第109回
109PM028|第109回 保健師国家試験 過去問
レセプト情報・特定健診等情報データベース〈NDB〉について正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解5
正答
5.高齢者の医療の確保に関する法律に基づいている。
この問題のポイント
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の根拠法と、データの性質(悉皆性、収集目的、規模、更新の仕方)を問う問題です。NDBは高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)に基づくデータベースです。厚生労働大臣が医療費適正化計画のために医療保険者等から集める行政データで、電子化されたレセプトと特定健診・特定保健指導の情報をほぼ全数蓄積しています。患者調査などの標本調査と比べると、各選択肢を整理しやすくなります。
解説
NDBに入っている情報
NDBには、次の2種類の情報が格納されています。
- 医療保険の電子レセプト(診療報酬明細書・調剤報酬明細書):医科、歯科、調剤、DPCのレセプトです。
- 特定健康診査・特定保健指導の結果:40〜74歳の医療保険加入者が対象です。
氏名など、個人を直接特定できる情報は、ハッシュ化などの匿名化処理をしたうえで格納されます。これにより、同じ人のデータを個人名を扱わずにつなげて分析できます。
根拠法と目的
高齢者医療確保法は、老人保健法を大幅に改正して名称を改め、2008年4月に施行された法律です。主な内容は次の4つです。
- 医療費適正化計画
- 特定健診・特定保健指導
- 前期高齢者(65〜74歳)の医療費に係る保険者間の財政調整
- 後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度の対象は、75歳以上の人と、一定の障害があると認定された65〜74歳の人です。運営主体は後期高齢者医療広域連合です。
このうちNDBに直接関係するのは、国と都道府県による医療費適正化計画の作成・実施・評価と、医療保険者に義務づけられた特定健診・特定保健指導の2つです。
計画を立てて成果を評価するには、全国の医療費や受療の状況、健診結果の実態を分析しなければなりません。そこで同法は、厚生労働大臣が保険者等から必要な情報の提供を受け、調査・分析を行う仕組みを定めています。これがNDBの法的根拠であり、選択肢5が正答となる理由です。データベースの名称にある「特定健診等」が同法で定められた健診であることも、根拠法を思い出す手がかりになります。NDBの構築は2009年度に始まりました。
データの性質
- 悉皆性:抽出した標本ではなく、電子化されたレセプトのほぼ全数を収めています。
- 継続的な収集:レセプトは毎月、特定健診等は年度ごとに集められ、蓄積されていきます。
- 規模:レセプトは原則として、患者ごと・医療機関(薬局)ごとに1か月単位で作成されます(入院と入院外は別)。国民皆保険のもとで全国の医療機関・薬局から毎月発生するため、年間の件数は億単位にのぼります。
- 限界:医療保険を使わない自費診療などは含まれません。また、レセプトは本来、診療報酬を請求するための書類です。そのため、記載された病名(いわゆるレセプト病名)が確定診断と一致しないことがあります。
レセプトが「患者・医療機関・1か月」を単位とすることは、医療費分析の基本でもあります。1人当たり医療費は、次の3つの要素の掛け算に分解できます(医療費の三要素)。
- 受診率(被保険者数に対するレセプト件数の割合)
- 1件当たり日数
- 1日当たり医療費
どの要素が高いかを見ることで、地域の特徴を読み取れます。
利用のされ方
NDBの本来の目的は、医療費適正化計画のための分析です。一方で、集計表は「NDBオープンデータ」として公表されています。また、所定の審査を経れば、研究者などへの第三者提供(二次利用)も認められています。2020年10月からは、この第三者提供が法律上明確に位置づけられました。同時に、介護保険総合データベース(介護DB)との連結解析もできるようになりました。この仕組みは、出題時点(2023年2月)にはすでに施行されていました。
保健師にとってNDBは、地域の医療費や受療・健診の傾向を把握する地域診断や、都道府県の医療費適正化計画の策定・評価に関わる重要な情報基盤です。ただし、市町村の国保部門などが保健事業に日常的に使うのは、NDBとは別の国保データベース(KDB)システムです。KDBは国保中央会と国保連合会が運用しています。両者を混同しないようにしましょう。
選択肢の確認
1.3年に1回データが更新される。:NDBのレセプト情報は毎月、特定健診等の情報は年度ごとに収集され、継続的に蓄積されています。3年ごとにまとめて更新される仕組みではありません。「3年ごと」は、患者調査の実施周期や、国民生活基礎調査の大規模調査の周期と取り違えやすい点です。
2.無作為抽出による標本調査である。:NDBは電子化されたレセプトのほぼ全数を収めた、悉皆性の高いデータベースです。標本を抽出して行う調査ではありません。無作為抽出を用いる標本調査の代表例は、医療施設を層化無作為抽出する患者調査や、無作為に抽出した地区の世帯を対象とする国民健康・栄養調査です。
3.研究を目的に収集されたデータである。:NDBの収集目的は、高齢者医療確保法に基づく医療費適正化計画の作成・実施・評価のための調査・分析であり、行政目的です。研究への利用は、審査を経た第三者提供による二次利用にあたります。最初から研究のために設計・収集されるコホート研究などのデータとは、性格が異なります。
4.年間1,000万件程度のデータが蓄積されている。:レセプトは原則として患者ごと・医療機関(薬局)ごとに1か月単位で作成され、国民皆保険のもとで全国の医療機関・薬局から毎月発生します。そのため、NDBに蓄積される件数は年間で億単位にのぼり、1,000万件程度という規模では桁が大きく足りません。悉皆データだからこそ膨大な規模になる、と結びつけて覚えましょう。
5.高齢者の医療の確保に関する法律に基づいている。:正答。NDBは、高齢者医療確保法の規定に基づき、医療費適正化計画のための調査・分析を目的として、厚生労働大臣が保険者等から情報の提供を受けて構築・保有しているデータベースです。同じ法律が保険者に特定健診・特定保健指導の実施を義務づけているため、健診情報も一緒に格納されています。
覚えるポイント
- NDBの根拠法は高齢者医療確保法です。保有者は厚生労働大臣で、本来の目的は医療費適正化計画の作成・実施・評価です。
- 高齢者医療確保法の主な柱は、医療費適正化計画、特定健診・特定保健指導、前期高齢者(65〜74歳)の医療費の財政調整、後期高齢者医療制度の4つです。後期高齢者医療制度は、75歳以上と、一定の障害があると認定された65〜74歳が対象で、後期高齢者医療広域連合が運営します。
- NDBの中身は、電子レセプト(医科・歯科・調剤・DPC)と、特定健診・特定保健指導(40〜74歳対象)の結果です。レセプトは患者ごと・医療機関(薬局)ごとに1か月単位で作成されます。
- NDBの性質は「悉皆(ほぼ全数)」「継続収集(レセプトは毎月)」「年間億単位」「匿名化して格納」です。研究利用は審査を経た第三者提供で、2020年10月に法律上明確化され、介護DBとの連結解析も可能になりました。
- 名前の似たKDBはNDBとは別物です。KDBは国保中央会・国保連合会が運用し、市町村等の保険者が保健事業やデータヘルス計画に活用する仕組みです。
- 患者調査(3年ごと、層化無作為抽出)や国民生活基礎調査(毎年、大規模調査は3年ごと)は標本調査です。全数を収めるNDBとは性格が異なります。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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