDB・国民生活基礎調査・国民健康・栄養調査・人口動態統計のどれから得られるかを対応づけられるかが鍵になります。
解説
まず、データベースの名称そのものが手がかりです。NDBは「レセプト情報」と「特定健診等情報」を集めたデータベースで、「特定健診等」の「等」には特定保健指導が含まれます。名称と中身を結びつけられれば、選択肢5を選べます。
NDBの成り立ちと中身
NDBは、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)に基づいて国(厚生労働省)が構築したデータベースです。本来の目的は、医療費適正化計画の作成・実施・評価に必要な調査や分析を行うことです。収載される情報は次の2系統です。
- 電子化されたレセプト(医科・歯科・DPC・調剤):傷病名、診療行為、処方された医薬品、医療費などの保険診療の請求内容
- 特定健康診査・特定保健指導の情報:健診の検査結果、質問票の回答、保健指導レベルの判定、特定保健指導の実施状況
どちらも審査支払機関や医療保険者を通じて国へ提供されます。氏名など個人を識別する情報は削除・暗号化(ハッシュ化)されて格納されるため、個人を直接特定することはできません。
NDBは全国の保険診療をほぼ網羅する大規模なデータですが、医療保険の請求や保険者の報告に乗らない情報は含まれません。たとえば、自由診療などの保険外の医療、世帯構成や所得、食塩摂取量などの栄養素等摂取量(食事の内容)、死因別死亡数のような死因統計は、NDBからは得られません。一方、特定健診の質問票で把握する喫煙・飲酒・運動・食習慣・睡眠などの生活習慣の回答は、健診情報の一部としてNDBに含まれます。「生活習慣の情報はNDBにない」と覚えないよう注意しましょう。
出題当時すでに、2019年の法改正(2020年10月施行)によって研究者などへの第三者提供が法律に位置づけられていました。あわせて、介護保険総合データベース(介護DB)との連結解析も可能になっていました。厚生労働省はNDBを集計したNDBオープンデータも公表しています。そこでは特定健診の検査値や質問票の回答の分布を都道府県別などで確認できるため、地域診断の資料としても使えます。
特定健診・特定保健指導の情報が入る理由
特定健康診査は、高確法に基づいて医療保険者が40〜74歳の加入者に実施する、メタボリックシンドロームに着目した健診です。主な項目は次のとおりです。
- 質問票(服薬歴・喫煙歴・食習慣・運動習慣など)
- 身体計測(腹囲・BMI)と血圧
- 脂質・血糖・肝機能の血液検査
- 尿検査(尿糖・尿蛋白)
結果をもとに階層化を行い、積極的支援・動機付け支援の対象者に特定保健指導を実施します。血圧・血糖・脂質の薬を服用中の人は特定保健指導の対象外です。65〜74歳の人は、積極的支援の基準に当てはまっても動機付け支援となります。
保険者はこれらの実施結果を国へ電子的に報告する仕組みになっており、その報告がNDBに蓄積されます。そのため、保健指導レベルや、初回面接・実績評価といった特定保健指導の実施状況はNDBに含まれます。
他の統計・データベースとの区別
保健師が地域診断を行うときは、知りたい情報をどの資料から得るかを判断する力が求められます。
- 所得・世帯構造・世帯人員:国民生活基礎調査(世帯票・所得票)で把握します。世帯人員は国勢調査でも把握します
- 栄養素等摂取量(食塩など)・身体状況・生活習慣:国民健康・栄養調査(健康増進法に基づき原則として毎年実施)
- 出生・死亡・死因:人口動態統計(戸籍法などに基づく届出と、死亡届とともに提出される死亡診断書などから全数を集計)
- 医療機関で受療した患者の傷病の状況:患者調査(3年ごとの標本調査)
市町村国保の保健事業でよく使われるKDB(国保データベースシステム)は、NDBとは別の仕組みです。KDBは国保中央会が開発し国保連合会が運用しており、健診・医療・介護の情報を保険者が自らの保健事業に活用するためのものです。国が保有するNDBと混同しないようにしましょう。
選択肢の確認
1.世帯収入:レセプトは個人が受けた保険診療の請求記録で、特定健診の情報も個人の健診結果です。世帯の収入額を記録する項目はNDBにありません。世帯の所得は国民生活基礎調査の所得票で把握します。所得と健康の関係(健康格差)を分析したい場面では、NDBだけでは足りないという点も押さえておきましょう。
2.食塩摂取量:食塩の摂取量は、国民健康・栄養調査の栄養摂取状況調査(1日の食事の記録)から算出される指標で、NDBには収載されていません。特定健診の質問票には食べる速さや朝食の欠食などの食習慣の設問があるため、「健診データに入っている」と誤解しやすい選択肢です。しかし、質問票が尋ねるのは習慣であって摂取量ではありません。尿検査も尿糖・尿蛋白で、食塩の摂取量を推定する検査は基本的な健診項目に含まれていません。健康日本21で食塩の摂取量の目標を評価するときにも、国民健康・栄養調査が使われます。
3.同居家族人数:同居している家族の人数は世帯構造に関する情報で、個人単位の請求記録や健診結果を集めたNDBには含まれません。レセプトには被保険者本人か被扶養者(家族)かの区分があります。ただし、これは医療保険上の区分であり、同居の有無や家族の人数を示すものではありません。世帯人員や世帯構造(単独世帯、核家族世帯など)は、国民生活基礎調査の世帯票や国勢調査で把握します。
4.主要死因別死亡数:死因別の死亡数は人口動態統計から得られる指標です。人口動態統計では、死亡届とともに提出される死亡診断書(死体検案書)をもとに原死因を定め、全数を集計します。医科レセプトの転帰欄に「死亡」と記載されることはあります。しかし、NDBは医療費の請求と健診の記録であり、すべての死亡を網羅して死因を集計する仕組みではありません。「医療のデータベースだから死因別の死亡数も分かる」と考えないことが大切です。
5.特定保健指導の実施状況:正答。NDBは高確法に基づき、レセプトとともに特定健康診査・特定保健指導の情報を収載しています。医療保険者が国へ報告する保健指導レベル(積極的支援・動機付け支援)の判定や、初回面接・実績評価などの指導の実施状況は、NDBに含まれる情報です。
覚えるポイント
- NDBの中身は「レセプト+特定健診・特定保健指導」の2系統です。根拠法は高齢者の医療の確保に関する法律で、本来の目的は医療費適正化計画の作成・実施・評価です。
- NDBに入らない情報は、保険外の医療、世帯・所得、食事内容(栄養素等摂取量)、死因統計です。一方、特定健診の質問票による喫煙・飲酒・運動・睡眠などの生活習慣の回答は入ります。
- 情報源の対応:所得・世帯構造は国民生活基礎調査、食塩などの栄養素等摂取量は国民健康・栄養調査、死因別死亡数は人口動態統計、受療状況は患者調査、人口・世帯人員は国勢調査で把握します。
- 特定健診は医療保険者が40〜74歳を対象に実施し、階層化で積極的支援・動機付け支援に振り分けて特定保健指導を行います。血圧・血糖・脂質の服薬中の人は特定保健指導の対象外で、65〜74歳は動機付け支援のみです。
- NDBとKDBは別物です。NDBは国が保有し、KDBは国保中央会が開発して国保連合会が運用し、市町村国保などが保健事業に活用します。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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