第109回

109PM027|第109回 保健師国家試験 過去問

令和2年(2020年)の人口動態統計における20歳以上の年齢別死亡原因を以下に示す。【表】 年齢|第1位|第2位|第3位 20~24|A|B|C 25~29|A|C|B 30~34|A|C|B 35~39|A|C|D 40~44|C|A|D 45~49|C|A|D 50~54|C|D|A 55~59|C|D|E 60~64|C|D|E 65~69|C|D|E 70~74|C|D|E 75~79|C|D|E 80~84|C|D|E 85~89|C|D|老衰 90~94|D|老衰|C 95~99|老衰|D|C 100歳以上|老衰|D|肺炎 【表ここまで】 不慮の事故はどれか。

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正解2

正答

2.B

この問題のポイント

年齢階級別の死因順位で、それぞれの死因が「何歳で表に現れ、どう順位を変え、何歳で消えるか」から記号の正体を見抜く問題です。まず40~89歳で第1位を占めるC(悪性新生物)のように確実なものを決めます。次に、若い世代でだけ上位に入るAとBを自殺と不慮の事故に振り分けます。20~39歳で第1位のAが自殺、20~34歳で第2~3位に入り35歳以上では消えるBが不慮の事故です。

解説

表は、令和2年(2020年)人口動態統計の20歳以上について、5歳ごとの年齢階級別に死因の第1位~第3位を示したものです。老衰と肺炎は名称が書かれているので、A~Eには残りの主要な死因が入ります。20歳以上で上位3位に入りうる死因は、悪性新生物<腫瘍>、心疾患(高血圧性を除く)、脳血管疾患、自殺、不慮の事故の5つです。表から各記号の動きを読み取ると、次のようになります。

  • A:20~39歳で第1位、40~49歳で第2位、50~54歳で第3位となり、55歳以上では現れません。
  • B:20~24歳で第2位、25~34歳で第3位となり、35歳以上では現れません。
  • C:20~24歳で第3位、25~39歳で第2位、40~89歳で第1位、90~99歳で第3位となり、100歳以上では現れません。
  • D:35~49歳で第3位、50~89歳で第2位、90~94歳で第1位、95歳以上で第2位です。
  • E:55~84歳で第3位となり、それ以外の年齢では現れません。

病気による死因を先に確定する

Cは40歳代から80歳代まで一貫して第1位です。これは悪性新生物で、1981年(昭和56年)以降、総数でも死因の第1位が続いています。がんによる死亡は年齢とともに増えるため中年期に首位となります。90歳以上では心疾患や老衰がさらに増えるので、第3位に下がります。

Dは30歳代後半に第3位で現れ、50歳以降は第2位を保ち、90~94歳では第1位になります。年齢とともに順位を上げ続けるこの動きは心疾患(高血圧性を除く)です。高齢になるほど心不全などによる死亡が増え、90歳代前半では悪性新生物を上回ります。

Eは55~84歳の第3位にだけ現れる脳血管疾患です。かつては死因の第1位でしたが、総数では2018年(平成30年)に老衰に抜かれて第4位となり、令和2年も第4位です。表でも、85~89歳の第3位は老衰に入れ替わっています。

若い世代に偏るAとBを見分ける

残るAとBは、どちらも20~30歳代で上位に入り、年齢が上がると表から消えます。若い世代は病気で亡くなることが少ないため、自殺や不慮の事故といった外因死(病気以外の原因による死亡)が上位を占めるからです。

日本では若い世代の死因の第1位は自殺です。先進国の中でも日本に特徴的な点として、自殺対策白書でも指摘されています。自殺は40~50歳代でも死亡数が多いため、悪性新生物が増える中年期でも第2~3位に残ります。したがって、20~39歳で第1位となり、50~54歳まで上位に残るAが自殺です。これに対してBは、20~24歳で第2位、25~34歳で第3位と自殺より下の順位で現れ、35歳以上では上位から外れます。これが不慮の事故です。

死因順位は「相対的な多さ」を表す

死因順位は、その年齢階級の中での相対的な多さを表している点に注意が必要です。不慮の事故による死亡数そのものは、若い世代より高齢者のほうがはるかに多くなります。高齢者では窒息、転倒・転落・墜落、浴槽内などでの溺死が多いためです。しかし高齢者では、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、老衰による死亡がそれ以上に多いので、不慮の事故は上位3位に入りません。反対に20歳代では病気による死亡が少ないため、交通事故などによる死亡が相対的に目立ちます。「不慮の事故は高齢者に多いから、高齢の年代に現れる記号だ」と考えると、Eなどを選んで誤答になります。

