第109回
109PM029|第109回 保健師国家試験 過去問
歯科口腔保健の推進に関する法律に基づく基本的事項(平成24年)における3歳でう蝕のない者の割合の目標値で正しいのはどれか。
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正解5
正答
5.90%
この問題のポイント
歯科口腔保健の推進に関する法律に基づいて平成24年に定められた「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」の数値目標を問う知識問題です。乳幼児期の代表的な指標である「3歳児でう蝕のない者の割合」の目標値は90%です。策定時点ですでに8割近くに達していた現状値を、さらに引き上げる水準として設定されました。80%は、社会環境の整備の目標である都道府県単位の指標の基準値にも使われているため、取り違えないことが鍵になります。
解説
法律と基本的事項の位置づけ
歯科口腔保健の推進に関する法律は、平成23年(2011年)に公布・施行されました。基本理念は次の3点です。
- 生涯にわたって歯科疾患を予防し、早期に発見して早期に治療を受けられるようにする
- 乳幼児期から高齢期までのライフステージごとの特性に応じて歯科口腔保健を進める
- 保健・医療・福祉・労働衛生・教育などの関連施策と連携する
この法律に基づき、厚生労働大臣が施策の方針・目標・計画などを「基本的事項」として定めます。都道府県は、地域の実情に応じた基本的事項を定めるよう努めることとされています。また、都道府県・保健所設置市・特別区は、歯科口腔保健の推進を支える拠点として口腔保健支援センターを設置できます。
平成24年に告示された基本的事項は、平成25年度からおおむね10年間の取組を定めたものです。同じ時期に始まった健康日本21(第二次)と調和するように作られました。目標は大きく次のように整理されています。
- 歯科疾患の予防(乳幼児期・学齢期・成人期・高齢期のライフステージ別)
- 生活の質の向上に向けた口腔機能の維持・向上
- 定期的に歯科検診や歯科医療を受けることが困難な人への対策
- 歯科口腔保健を推進するために必要な社会環境の整備
個人の割合の目標と、都道府県数の目標を区別する
「3歳児でう蝕のない者の割合の増加(目標90%)」は、歯科疾患の予防のうち乳幼児期の目標です。学齢期の目標は、12歳児でう蝕のない者の割合の増加(目標65%)と、中学生・高校生における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少(目標20%)の2つです。
一方、「3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加」と「12歳児の一人平均う歯数が1.0歯未満である都道府県の増加」は、基本的事項では社会環境の整備の目標に位置づけられています。地域間の格差を縮めるために、一定水準に達した都道府県の数を増やすという考え方の指標です。なお、健康日本21(第二次)では、同じ2つの都道府県指標が「乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加」の目標として掲げられています。同じ指標でも、どの計画のどの項目に属するかが異なる点に注意します。
なぜ3歳児のう蝕が指標になるのか
乳歯は生後6〜8か月ごろに生え始め、2歳半〜3歳ごろに20本がそろいます。3歳はちょうど乳歯列が完成する時期にあたります。さらに、母子保健法に基づいて市町村が行う3歳児健康診査では歯科健診が必ず行われるため、全国の状況を継続して把握できます。こうした理由から、3歳児のう蝕の状況は乳幼児期の口腔の健康を代表する指標として使われています。
3歳児でう蝕のない者の割合は、フッ化物の応用、甘味飲食物の与え方の指導、保護者による仕上げみがきの普及、1歳6か月児健診・3歳児健診での保健指導などの積み重ねによって長期的に上昇してきました。基本的事項の策定時の現状値は、3歳児歯科健康診査の結果による平成21年の値で77.1%でした。これを踏まえ、目標値は90%とされました。
保健師の実践では、多数の未処置う蝕がある幼児は、生活習慣の課題だけでなく、養育環境の問題(ネグレクトなど)を示すサインである場合もあります。健診の場で家庭全体を見る視点につなげることが大切です。
正答に至る考え方
目標値そのもの(90%)を覚えていることが基本です。推論で絞り込むなら、「現状値より高い値を目指す増加目標である」「策定時の現状値は77.1%(平成21年)だった」という2点から、現状値を下回る50〜70%は目標になりえないと判断できます。ただし、80%は現状値をわずかに上回るため、この推論だけでは除外できません。80%と90%の区別には、個人の割合の目標値が90%であること、そして80%は都道府県単位の指標の基準値であることを覚えておく必要があります。
出題当時と現在
出題当時(2023年2月)は、平成24年の基本的事項に基づく取組の期間中でした。現在は令和5年に告示された第2次の基本的事項(歯・口腔の健康づくりプラン)が令和6年度から始まっており、乳幼児期の指標を含めて目標の構成が見直されています。本問は平成24年の基本的事項についての出題なので、正答は90%です。
選択肢の確認
1.50%:策定時点の現状値(77.1%)を大きく下回っており、「増加」を目指す目標値にはなりえません。50%は、80歳で20歯以上の自分の歯を有する者の割合(8020)の目標値と同じ数値なので、取り違えないようにします。
2.60%:これも策定時点の現状値より低く、3歳児の目標として設定される水準ではありません。「60」という数字は、60歳で24歯以上の自分の歯を有する者や60歳代の咀嚼良好者など、高齢期指標の年齢と重なるため紛らわしい点に注意します。
3.70%:現状値を下回る値で、3歳児の目標値ではありません。70%は、60歳で24歯以上の自分の歯を有する者の割合の目標値として登場する数値です。
4.80%:策定時点の現状値をわずかに上回る程度で、設定された90%には届きません。80%は、基本的事項では社会環境の整備の目標、健康日本21(第二次)では乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加の目標とされた「3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加」の基準値です。また、60歳代における咀嚼良好者の割合の目標値も80%です。推論だけでは消去できないため、最も混同しやすい選択肢です。
5.90%:正答。平成24年の基本的事項では、乳幼児期の目標として3歳児でう蝕のない者の割合を90%に増加させることが掲げられました。すでに8割近くに達していた現状をさらに改善し、ほとんどの3歳児がう蝕のない状態を目指す水準です。
覚えるポイント
- 「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」は、歯科口腔保健の推進に関する法律に基づき厚生労働大臣が定めるものです。平成24年に告示され、平成25年度から健康日本21(第二次)と調和して進められました。
- 乳幼児期の目標は、3歳児でう蝕のない者の割合90%です(策定時の現状値は77.1%、平成21年)。
- 学齢期の目標は、12歳児でう蝕のない者の割合の増加(目標65%)と、中学生・高校生における歯肉に炎症所見を有する者の割合の減少(目標20%)です。
- 「3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加」と「12歳児の一人平均う歯数が1.0歯未満である都道府県の増加」は、基本的事項では社会環境の整備の目標、健康日本21(第二次)では乳幼児・学齢期のう蝕のない者の増加の目標です。
- 成人期・高齢期の主な目標値は、40歳で喪失歯のない者75%、60歳で24歯以上の自分の歯を有する者70%、80歳で20歯以上の自分の歯を有する者50%(平成28年歯科疾患実態調査で5割を超えました)、60歳代の咀嚼良好者80%です。
- 3歳児の歯科健診は、母子保健法に基づき市町村が行う3歳児健康診査に含まれます。現在は令和6年度から第2次の基本的事項が進められています。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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