人口動態統計の「不慮の事故」は、交通事故、転倒・転落・墜落、不慮の溺死及び溺水、不慮の窒息、煙・火及び火炎への曝露、有害物質による不慮の中毒などをまとめた分類です。同じ外因死でも、自殺(故意の自傷)や他殺とは別に集計されます。

年齢階級別の死因は、地域診断で「どの世代にどの対策を優先するか」を考える基礎資料になります。この分布に結びつく保健活動には、次のようなものがあります。

  • 若い世代:相談窓口の周知やゲートキーパーの養成などの自殺対策、交通安全対策
  • 高齢者:転倒予防、誤嚥・窒息の予防、冬の入浴時の事故予防

選択肢の確認

1.A:20~39歳の各年齢階級で第1位、40~49歳で第2位、50~54歳で第3位と、中年期まで上位に残る死因で、自殺に当たります。若い世代の死因の第1位が自殺であることに加え、40~50歳代でも自殺による死亡が多いことが、この並びに表れています。若い世代で上位に入る点は不慮の事故と同じなので取り違えやすいのですが、令和2年の統計で20~30歳代の第1位は自殺です。不慮の事故は第2~3位にとどまります。

2.B:正答。20~24歳で第2位、25~34歳で第3位に入り、35歳以上では上位3位から外れる死因で、不慮の事故に当たります。20歳代は病気による死亡が少ないため、交通事故などによる死亡が相対的に上位に来ます。35~39歳では第3位が心疾患に入れ替わり、それより上の年代では病気による死因が上位を占めます。そのため不慮の事故は、死亡数自体は高齢者に多いにもかかわらず、表には現れなくなります。

3.C:40~89歳という長い年齢層で第1位を占め、20歳代前半の第3位から年齢とともに順位を上げていく死因で、悪性新生物<腫瘍>に当たります。1981年以降は総数でも第1位の死因です。90歳以上では心疾患や老衰に抜かれて第3位に下がり、100歳以上では上位3位から外れます。20歳代から上位に入っている点だけを見ると不慮の事故と迷うかもしれません。しかし、中年期以降に首位となる経過は、外因死の分布とは合いません。

4.D:35~49歳で第3位に現れ、50~89歳で第2位、90~94歳で第1位、95歳以上でも第2位を占める死因で、心疾患(高血圧性を除く)に当たります。総数でも第2位の死因です。高齢になるほど心不全などによる死亡が増えるため、90歳代前半では悪性新生物を上回ります。年齢とともに順位を上げていくこの動きは、若い世代でだけ上位に入る不慮の事故とは正反対です。

5.E:55~84歳の年齢層でだけ第3位に現れる死因で、脳血管疾患に当たります。中高年から高齢期に死亡が多い疾患で、令和2年の総数では老衰に次ぐ第4位でした。85~89歳では第3位が老衰に入れ替わるため表から外れます。若い世代でも上位3位に現れないので、不慮の事故の分布とは一致しません。

覚えるポイント

  • 令和2年の20歳以上の死因順位の流れは、20~30歳代は自殺、40~80歳代は悪性新生物、90~94歳は心疾患、95歳以上は老衰が第1位です。
  • 自殺は20~39歳で第1位、40歳代で第2位、50~54歳で第3位です。若い世代の死因の第1位が自殺であることは、日本の特徴です。
  • 不慮の事故は20歳代から30歳代前半で第2~3位です。死亡数は高齢者に多いものの、病気による死亡がそれ以上に多いため、高齢の年代の上位には入りません。死因順位は年齢階級内での相対的な多さを示します。
  • 令和2年の死因順位(総数)は、悪性新生物<腫瘍>、心疾患(高血圧性を除く)、老衰、脳血管疾患、肺炎の順です。悪性新生物は1981年から第1位、老衰は2018年から第3位です。
  • 不慮の事故は、交通事故、転倒・転落・墜落、溺死及び溺水、窒息などの総称で、自殺・他殺とは別の分類です。高齢者では窒息、転倒・転落・墜落、浴槽内などでの溺死が多くなります。
  • 記号を当てる問題では、長く首位を占める悪性新生物のような確実なものから決めます。そのうえで、現れる年齢・消える年齢・順位の上下から残りを絞り込みます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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